紙の本
2002/04/14朝刊
2002/04/25 22:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文化勲章受章者で、一九七八年に亡くなった数学者が残した随筆の数々を集めた。著者は生前、「私の数学は、情緒を数学という形に表現したもの」と語っていたという。知育偏重教育に早くから警鐘を鳴らし、「情緒」を重視していた著者らしい言葉だ。本書でも、自然との触れ合いや心の豊かさを大切にした教育の必要性を、平易な文章でとつとつと説く。数学者としての透徹した目と仏教に対する造詣の深さが相まって、その言葉には含蓄がある。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001
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素直に、「好ましい」と感じてしまう。
多分合うのだと思う、好きなものは好き。
作者の言葉を借りれば「いいなぁ」という感じだろうか。
これが情緒でしょうか。
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昭和を代表する大数学者であった岡潔氏。数学の分野だけではなく色んな分野において閃き創造することは、その人が養った「情緒」によると云う。確かに自己解釈をすれば、学者にしても芸術家にしても感性が存在しなければ新しい分野や領域を発見し生み出す事は不可能だろう。
本書の中で岡潔は感性や情緒を育まない押し付けによる教育を否定している。
初めて岡潔という人物を知った。改めて思うのは現代の情緒や文化を忘れ、飼い慣らされたような社会は創造性を失った愚でしかない。
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著者は20世紀の大数学者。晩年、教育の在り方を憂い警告を発し続けてきた。
「多くの人は、人には心があることを忘れてしまっているように見えますし、教育もこんなことを続けているとどうなるのだろうといような教え方を変えようとはしません。それで私は、私の心持ちを少数の人にでもよいから一度沁々聞いていただきたいと思うようになりました」
「大自然は人の子を有無だけではありません。これを育てます。これがほんとうの教育です。人はその手助けをします。これを人は教育といっていますが、本当は教育の手助けなのです」
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カウンセリングを職業とするようになって、自らの心の持ちようを清めることに務めたいと考えるようになった。教育に携わる姿勢もそうだ。
おおよそ私は自らの受けた「教育」というもの順応し、システムに組み込まれるようにして生きてきたが、そのことへの反発が現在の自分を動かす原動力のひとつにもなっているのだろう。
そして、そういった感情に対しての私の向き合い姿勢は「怒りを解放してあげよう」ということ。
著者は著作の中でこのように触れている。
「情緒の濁りはいけない。情緒は喜怒哀楽によって濁ります。とくに、人を恨むというようなことをするとひどく濁ります」
「いったい、情緒の中心をまとめているものはなんでしょうか。表現することばがむずかしいのですが、しいていうならば愛だと思います。なかんずく、慈悲心を欠いては、とうていまとまるまいと思います」
「情緒の中心がまとまらなければ、外に表れようと表れまいと、正確分裂です」
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フランスの自由として「自由とは、他人の自由を尊重する自由を享楽するということだ」という言葉が紹介されている。
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