- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
紙の本
この二人好きだなぁ。
2016/02/19 22:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:師走 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゲド視点じゃないのか、と最初こそついていけなかったけれど、このアルハかわいい。
最後はほっとしました。
紙の本
見知らぬ場所を訪ね、困難のうちに宝物をさがし、とらわれの人を救う冒険物語。今だからこそ、「伝統」と「解放」について考えさせられる「深み」を増した物語。
2006/08/21 01:19
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
外伝を除く「ゲド戦記」5巻の中で、一番冒険物語らしいのではないかと思える。勇者が、見知らぬ土地へおもむいて失われた宝物を探したり、とらわれの身になっている人を救い出したりする物語を「冒険もの」として刷り込まれた私のような者には……。そういう目的の明確な物語であれば、プロポーションのすっきりした展開が楽にできるはずなのに、邦訳で200ページ余りという長くない中篇のなかで、作者はは実に技ある書き方を選んでいる。どういう勇者が何のきっかけで冒険に出ることになったのか、どういう困難が待ち受けているのか——「昔むかし、あるところに……」というなじみある語り方ではなく、勇者が冒険に出向いていく場所の説明を、そこで救われることになる人の視点から書き起こしていく。そこが意表を衝くものとなっていて新鮮味がある。
いろいろな要素が対比的に描かれており、たとえば、「とらわれの人」を救うはずの勇者が最初は「とらわれの身」となってしまうようなことがあったり、暗闇でかけられる魔法にあでやかな美的場面があったり、勇者が女性を救うという流れにロマンティックなものがあったりで、私はこの物語がとても好きだ。映像化されるならば、この巻がふさわしいと思っていたのだが、再読してみて、冒険の場所の光があまりにもアンダー過ぎると苦笑した。そこは真っ暗闇なのである。魔法の光がともされるまでは……。
舞台は「名なき者たち」と呼ばれる、人間以前の時代に世を支配していた存在がまつられる墓所。足下は巨大なる地下迷宮になっており、ここには光が届かず、また、光がともされることもない。そこに足を踏み入れることが許されているのは選ばれた大巫女だけであるが、彼女は手さぐりで迷宮を歩けるようにならなくてはならない。その大巫女さえ立ち入らない迷宮の奥に、最大の宝として伝説の腕環が眠っていると言われている。欠けた腕環だ。欠けた部分と部分がつなぎ合わされることで、この魔法物語の世界アースシーが平和に統治されると言われており、そのために魔法使いとして脂ののったゲドがやって来るのである。しかし、ゲドはただ目的のためにやって来る勇者ではなく、欠けた部分の片方に「えにし」があるからこそ、やって来る。それについて、前巻『影との戦い』で僅かに触れられていることが心憎い。
アースシーという世界を構築していくに当たり、作者がいくつか用意した伏線は、連作を物の弾みで建てられるシリーズとはしなかった。世界の様相を少しずつ読者の前に明らかにしていく要素として、堂々とした梁や柱のように提供する。見事だ。ただ、蛇足だが、第4巻以降、伏線はそこまで追いかける必要があったのかと思わなくもない。それについては、改めて第4巻『帰還』にでも書いてみたい。
私たちのいる現実世界からの抽象度を高め、冒険物語を冒険物語の域で留めている本作の完成度は高い。けれども、作者がこの物語を発表した1970年から40年近い歳月が流れることにより、むごく展開された歴史のいくつかが奇しくもここに読み取れるようになってしまったように思える。それは、ル=グウィンが現実世界の出来事を象徴的に流し込もうとした『帰還』以降とは反対の流れだ。つまり、現実が物語に追いついてきてしまったということも言えるのではないか。
ヒンドゥーには「寡婦殉死」という戒律があったようだが、タリバン支配が進んだアフガニスタンの女性たちの処遇には、アチュアンの墓所の巫女たちのようなものがある。就学もスポーツも許されず、家の囲いのなかで家族のためだけに生きるよう義務づけられている女性たち。この巻ではフェミニズムは抑制されたものとなっているが、「伝統」と「解放」ということを抽象度高く書いているがために、読者がより深いものを読み取れる内容へと、物語は時代により変化をもたらされたと感じるのだ。
紙の本
全四巻のゲド戦記の中でも,一番好きな作品
2002/05/28 22:08
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さとか - この投稿者のレビュー一覧を見る
幼くして名前を取り上げられた巫女アルハは,ゲドと出合った瞬間からゲドを殺さねばなければならない宿命を背負う。その宿命に押しつぶされそうになりながらも,それでもゲドに惹かれずにはいられないアルハ。
読んでいる間,ずっと「この二人は一体どういう結末になるのだろう?」と思っていた。たとえアルハが全てを投げ捨ててゲドの側につくとしても,ゲドと結ばれることは決してないような気がしていた。二人とも生きてゆく方向が全然違うから。
どきどきしながら読み進め,最後二人はどうなったか!?
私がシリーズのなかでこの作品が一番好きなのは,あの最後の二人の身の置きかたなのだ。
「結局どうなるのよ!?」と思った人は,ぜひ読んでみてください。
たぶんすごく……身につまされると思います。