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紙の本
黄金にうえた男たちに滅ぼされた古代文明
2002/09/30 20:08
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投稿者:山瀬暢士 - この投稿者のレビュー一覧を見る
増田氏のこれまでの著作に基づき、16世紀のスペイン・ポルトガルの海外進出時代である大航海時代において、黄金に魅入られたスペイン人たちが現在のラテンアメリカやカリブ海領域における侵略、征服、原住民社会の破壊をいかに行ったか一冊の本に簡潔に読みやすくまとめてある。新しい知見を入れてはいるが、一般向けに簡潔な内容を目指していることから多くは盛り込まれておらず、大筋においてこの著者が過去に出した本の内容を踏襲している。通史なのだからこれで特に問題はない。ノンフィクション作家ヒュー・トーマスのアステカ帝国征服に関する著作を取り上げるあたりは(学者たちからも結構評価されているのは確か)英文学科出の著者らしい考えだと感じた。
以前出た本と基本線は変わっていない為、これまでに出版された増田氏の本を読んだ事がある人であれば特に買う必要もないが、これからこの地域におけるスペインの征服時代を知りたいという人は一読の価値があろう。価格が3000円というのは今の時代には少し高めに思われるかもしれないが、写真も豊富だし、無難な価格であろう。
インカの部分は私の専門ではないものの、アステカ征服については少し補足しておきたい。巻末に載せられている参考文献(外国語文献が載せられていないのはこの本の読者層を考慮してのことだろう)では一次資料のみが載せられ、別の視点から見た研究者の本の紹介が欠落しているのが残念なところ。アステカ帝国征服については、『インディオの挽歌—アステカから見たメキシコ征服史』、、『アステカ帝国滅亡記』を比較参考にするといいし、これを書いている私もアステカ帝国征服に関しての自分の見解を、『アステカ文明』(購入は太陽書房からの直接注文)で論じた。
ペルーに関しては著者も言及しているプレスコットの著作が『ペルー征服』として講談社学術文庫(長く在庫切れのまま)から出たことがある。
この本を読んで、この時代のことに関心ができた方々は、こうした本を読んで比較検討してみると面白い見解を見出せると思う。
私もアステカ征服の本を書こうと思っている。どこか関心のある出版社はないであろうか。
5をつけたのはこの著者の本はいつも平明で読みやすいことから一般読者には最適だからである。
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