紙の本
人でなしたちの織り成すストーリー
2005/11/14 05:03
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:suguzr - この投稿者のレビュー一覧を見る
・むしろ
タイトルにある<零崎人識>は呼吸をするように人を殺したり殺さなかったりする殺人鬼ですが、人間失格なのはむしろ主人公です。
しかしこの社会では人間失格たちは自らを不要どころか有害であると理解しつつそれでも生きていかなければならないのです。
すべてのものはより、あり続けるために複雑に進化していきます。進化には方向性はありません。例えどんなに無駄に見えるものでもそれが積極的に滅ぶ理由にならなければ、多少の不便、害があろうとも生き残っていきます。相が突然変化した場合、今まで無駄に思えたものが有用になる可能性があるため、むしろ無駄は多様性の維持とかいう名の下に肯定されます。
……そして自分が無駄と知った者は。世界の予備補欠(決して出番の無い)であると知ってしまった者は。それでも生きていかなければいけないなんて。
・無駄、無駄。無駄無駄無駄無駄
群れを構成するものの中には、一見して無駄なようなもの、というかほんとに無駄なものが存在します。「あそび」と呼ばれる部分です。しかしその無駄を含めて’群れ’というのです。よく言われるのは、働き蟻のサボっている奴らを取り除いて新しいエリート集団をつくっても、またそのエリート集団の中で以前の集団と同じ比率でサボる蟻が出てくるという話です。ホントかどうか知らんけど。
しかしそれは蟻の話です。人間は過度に無駄に発達した情報伝達手段を手にしたため、下っ端が自分が下っ端であることを知っています。自分の所属する群れがどんなものであるか。自分がその群れの中でどのようなポジションに位置づけされているか。そのポジションが不動、少なくとも自分はそれを動かせないであろうこと。そして、自分がいかに不必要で害悪を成すでくの坊であるかを世界から思い知らされています。
それでも…… 限りなくやさしいこの世界はその無駄の存在を、害悪の存在を、見逃すと言う手段によってではなくむしろ積極的に許し認めてくれるのです。それこそこの世界で一番残酷な事実と言えるでしょう。
・「どうでもいい」ということがここまで酷いとは。
本作は、人でなしたちの織り成す最低最悪のストーリーです。 殺人が日常である最低で気さくで爽やかお人よしの大量殺人鬼。
怨恨と嫉妬と呪いの塊である(殺人犯として)普通の殺人犯。
そして心にも無い最低の戯言により純粋な女の子の魂を冷静に冷酷にこれっぽっちの’悪’も感じず地獄に落とす、殺人鬼よりも酷い、ここまで酷い主人公はいまだかつて存在したことのないというほど酷く惨い、どこにでもいる普通の大学生の主人公。
タイトルにある<零崎人識>は呼吸をするように人を殺したり殺さなかったりする殺人鬼ですが、人間失格なのはむしろ主人公です。と言うか、主人公を、いや、主人公が吐いた戯言をか、カッコイイと思ってしまった私の方です。でも主人公と友達になりたくはありませんし、なりたいと思っても無駄でしょう。
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良くも悪くも衝撃的
2004/04/05 13:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ながおかゆうき - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトル通り、衝撃的な内容・結末でした。読み終わった後、これほどまで呆然とさせられた物語はそう無かったと思います。良い意味で吐き気がする程の話でした。
前作と同様に、雰囲気に合わない方もいらっしゃると思います。しかし、この雰囲気が好きだという方はもちろん、主人公・いーちゃんの考えに幾らかでも共感できると言う方もいらっしゃると思います。どちらの方にも必ずとはいえませんが、一読の価値があると思います。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:言ノ刃 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回の作品は、デビュー作の『クビキリ〜』とはまた一味違った感じでした。
登場人物は前作に引き続いて出てくる人もいれば、今回新しく登場する人もいます。いやあ、西尾さんの考える人物はどれをとってもおもしろい…。
そんな個性的な人物達が現れ、また話は展開していき事件は起きる。
しかし今回の〈戯言遣い〉いーちゃんは、違う…気がしました。
なんというかこの作品、考えさせられることがたくさんあるんです。いーちゃんが『人間失格』である零崎人識と出会った時から、一気に世界が変わったような感じです。多分この出会いはいーちゃんにとっても零崎人識にとっても大きな影響を与えたと思います。
話の展開は、読んでいてとても読みやすいと思いました。そのストーリーの中で人物達がいろいろなところに出てくるので読んでいても飽きません。むしろとてもおもしろいと思います。
やはり二作目もおもしろい!! 一作目を読んだ人はこちらも続けて読んで欲しいです。
西尾さんの作品を読んだことの無い人でも、この作品は十分楽しめると思います!!
