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紙の本
サルトルって…
2002/06/08 22:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:メル - この投稿者のレビュー一覧を見る
かなり面白いのではないか、と思わせてくれる。著者もあとがきで書いているが、どうもサルトルはつまらないらしい、という先入観が私にもあって、これまでサルトルの作品はまったく読んだことがなかったのだけど、本書を読んで、サルトルの思想を触れているうちに、サルトルはけっして古くさいものではなく、今現在において再び読み直す価値のある作家なのではないかと思った。
本書は簡単にいうと、副題にあるとおり、これまでの実存主義のサルトルというものではなく、サルトルの倫理の思想の面からの読み直しであるといえるだろう。そのときのキーワードになるのがという言葉だろう。
ところで、サルトルは哲学者でもあり、文学者でもあった。サルトルは、なんでも二項対立にして物事を捉えるらしく、それが批判されるところらしいのだが、サルトルには常に同時に二つの項目がつきまとっている。サルトルのスタイルの特徴にオクシモロン=矛盾語法があるという。この語法は哲学の語りにはふさわしいと思われないのだが、サルトルはたとえば「われわれは自由の刑に処せられている」といったように語る。
どうして、サルトルは同時に二つの項目を、時に矛盾するようなことがあっても、抱えているのだろうか。と考えると、サルトルの後期のテーマにというものがあるらしい。《普遍と独自を安易に総合することなく複眼的に両者を捉えること、これこそ後期のサルトルのテーマであった。》サルトルは人間は、独自であって普遍であると考えている。なるほど、それならサルトルが常に哲学者であると同時に文学者であるのも納得がいく。個別的な文学があって、それが普遍的な哲学へとつながっていく営み。それがサルトルだったのだろう。
本書には、他にもサルトルにとって<読むこと>と<書くこと>とは何か、ということも書かれてあって、とても興味が尽きない。かなり魅力的なサルトル入門書だと思う。
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