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紙の本
愛と妄想
2003/09/29 11:33
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投稿者:カワイルカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
二十代から六十代までの女性の夢(というより妄想)をモチーフにした作品集である。はっきり妄想とわかる場合もあれば現実なのか判断がつかない場合もある。最後にどきりとさせられたかと思えば、何かが起こりそうなのに最後まで何も起こらなかったりと、まったくうまいものである。普通ならありえないような変わった設定ばかりだが、愛が妄想を生む過程が少しも不自然さを感じさせない。
小池真理子の短編のうまさには定評があるが、本書は数多い彼女の短編集のなかでもベストではないだろうか。。(全六篇)
「彼なりの美学」
失恋した直後に中年の醜男に声をかけられ、彼の家に同居することになった若い女の話。男は女を美術品のように眺めるだけで、彼女の体には触れようとしない。男は独特の美意識を持っており、女はそれを満足されるためだけの存在でしかないのである。女は男に見つめられ、たえず美しいといわれているうちに、いつの間にか彼の虜になってしまう。
中年男の描き方が絶妙である。はじめはさえない醜男に過ぎないが、やがて彼の美意識が女を惹きつけ不気味な展開になっていく。
「秋桜の家」
物語は主人公の中年女性が夫に死なれ、義理の息子が帰ってくるのを待つ場面から始まる。女は義理の息子と一回関係しただけだが、彼を忘れることができない。彼はある秘密のために消息を絶っていたのだ。彼女には彼の秘密が本当とは思えず、それについてあれこれ想像しながらつじつまを合わせようとする。
一見月並みは設定だが、たんなる義母と息子の情事ではないところはさすがである。
「シャンプー・ボーイ」
主人公は四十八歳になる老舗の和菓子屋社長の未亡人。一人暮らしで退屈しきっている彼女の家に、ひょんなことから行きつけの美容院のシャンプー・ボーイが住み込むことになる。どこにでもいる顔つきの若い男だが、彼女は彼のたくましい腕でシャンプーしてもらうのが快感だった。
情事に発展するのか、事件に巻き込まれるのか、何があってもおかしくない状況である。この先は読んでもらうしかないが、とぼけたユーモアのきいた傑作である。
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