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▼「『月姫』好きな人にお勧め」っていう意見を聞いたことがあるけど、成る程零崎人識といーちゃんの関係には、琥珀さんルートの志貴と四季っぽい感じがありますね。▼最後のいーちゃんの一言が響くかどうかが、この作品の肝だと思います。私は……うーん。いーちゃんも幼いよなあ、と思います。もうちょっと彼が大人だったら、巫女子ちゃんはああならなかったかもしれない。▼好きな人の為に間違っていかざるをえなくなる……というストーリーの構成は、ちょっと佐藤友哉さんぽかったですかねえ。▼前作よりいーちゃんが行動的で、ちょっと凄い人です。▼「語り手」いーちゃんと「読み手」の距離が微妙に離れている為に、「読み手」が肝心のところを見逃さざるを得なくなる。今回のトリックでもその手法を上手く使っています。▼章題が駄洒落てます。駄洒落っていうと「クビキリサイクル」に清涼院氏が書いた帯「西尾氏、一押し」が脳内に出て来るんですけど……「あう」。
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鴉の濡れ羽島で起こった密室殺人事件から2週間。「ぼく」こと戯言遣い・いーちゃんが、級友・葵井巫女子とその仲間たちと送る日常は、人間失格・零崎人識との出会いによって脆く崩れ去っていく…。
読み終えたあとに飲み込む時間がなんだかとてもかかりました。
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人識登場のまき。
相変わらず登場人物の名前がぶっとんでる。
巫女子トカw
主人公ぃーたん
恋愛風味も入りつつ。
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前作に増して、黒い渦は深く大きく広がっております。
相変わらずぐさりとくる台詞と重さのある展開。
あるキャラクターの狂気の様にはぞくっと来ます。
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≪評価≫
インパクト─B
本の厚さ─B
登場人物の濃さ─A
共感度─D
読後の成長性─D
話のスケール─C
笑い─C
暖かさ─D
常識度─E
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ロマンチスト〜
戯言シリーズ2作目。
XとYの謎というか暗号?はネットでやっと分かった。ヒントはいーが思い出したタイミングだったのね〜っと。いーがかなり弾け〜。指、痛いだろ。
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自分は巫女子ちゃんが大好きなので、この戯言シリーズで1番好きなシリーズです。
今回は人間失格の零崎君が登場、またも維新節炸裂!ってな感じ。最後の暗号みたいなのがイマイチ理解できなかったんだけれど巫女子ちゃんが出てくるあたりまではとても楽しく読めました。
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ふあーっと。読み終わりました。うーん、やっぱりミステリはサクッと短時間で読むべし、だね。というか、時間かけて読んでらんないっすね。
前作『クビキリサイクル』から、約1ヶ月半、間が空いております。なぜなら図書館でいつまで経っても、リクエストの順番が回ってこないからですな。いや、もちろんそのつもりで居たけど、これだけ間が空いてしまうとは思わなかった。迂闊だった、あやうく忘れるところだった。前作を読んだ時は、結構おもしろいかも、と思ったしこれなら買っても良いかなって思ったんだけど、私の衝動買いは成功した試しがないので止めたの。今作を読んでみて、止めて正解だったと思ってしまったぞ。悲しいなぁ。
この人の作品を読む際、一番意識して書かれているように思うのが、「殺人の動機」及び「トリック」。これはミステリに欠かせない条件であるにもかかわらず、いわゆる本格モノと比べると説得力がない。どうして説得力が無いと感じるのか、読みながら考えていたのだけど、多分、あまりにも感情が個人的すぎるからだろう。ネタバレで申し訳ないが、人を愛しているがために殺すという発想は、想像しにくい。それはもちろん、よく使われる類の動機ではあるのだけど、ここではどんな動機でももっとストレートなわかりやすいものでないと違和感があるように思う。ただ別にそれが本書の善し悪しを判断する材料として指摘しているのではなく、ソレがむしろ魅力になっていると言いたいだけ。
