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第二次世界大戦中、ナチスドイツが進攻してくるフランスを脱出して、イギリスへ向かうために。
爺さんと子供達(合計5,6人?)が行く!
ロンドン大空襲の中で、酒を飲みつつ老人が語りだすプロローグや、途中で出会う人々の、何気ない描写が印象的。
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大人として子どもを守る責任を、愚痴を言うことなく
果たしていく主人公に泣ける。
人として、すげぇよじぃちゃん!そんなに頑張ったら、
じぃちゃんが死んじゃうよ!
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戦争のお話で、おじいちゃんと子供とゆうくみあわせにもかかわらず、お涙ちょうだいの話しになってない。じっくり読んで、しばらくすると忘れて、また1年くらいたつと読みたくなるお話。新刊発売以降もいろんな書店で平積みされているので、結構うれていると思われる良書。
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この設定で単純なお涙ちょうだいものになっていない所がまず、予想を良い感じに裏切られました。
子供複数と老人一人という非力な集団で、南下してくるナチスドイツ軍をきりぬけながら、フランスを抜けイギリスへと向かおうとする、その過程が面白いです。
それから子供を引き取るときのハワードのくたびれ具合がいい。
正義感に高揚してるわけでもなく、嫌々というわけでもなく、諦観にちかい佇まいなのが好きです。子供も、決してききわけが良いわけじゃない所がリアルで面白かったです。
読後感が心地よく、再読したくなる本。
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その場にいたからこそであろう現実感。
ご都合主義と思えるほど自然に感じられる、そこまで緻密に作りこまれた物語。
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これぞイギリス紳士!! というハワード老のたたずまいにしびれます。物語の流れは単純だけれど、緊迫感が漂います。ところどころくすりと笑えるのもいい。
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戦火の中、子供達の手を引いてフランスからイギリスへと向かう引退した老弁護士。お手製の笛で子供達の心をひきつけていくところは、まさにパイド・パイパーです。決して御人好しだからとか、なし崩し的にというわけではないんです。頼られて引き受けた以上はなんとしても子供達をおくり届ける。優しさに裏打ちされた強さにひきつけられます。そしてニコルの真摯な愛情とたくましさ。最後の夜のセリフには思わず涙が零れました。帯の「酒飲み書店員さんたち」にはこれからもこんな作品を紹介してほしいです。
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1940年代に書かれた小説。舞台はナチス・ドイツが攻め込んできたフランスの片田舎。
主人公は70代のイギリス人の老人男性。
旅の行きかがり上、イギリス人、フランス人、オランダ人、ポーランドのユダヤ人、ドイツ人の子供を連れてイギリスに脱出する話。
ロードノベルであり、脱出ものでもある。恋愛ストーリーも絡む。秀作。
ちなみに「パイド・パイパー」とは、寓話ハメルンの笛吹きで、町中の子ども達を引き連れていってしまう笛吹きのこと。
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7年前に文庫が出たとき、書評で絶賛されていたのですぐに購入したものの、この暢気な表紙が気に入らなくて読む気になれませんでした。
相変わらず評価が高いので思い切って読み始めたら、みんなの評価通りの傑作でした。古き良きイギリスの香り高いはじまり方もさりげない終わり方も、紳士ですね、粋だなぁ。でもやっぱりこのカバーデザインは選択ミスでは・・・(ちなみに杉田比呂美さんのイラストは昔から好きです)
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核戦争後の世界の姿を描き、SFの古典となった「渚にて」。その著者、ネビル・シュートが第二次世界大戦下のヨーロッパ、フランスを舞台にした小説。
ドイツ占領下のフランス。元弁護士の老イギリス人ジョン・ハワードは、息子の戦死や、戦争で役立たず扱いされた心の傷を癒すため、フランスの山村で釣りを楽しんでいた。ドイツ軍のフランス侵攻を知り、イギリスに戻ろうとした彼は、ひょんなことからスイスにいるイギリス人の国際連合職員の幼い2人の子供を預かることになる。
さらに、ホテルのメイドの姪、空爆で両親を失ったオランダ人の少年、両親をドイツ人に連れ去られたユダヤ人の少年、さらにはゲシュタポの少佐の姪っ子までが、ハワードの逃避行に加わるのだ。
