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歴史小説の読みどころ

2002/08/30 14:35

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

歴史時代小説9編がおさめられた短編集である。初めて読んだ作者であるが出版社が「新人物往来社」だけあって、歴史全般に相当の博識な方と見えた。全体に和漢混淆の記録文体と文献の適度な引用により虚構ないまぜの世界を展開して飽きさせない。実在の人物同士、作者の創造上の人物の組み合わせの妙、そこから生まれる意外性は歴史小説を読む醍醐味でもあり、ミステリー愛好者にも通ずるものがある。
果心居士が幻術を持って秀吉の心胆をさむからしめる「最後の幻術」、逢魔が刻に物の怪に襲われるという奇事異聞で偏屈者の滝沢馬琴を揶揄する「通り魔」、媚薬をもって花魁を口説こうと、大失態を演じる大店の若旦那の艶笑小噺「イモリの黒焼き」、若い時分、放蕩無頼の英一蝶が経験した妖異譚「耳きり」、太田蜀山人、山東京伝、蔦屋重三郎らが左甚五郎作の張り形を趣向に大名を金づるとして郭で遊ぼうとするこれも艶笑キワモノ「こりゃ御趣向」、高師直と塩冶判官の確執に絡めて吉田兼好の賢しらぶりを皮肉る「艶書代筆」、武田勝頼の無能と家宝大事の作法を通して下級武士の悲哀を描く「楯無」、松の廊下刃傷事件にかかわる人々の悲劇を描く「枝もゆるがず」、奇天烈な剣法を持って辻斬りと決闘する貧乏浪人の「髪切り異聞」。よく知られた怪異譚、江戸中期の戯作者たちの風流譚、武士道哀話の三つのテーマで編纂されている。
歴史、とくに正史は英雄偉人のあとづけであるから、そこで端役となった人々は埋もれ忘れられただ古文書の片隅にわずかな記述が残されているに過ぎない。そこにスポットライトをあて、作者の創造力で生き返らせる。この短編集はそんな面白さがある。歴史小説の常道でもある。
ただし、私のような歴史エピソードに暗い輩にとって、本筋がまずよくわかっていないところから出発するのだから、この「実はこうなのだ」という論法に「なるほど」と膝を打つ境地にいたらない、といささかひがみっぽくなるのである。さらに言えば文中、たとえば冒頭、「打刀の栗形に吊るした打飼袋を取って焼飯をひと握り口にした」とさらりとした記述がある。意味がわからないとなると大いに気になって、「打刀」「栗形」「打飼袋」と広辞苑を引く、しかし、全体イメージがつかまえられない。いたるところそんな風だから、勉強にはなるけれど面白さに夢中になる手の小説ではありませんでした。電車内で読むとわからないままに読み飛ばすことになる。
奇想天外さでぎょっとさせてくれた「最後の幻術」、忠臣蔵はよく知っていただけにその裏話「枝もゆるばず」の2編はよかったが、さてどこまで楽しめるかとなると、歴史物の素養の程度と好みの問題ですね。

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