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反体制を生きる評論家はいかに生まれたのか?

2002/08/16 21:43

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:uwasano - この投稿者のレビュー一覧を見る

 評論家の佐高信氏が、自分自身に影響を与えた100冊を紹介したブックガイド・ブックである。佐高氏が激辛とか辛口とか言われるような、物議をかもす評論を書くようになったのはなぜなのか? その答えの一部が、この本で分かる。
佐高氏は、慶應義塾大学卒業、郷里山形で高校教師、離婚して上京、経済雑誌編集者、評論家として独立、今に至るという人生を歩んできている。このうち、大学在学中から高校教師の時代と、編集者から評論家である今の時代と、2つの時代に読んだ本の違いを比較してみると面白い。
 佐高氏は法学部出身で、卒論は自然法と社会法の理論に関する論文だった。盗聴講によって、学習院大学の哲学者・久野収との出会いなど、物事の根本を考える哲学的な思想の核が、この時期に出来上がる。また、教師時代に魯迅の購読会を行う等、魯迅の影響も大きい。「フェアプレイは時期尚早」という考えや、「この子は将来、死ぬだろう」というような、言ってはならないことを言うという魯迅の影響が、現代の佐高氏の評論に受け継がれている。
 離婚して上京後は、つらい時期があった。劇画の『子連れ狼』を泣きながら読んだという話は、佐高氏の別の本でも紹介されていて知っていたのだが、氏は独特の読み方をしている。経済雑誌編集者の世界=冥府魔道の世界と、その世界で生きる自分=刺客道を生きる拝一刀と、タブらせて読んでいる。まさしく雑誌の同業者から怒られるような話だが、ほとんど広告の収入で成り立っている経済雑誌の世界を、あっても無くてもいい世界と感じ、理解しにくかったようだ。「広告とは何か」というようなことを考え、『広告を考える』(三省堂新書)という本も紹介されている。この時期の経験が、後の評論で展開された、バブル批判(ニセモノと本物、虚業と実業、バブルとバブル以外のもの)へのこだわりの原点になっている。
 伊藤肇・城山三郎・清水一行・梶山季之・森村誠一といった、作家の本も雑誌編集者時代の読書である。平成の現代、経済小説はエンターテインメントの主流となりつつあるが、その源流が作られる時代に、佐高氏は経済小説の解説でのしあがってきた。教師時代には読まなかったそれらが、現代の仕事の糧になっているという運命の面白さを感じる。経済小説解説による現代批判のワザは、今でも佐高氏の仕事の主流を占める。
 思想の骨格は、学生時代から教師時代に固まり、編集者時代から評論家である今、読書を武器として活動するという生き方を展開させている。佐高氏以外に彼みたいな人は思い浮かばない、希有な人である。紹介する本1冊1冊に、相当な力を込めた語りになっているので、「私は変わりたい」というと、山本康人著の漫画『鉄人ガンマ』のセリフみたいだが、多くの人にお勧め出来るいい本である。これを読めば、佐高氏のような激辛評論家にはなれるかもしれない。まあ、なりたいとは思わないか。

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