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ダリ全画集 みんなのレビュー
- ダリ (画), ロベール・デシャルヌ (著), ジル・ネレ (著), Kazuhiro Akase (訳)
- 税込価格:4,400円(40pt)
- 出版社:タッシェン・ジャパン
- 発行年月:2002.6
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紙の本
図版1648点、ダリの全てがこの中にある。イメージの宝物庫
2002/07/01 22:15
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投稿者:牛尾篤 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファンタジックな映画を見ている時、この場面はダリみたいだ、と思うことが度々ある。
ほうきに乗ったハリー・ポッターが、羽根のついた無数の鍵に追いかけられる場面、バロンに登場する首だけの男女、空中で静止した様々な物体のまわりを、カメラが回転しながら写しだせば、やっぱりこれはダリじゃないかと思ってしまう。
シュールレアリスムの研究者が忌み嫌う「シュールな光景」という言葉が、ダリによって私に植えつけられているのだ。
この『ダリ全画集』は、一六四八点の図版からなる、文字通りダリの全作品がおさまった一冊だ。二十才で最初の個展を開いた時はすでに粘着質なタッチで一つ一つの対象を描き込む作風が確立している。恐るべき早熟さだが、それまでの十代のダリの作品群を見て私は驚き、かつあきれかえってしまった。
一九一〇年代から二〇年代、当時の新しい絵画様式の全てを十代の少年が、学びとろうとしているのである。古典主義、印象派、表現主義、構成主義、点描派、コラージュ、野獣派、何がなんでも盗むだけ盗んでやれといった具合に作風は変化を見せる。しかし描かれた人物像は孤独で後年のダリの作風が時おり様々なスタイルの絵の中から顔を見せる。
ダリは様々なスタイルの絵画を学びながら、その長所より、弱点を見つけだそうとしていたのではなかろうか。ダリのアンテナは素早く世界に起ったことをキャッチし、それはすべて彼の絵画世界に写しかえられる。ビニールシートのようにめくられる海、融けかかった時計、どこまでも青い空を背景に、ゆっくりと歩む細長くのびた足を持つ巨象。
本書の終わりに、魔法使に扮したダリが手に持った帽子から白い粉を落としている写真がある。君達の望むイメージをいくらでも私は作りだしてみせよう、はね上がったひげのある顔はそんなふうに私達に語りかける。 (bk1ブックナビゲーター:牛尾篤/画家・イラストレーター 2002.07.02)
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