占領下の他国の不便さに加え、状況に関わりなくわがままを通そうとする幼い子供たちの振る舞いにくたびれ果てながらも、義務感と責任感で自分を支えるハワード。
「渚にて」の核戦争後の滅びを粛々と受け入れる世界の姿とは違う、淡々としながらも苦境を打破しようと立ち向かう本作。描かれた時代の差なのだろうか。
ちなみに「渚にて」は核の不安が世界を覆い始める前、ソ連のスターリン死去で東西冷戦が「雪解け」したとされる1957年の著作。
一方の本作は1940年にパリがドイツ軍により陥落し、イギリスにドイツ軍が激しい空襲を繰り返していた1942年に出版されている。戦争のさなかだからこそ、こんな勇気が湧いてくる小説を書いたのだろうか。
本作はまた、老いの姿を切なく描いた作品でもある。
たとえば、こどもたちが楽しく遊ぶ姿を見たハワードのこんな感懐。
「子供たちともっと深く接したいと思ったが、年齢を考えると気後れがして、たいていは庭の松の木の下で遊ぶ二人を遠くから眺めるばかりだった。子供たちが馴染みのない変わった遊びをしているのを見ると、自分も仲間に加わりたかった。幼い二人は、ハワードの遠く霞んだ記憶の弦をそっと掻き鳴らした」
ああそうだなあ。自分も息子や娘と遊んだ日々を、「遠く霞んだ記憶」として思い出す日がくるんだよなあ。ハワードの年まであと30年。またしても老いた自分をイメージしてしまうのだった。
解説の北上次郎も、同じ感想を記している。
20年前には、この感想はなかったなあ。
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1942年に書かれたイギリスの冒険小説。
あらすじとしては、第二次世界大戦初期にドイツ軍がヨーロッパ各地に電撃的に展開した1940年の夏のフランスが舞台。
戦況がこれほど悪化するとは思わず、フランスの田舎で静養していたイギリス人元弁護士の老人が祖国イギリスへ帰るまでの苦難の道のりのお話。
最初に国連職員の二人の幼子を託され、その後もドイツ軍の侵攻の中の混乱した状況でイギリスを目指して進む間にどんどん預かる子供が増えてくる。
この老人は寛容な心と忍耐力でその子供を受け入れ道中の困難度はますます上がる。
さて、老人と子供達は無事イギリスへ渡れるのでしょうか?? と言うお話。
"パイド・パイパー"とはドイツ民話の「ハメルンの笛吹き」の意。
旅をしていく中で子供達が集まってくる様を表したと思われます。
特に派手なドンパチがある訳でも、脱出の奇策がある訳でも無いが、この老人の実直さと老人、女性、子供の無力さ、純粋さを描きながら戦争の悲惨さが淡々と描かれている。
悲惨な状況を描きながらもイギリス独特のユーモアも忘れない感じの良い文章。
イギリスに渡る直前の難関の解決仕方が少々不自然であり少し残念。
全体としては、なかなか面白い小説でした。
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帯には宮部みゆきが「気骨あるおじいちゃんと、健気で可愛い子供たちの大冒険。たまりません。」と推薦文を寄せているが、とんでもない。子供たちは厄介でわがままで、中には言葉も通じないのさえいたりする。老人にとって彼らは旅のお荷物でしかない。ではなぜ放り出さないのか、子供たちの中にいったい何があるのか、というのがこの作品の読みどころだと思う。まさに戦争のさなかに書かれた小説として、著者の祈りを見た気がした。
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面白かったです。次から次へとトラブルに見舞われる一向はハラハラドキドキです。そんな中子供たちはお気楽で、しかも数は増える一方。迫りくるドイツ軍。情勢は次第に過酷になり、でも何だかんだで切り抜けていく。後半では『もう本当に駄目なんじゃ……』と思わせられましたが、いいラストでした。自信を持っておススメできる一冊。
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厄介ごとを呼び込む子供の無邪気さが憎い!
熱を出したり、戦車を見に行ったり、言いつけを破ったり
あれ?全部あの兄妹・・・
道中でひとり増え、ふたり増え、お願いされなくても
拾っちゃうあたり戦争という荒んだ世界で
新しい時代を築く可能性の種を争いの無い世界に運ぶため
憎しみも戦争も無い未来へつなぐため、もしかすると
見ることも抱くことも叶わなかった孫の姿をうつしながら
老人は子供たちと歩く。
戦時の交通事情だとか異国という困難から始まり
徐々に戦争、侵攻してきたドイツの影が濃くなるなか
ニコルのラブストーリーをからませて
人の善をなそうという意思の姿が、ラストまで一気に読ませる。
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大戦中、老齢の英国紳士がフランスからイギリスへ帰る。あらすじはたったこれだけのロードムービー(ノベル)。でもそこに「子連れ」という要素が加わることで緊張感のあるノンフィクションのような味わいになる(しかも縁も所縁もない子供がどんどん増える〜)。後からじんわり心に沁みてきそうな気がする。シンプルで良質な本。蛇足だが、物語の進行中、「お金持ちでよかった〜」と何度思ったことか…。