紙の本
事実は小説より「危」なり
2007/07/27 09:22
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かいらぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
中越沖地震の報道を見聞きして、久しぶりに書評の筆をとった。この地震でクローズアップされた、原発の危険性について、ある小説でフィクションとして詳細に記述されているのを思い出したからだ。言うまでも無く、それが本書である。
原発建設は膨大な利権がからむため、これに群がる勢力が多数存在する。中には、工学的正論をも排してそれを食い物にするきわめて厄介な勢力が存在する。工学的正論を得た主人公と「極めて厄介な勢力」との暗闘がこの小説の筋書きである。
本書の著者は原子力工学を熟知しており、現存する原発に関して事実であるかどうかは別として、工学的見地での小説としての記述に間違いは無いのであろう。問題は、この小説の筋書きがフィクションとして読み過ごせるのかどうかである。個人的な感想としては、小説の中に散りばめられた個々の事件は別としても、大枠の経緯や結果としての事実関係があまりにも酷似しており、今読み返してみると衝撃を覚えずにはいられない。
事実は小説より「危」なり、である。
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存在さえ知らなかった意識のないわが子との出会いから始まった謎解きが最先端の原子力や情報処理機にまつわる事件をからめて深まっていき、面白かった。
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コンピューターに関する犯罪。
発電所に関する不正事実。
そして、親子の絆。
親子の絆は、すれ違ってしまった親子の絆、
という難しいテーマ。
なかなかよく書けている。
もう少し文量が多ければ、隙間を埋め、
より濃密なものになったか。
その点が悔やまれる。
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突然出現した事故にあった我が子。原発の不備を調査していて殺される。
我が子の生活を追ってゆく父・・子も自分と同じ道を歩んでいた・・
最後には子の信じていた人にも裏切られ父も撃たれてしまう。
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ミッドナイトイーグルとセットで購入したまま、ほったらかしにしてました。設定は面白かったですが、いまいち盛り上がりに欠けましたね。細かいところをいえば、例えば、理英子が慎司の恋人でないことは早い段階でわかっていましたが、正体がバレてからもすぐに羽嶋の味方になるとこなどもう一ひねり欲しいかな。最後の慎司からのメッセージなどはいい感じなだけにちょっと残念。著者本人が技術者だけに、科学技術に対する想いや熱意は十分伝わり、臨場感あった。
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一度も会ったことのない息子が死の淵に──。
ハイテク犯罪の聖餮となった我が子よ。
迫りくる異界からの浸入者に研究者は立ち向かう!
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コンピューターに関する犯罪。
発電所の不正事実。
全く知らなかった息子の存在。
その息子の死の謎を探っていくうち
不可解な事件に巻きこまれていく・・・
どんでん返しの繰り返しで
なかなか面白く読めました。
こういう内容は大好きだなぁ〜♪
一気に読み終わってしまったよ(笑)
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初の高嶋作品。
日本を代表するコンピューター開発者が、殺された会ったこともないプログラマーの息子の残したデータを巡って、ハイテク犯罪に巻き込まれていく・・・
主人公の「私」は開発者らしく、悪と闘う姿はいささか情けない部分もあるが、そこがまた現実味があり、親近感を覚える。
初めて読んだが、スピード感もあり、先の読めない展開にすっかり物語に入り込んでしまった。
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第16回サントリーミステリー大賞・読者賞ダブル受賞。
イントゥルーダーとは侵入者のこと。
主人公は一流ソフトウェア開発会社の副社長・羽嶋。昔の恋人・奈津子との間に生まれた息子・慎司を何者かに殺され、その究明にあたる。
慎司も実の父に似て、一流のプログラマーだった。事件の真相は、覚醒剤から原子力発電所の建設問題へと大きくなっていく上に、誰かが実は誰かのさしがねで…などの背反も明るみになり、最終的に羽嶋は1人で大きな敵に立ち向かう。
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コンピュータ会社の副社長。存在すら知らなかった息子の交通事故死を契機に・・・ 謎が謎を呼び。原発の開発までからみ、息子の恋人と称する女性まで登場。最後は息子の為に謎を解き、結果的に・・・
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日本の天才的スパコン開発者に、25年前に別れた恋人から、息子が危篤という突然の連絡が・・・
原発建設の問題。耐震設計で想定していた基準が全然違っていた・・・というのは数年前の実話なんだが、本書はそれ以前に書かれていた本で、新潟県で名前も竜崎原発となると、先見の書ということになりそうなんですが・・・
それほど話題にもならなかったのは、登場人物がC級映画に出てくる俳優さんのようで、なんかこう安っぽいというか、深みがないというか、、、でしたからでしょうかね。
(2011/2/22)
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読み始めてみたら、実は以前読んだ事のある本だった。
元々、コンピューターが絡んだ小説という事で読み始めた訳だけど、原発絡みの問題も絡んでいて、フィクションではあるけど、いろいろ考えさせられてしまった。
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1999年の作品だが、2011年の東北関東大震災の福島原発事故に重なる内容で
改めて原発について考えさせられた。
福島の事故はその後どうなっているのか?ちゃんと調べなくては…
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1999年に書かれた話なので、パソコンに関する部分はもう石器時代のような話かもしれないけど、面白かったです!というか私てんでわからないので理系な匂いだけ存分に嗅いで満足しましたが…。
アップルのスティーブ・ジョブズ、マイクロソフトのビル・ゲイツ、そして日本に羽嶋ありと言われる超一流技術者の主人公。そんな彼にとって最初はイントゥルーダーでしかなかった息子が、その友人、会社の先輩や結城の話から段々と人物像が浮かび上がってくる。
根性があって、頭も切れて、2億円を撥ね退ける健全で強靭な精神力もある。
ほんと、理想の息子を具現化したような好青年ですよ…。それがまたほろりと来る。
作者の、科学技術への愛情と誇りが感じられて読んでいて気持ち良かったです。
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10年以上前に描かれたミステリー。原子力発電所のデータ捏造、活断層の存在、東京電力の腐敗(小説上では関東電力)といった、ここ数年で話題になったことが次々にでてきます。ここに、25年前に別れた女性や、存在もしらなかった息子の存在。覚せい剤にスーパーコンピュータが絡んでくる、これで面白くないわけがないというような小説。作者のストーリーテラーとしての能力の高さが光ります。
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内容(「BOOK」データベースより)
25年前に別れた恋人から突然の連絡が。「あなたの息子が重体です」。日本を代表するコンピュータ開発者の「私」に息子がいたなんて。このまま一度も会うことなく死んでしまうのか…。奇しくも天才プログラマーとして活躍する息子のデータを巡って、「私」は、原発建設がからまったハイテク犯罪の壮絶な渦中に巻き込まれていく。