紙の本
回を追うごとに快調、ボディーガード・シリーズ
2002/03/21 21:09
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投稿者:エンドルフィン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ボディーガード、アティカス・コディアックを主人公とするこのシリーズもいよいよ三作目となり、快調だ。ボディーガードという特殊な職業なだけに、プロとプロとが火花を散らすといった状況こそが、もっとも読みごたえのあるストーリーだと思うのだが、その点、この「暗殺者」はシリーズでも最高の出来といってよいだろう。
煙草訴訟で決定的な証言をする予定の原告側の重要証人。その証人を亡き者にしようと、煙草メーカー側は世界で十指に入るテンと呼ばれる超一流の暗殺者の一人を送りこんできた。本来であれば、アティカスのような一匹狼のボディーガードの手に負えるような仕事ではない。しかし、ひょんな経緯からアティカスは警備保障会社センティネル・ガード社に協力して、その証人を警護することになる。センティネル・ガード社との軋轢のなか、警護をすすめるアティカス達に暗殺者が襲いかかる…。
本シリーズも三作目になり、シリーズ物らしい楽しみも増えてきた。前作「奪回者」で警護にあたった少女エリカはアティカスと一緒に暮らしている。今回はあまり目立たない役回りだったが、今後重要な位置づけになりそうだ。そして、おなじみのボディーガード仲間も登場する。また、二人の女性の間でゆれるアティカスの女性問題も前作から引きずっている。前二作では、いささかほろ苦い結末だっただけに、今回は納得のエンディングといって良いだろう。
ただ、世界でも屈指の殺し屋を登場させて、大いに盛り上げてくれたのはいいのだが、今後の展開が心配になってくる。すでに米国で出版されている次回作では今回とつながりのある物語になっているようだ。
なお、海外ミステリに関心のある方は、小生のホームページThe day of wine and mysteryを一度のぞいてみてください。
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●アティカスシリーズ3作目。今回は訴訟に関する重要証人をガード。
●・・・さてそろそろ、ボディーを殴られても撃たれても、踏まれもしなければ割られることもない彼の眼鏡について、ちょっとツッコミたくなって来る頃合いですな。だいたい冬場は室内に入った途端視界が真っ白になってしまうような状態で、よくボディーガード稼業をやってられるものだ。作者も自覚があるらしく、そろそろコンタクトにしようかなー、て感じの本人モノローグもあり。
でも、彼が眼鏡じゃなくなると、魅力半減するし。いったいどうして欲しいんだ自分。
●お話自体は、一作ごとに完結はしているのですが、その間にアティカスを取り巻く人間関係も刻々と変化しているので、途中を飛ばすことなく、シリーズの一作目から順番に読むのが肝要。そもそも毎回終わり方が少々あざといと言うか、アティカスのその後の状態が知りたくなるような微妙な引っ張り方をするんだよね・・・。商売上手な正しいエンタメ作品でした。
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今シリーズ3作目。
相変わらずテンポ良くサクサク読める。
今回はブリジットが登場せずやきもきさせる。
しかし、最後にアカティスがブリジットに電話した場面で終わるとは。
次の作品も読まずにはいられない。
さすがだ。
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グレッグ・ルッカ作品はハズレがない。今のところは。読み終わると本の厚みに驚く。「一気に読んでしまった」という爽快感と、「それほど内容があったとも思えないが」というものと。私の中でグレッグ・ルッカは5番打者と6番打者の間に位置する。
http://sessendo.blogspot.com/2011/11/blog-post_5414.html
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1998年発表、アティカス・コディアックシリーズ第三弾。大手煙草会社を窮地に陥れる重要証人の暗殺をボディガードが防ぐ。本作は以上の一文で事足りる。捻りも起伏も無く、読後に何も残らない。評価できる点が何一つ無い。こんな駄作を褒めちぎることの出来る高尚な読解力を私は持っていない。以下は、凡作と断定する理由の一端だ。
ルッカは初読。世評が高いシリーズらしいが、切れ味の無い凡庸な作品で、とにかく退屈の一言に尽きる。しかも、無駄に長い。
事前情報としてあったのは、〝ボディガードを主人公としたハードボイルド〟という括り。だが、すれすれで合致するのは、一人称一視点のみ。主人公の揺るぎない冷徹さ、文体から滲み出る感傷、社会的弱者への共鳴、権力に与しない反骨精神、そして己の信条に基づいた決着の付け方。それらのハードボイルドに不可欠な要素が、微塵も味わえない。単に、タフを気取る若い男の自慢話に過ぎない。このレベルでマイクル・コナリーに比肩すると〝批評家〟らが持ち上げているのだから、ハードボイルドファンが減るのも、むべなるかなだ。暗澹たる気持ちになる。
前二作は未読だが、本筋には全く絡まない過去の事情、それにも増してどの女と関係があったかなどの〝情事の履歴〟をご丁寧に解説しており、読む必要はない。というよりも、遡って読む気になれない。
主人公のボディーガードは、身内での腕比べに勝つことと、数多の女を口説くことに必死だ。生命を狙われている証人は、根拠薄弱のままアティカスのみに信頼を抱く。さらに科学的証拠を一切語らずに煙草の危険性を説いて回り、煙たがられる。証人が隠し持ち、口封じの動因となるネタは、誰もが知識としてある煙草の害悪のみで、その他の〝情報〟は最後まで明らかとならない。つまり、プロットの肝が本作には存在しないのである。これで、スリルが生まれるはずがない。
登場人物らは須く自信過剰なナルシスト。老若男女、敵味方問わず、造形が浅く、類型的。行動と台詞が似通っているため、アティカスが今どの女と会話しているのかが判別できない。といっても、混乱したところで、物語には何の影響もない。描き分けが出来ていないのは、致命的である。
そもそも幾ら読み進めても、ボディガードという生業の魅力が伝わらない。その道のプロを題材としつつ、予想外の思考や行動が無い。〝敏腕〟であるらしい主人公が、暗殺者の眼を欺くために使う奥の手とは何か。驚くべきことに、素人でさえ考えつく〝替え玉〟なのである。いったいどのような経験を積んできたのだろうか。敵役の暗殺者も頓馬なのは同等で、まんまと策に嵌まるのだが、失笑よりも溜め息しか出ない。
大企業が訴訟を有利に運ぶために、公然と殺し屋を雇うという没リアリティ。暗殺者は、わざわざボディーガードを挑発して計画に組み入れ、不必要に己の出番を増やした果てに、分かりやすい正体を曝す。仮面を付けながらも、女であることをアピール。これでも世界トップ10入りの腕を持つというのだから恐れ入る。成り手不足が深刻なのだろう。作者はこの凡庸な人物を気に入ったようで、続編に使うつもりで温存している。結末は、予想通り中途半端の極み。この先どうなるのか、続きが気にならない。ありがたい。
本作は、ボディガードの指南書としては役立つだろうが、私が読みたいのは、ハードボイルドであり、心に残る小説なのである。
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前作よりぐっとおもしろくなった。
ボディガードの仕事が詳しく書かれていて興味深い。それでも守りきれないと語るアティカスの正直さが心地よい。
登場人物それぞれの魅力もたっぷりで、先へ先へと読み進んでしまう。
さらにつぎのごよみたくなってしまった。