今回登場した「通り魔殺人犯・零崎人識」は、きっと今後の作品にも頻繁に登場するであろう人物であるが、今回は事件と直接関わらない。また、前回から登場している謎の「請負人・哀川潤」の存在も、ミステリ的展開との関わりは希薄だ。ただそれなのに、メインの事件よりもこの2人の存在の方が、いーちゃんの存在を際だたせる立場として、インパクト絶大だし、それが目的だろう。彼と彼女を通していーちゃんの姿を浮き上がらせるという役割でのみ登場していても、おかしな事など何もないし。あと、今回初登場の隣人浅野みいことその友人・鈴無音々は、今後も絡んで来るであろうし、また刑事の佐々沙咲も雰囲気出てる。
前作を読んだ時には敢えて感想を書かなかったのだけど、それは一冊目だったので遠慮していただけで、この西尾維新という人はつっこみ所満載である。文体や台詞の言い回し、しつこい意味のない繰り返し、同義語の連続。多分読んだ誰もが、「おいおい」と、ちょっといやーん、な気分にさせられることであろう。また、ここで西尾氏が描こうとしているのは、ミステリそのものではなく、ミステリというものを利用してもっとドロリとした心理描写であることを考えると、では何故ミステリにする?といった疑問さえも残ってしまうほど、ミステリとして描かれるべき理由が理解できない。要するに、私にとってこれは全くの私小説然とした要素を強く含んだ文章であり、まったく本格ミステリとは言えないからである。
ここで使われるトリックにしても、どんでん返し狙い型のトリックであるにもかかわらず、大した驚きがない。結構瑣末で強引な展開の仕方なので、あ��が、どうやらその辺に突っ込みを入れるのは野暮、ということが読者の暗黙の了解らしい。トリックの思いつきというのは、私には出来ない芸当なので、それがどんなに粗末なものでも、スゴい、とは思っているが。身も蓋もない事を描いてしまえば、よくある人間の心理を、しょぼい仕掛けと非現実的な設定の中で見せる、という読み物。
今回の殺人事件での動機とは、「愛」と「友情」の二つ柱。人間通しの繋がり合いをほとんど持たないいーちゃんと、とても大事に扱っている4人のクラスメイトとの、その認識の違い。あんまり詳しく書くとネタバレになってしまうけど、まあ良いや。巫女子ちゃんは、いーちゃんに対する愛情から友人を殺害し、むいみちゃんは巫女子ちゃんに対する友情から友人を殺害する。そこには、どれだけ親密で重要な関係の中にも「優先順位」というものが歴然と、都合の良いように存在してしまっていた。
ただ、今回私にとって一番印象に残っているのは、「人殺し」というものの、理解だ。いーちゃんは零崎に対してしつこく「殺人」をする理由を問いつめるのだが、そこには答えはない。ただ、それは人間の基本的欲求と同じレベルで存在している、衝動である、という零崎にとっての意味しか無い。多分、この2人の会話の時点で、いーちゃんは事の真相を薄々勘付いていたであろうし、今度の展開も読めていたいーちゃん。全部の事件が起こり終えるまで、どうなるか解っていたくせに、それに対して対策を行わなかったのには、その「殺人の動機」というものが絡んできていると思う。そして、何故か巫女子ちゃんの起こした罪は絶対許さないくせに、零崎の罪は許してしまえるいーちゃん。2人の殺人犯の持つ、殺害の動機は確かに全く異なることであるが、いーちゃんにとって、殺人とは動機が全てなのだろうか。
自分のために、友人を殺害する巫女子ちゃん。自分が生きてく上で、人を殺害する零崎。その変の、いーちゃん自身における、中途半端な意見がまだまだ未消化だな。この辺のテーマは別個で語られるのかも。
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ミステリとしては、解決の提示の仕方に不満がおおあり。ひどくこなれていない印象を受けてしまった。というか、語り部が(叙述トリックでもないのに)嘘ついてる時点でミステリではないが。ミステリというカテゴリで括るのが間違いなのかも。キャラクタは前作に引き続き嘘くささ満点で、良い。というか、強烈すぎ。痛々しいくらいに瑞々しくて、心地よい。
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「戯言シリーズ」の第二巻。ミステリー小説としてみたら「う〜ん」と思ってしまうが、エンターテインメント小説として読むなら文句無し。人物造形がいかにもコミック世代ですが、それが気にならない方(作者と同世代かそれより下の世代の方)にはお勧め。
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2004/12/24読了。
「――お前はお前の存在を許すのかってさ」自分としては、案外建設的な読み方ができましたが…もう少し病んでいたらどうだったか。
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戯言シリーズ2巻。
いーたんの考えはあたしとかなり似てました。(苦笑)
自分的には人識が好きですな。