紙の本
公安との暗闘
2002/07/22 11:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:奥原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新宿鮫シリーズ第六弾。今回は、これまでも鮫島と公安部との暗闘は多岐に渡って繰り広げられては来たが、メインテーマとして描かれるのは初めて。
キャリア警官は入庁したら階級は警部補から始まる。そして殆どの者が一年後には警部に自動的に昇級する仕組みになっている。
しかし鮫島は入庁してから何年も経つのに未だに階級は警部補のまま。しかも警視庁ではなく、所轄署である新宿署の生活安全課に勤務する一警官の身分である。なぜこのような飼い殺し状態となっているのか。詳しくはシリーズ第一作目の新宿鮫に描かれているので割愛するが、つまるところ鮫島は公安部の監視対象となっているのである。
今回の出だしは、あるホテルの一室でCIAの元工作員が変死する。調べていくうちにこの元工作員は過去に公安警察と結託して日本での政界工作を行っていたことが明らかになる。そして当時、約二十年前に殺人事件が起きていた。
捜査を進め、核心に迫る鮫島。それを阻止しようとする元公安警察の立花。立花は鮫島の手からある秘密を守ろうとして手段を選ばずに鮫島を仕留めにかかる。いったい立花は何を守ろうとしているのか。
ラストの種明かしには相変わらず驚かされる。
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恋愛は生き物で、いやでも勝手にいろんなステージに登らされるのだなあ、たとえ鮫島みたいなストイックな男でも。と読後考え込んでしまいました・・・
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第六作目のテーマは強いて言えば公安警察。鮫島は警察の暗部が書かれた書類を持っているために常に身内であるはずの公安警察にマークされているというのは一作目でも描かれた鮫島の背景だが、本作ではその原点に立ち返って鮫島対公安警察の暗闘を描いている。文句無しにお薦め。
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新宿鮫シリーズの中で一番好きなのはこれ、鮫島みたいな一匹狼オヤジが好みな方はこれは読むべし。
鮫島の過去にも関わってます。
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警察内部が本当にこんな感じであったならばとても信用できませんね でも結構近いのかも...
シリーズ第6弾なのにこの面白さはほかにはないかも よい小説100冊目でした
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クレジットカード偽造集団を追っていたはずの鮫島が、元CIAのアメリカ人殺害事件を契機に、ヤクザと公安、ひいては政界との繋がりにまで切れ込む非常に複雑な作品。公安警察と警視庁の溝や、桜井商事という謎の諜報機関によって鮫島の行動はまさに孤立無援の様相を呈するが、第1作目で鮫島と激しく反目しあったキャリア組のエリート・香田と一時的に手を組むなどして、徐々に事件の真相に迫って行く。いやー、それにしても面白かった。「コレだよ、コレ!」って感じですね。非常に入り組んだ物語で、頭の中をイチイチ整理して
いかなくちゃならない様な複雑さがたまらない。なんか、もう「どう見ても無理だろ」的な状況を力技で打破する鮫島がカッコいいですね。こういう鮫島のカッコイイ部分が見れた反面、晶を裏切って(?)クレジットカード偽造事件の被害者で知り合った杉田とイイ仲になってしまった鮫島を見てしまい、少し複雑な気分…。「おおお、お前はそんな漢じゃねぇーだろーッ!」みたいな。まぁ、何はともあれストーリー的には非常に満足の作品。
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長編。シリーズ第六弾!!
元CIAのアメリカ人が殺された。この事件と関わりがあると思われる日系コロンビア人を追う鮫島。しかし彼は忽然と姿をくらます。そして鮫島の捜査にはことごとく公安から妨害が・・・。そしてまた事件が起こる・・・!!
いいっ!!最高にいい!!掛け値なしにいい!!
何よりもまず新宿鮫ってのは、警察組織ってものを細部にわたってちゃんと研究されててリアリティがあるんだよね。これは本物の警察官が読んでも違和感を感じるところはないでしょう。警察版『白い巨塔』か!?(笑)
単に刑事が事件を解くっていう、キャラ要素の一つとして刑事があるんじゃなくて、警察組織の表層だけでなく、内部というものにもきっちり言及されてるとこがいいんですよ!!そこがそんじょそこらの刑事物とは一線を画すところなのです。
それと何より、銘々のキャラが個性たっぷりで深い。みんな様々な身分や立場で個々に葛藤や悩みを抱えていて、それがちゃんと描ききってあるんだよな〜。
そして今回描かれるは、公安警察の闇、警察組織と政治家の切っても切れない繋がり・・・。アーンド!!鮫島の晶への気持ち!!ウキ×2する要素が満載なのです(笑)
社会派要素もあり、恋愛要素もあり、また、エスプリに富んだ会話もあったり。新宿鮫は最高です。刑事物の白眉だ!!
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新宿鮫シリーズ第6弾。面白かったです。堪能できました。今回の敵は巨大だったし、昌との関係もおかしくなったりで、どうなることかと思ったけど何とか収まったという感じです。でも事件のほうはこのまま終わるという感じではないような気もするし、次巻はどうなる?
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読了後、グッタリ...。いろいろと複雑で集中力のいるお話でした。何回か泣きそうになった!シリーズで一番面白かったかも!?巻からどうなっていくのか期待大!
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鮫島がクレジットカードの偽造犯を追ってる中、
あるホテルで元CIAのアメリカ人が殺されて、
そこから事件は複雑に絡み始めて…
事件に関わってる平出組に前岡って男を追うんだけど、
なぜだか、それを公安警察がはばかって…
事件を追っていくと、元公安警察だった
立花って男が浮かび上がってくるわけだ。
彼の上には元公安警察で今は政界にいる政治家が、
そんな複雑に絡み合ってる事件の捜査途中で、
葉山に住む杉田江見里って女性と出会った鮫島は、
昌という恋人がいるにも関わらず彼女に惹かれて行き…
ってな具合に警察機構のドロドロとした部分や、
公安警察のおそろしさ、政界の汚い陰謀、
なんかが描かれてる作品でした。
今後の鮫島と昌がどうなっていくのかも楽しみ♪
とりあえず警察組織と公安組織こえ~っ!
ってなること間違いなし。
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あー、もう鮫島にはがっかりだよ! と、読んでる最中思ってました。
晶以外の女にふらふらしているせいで余計に不愉快に思っちゃったせいもあるかもしれませんが、今までにもあった1人よがりなくせに自分を美化してるような鮫島の嫌な面がはっきりと浮き彫りにされていたな、と感じます。それが「人間臭さ」というのかもしれませんが、リアリティも欲しいけれどやっぱり物語の主人公には潔くして頂きたい、と望んでしまいます。
……と、何だか文句を並べていますが、お話の本筋である事件は、警察とか公安とかCIAとか色々出てきて、お互いのどろどろしたキャリア組の思惑とかが絡み合っていて楽しいです。
ラストの晶が格好良すぎます。
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5/26:あー、おもしろかった。鮫島と香田のやり取りが絶妙だね。ヒリヒリするよ。話が複雑で点と点が時代をまたがり、4次元になって超こんがらがる。全部を理解しなくても楽しめた。いやぁ、ハードボイルド。社会の闇。警察の暗部。
売れちゃった晶との関係はどうなるんだろうか。売れたいと思っていたけど、売れた後、旅行から帰ったように元の生活に戻れると思ってた、といっていた言葉が印象的。売る側は売れた人であればなんでもいいんだよ。残酷だ。
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5/26:シャーク is バック(僕の中で)。こりゃおもしろいや。公安の中でも色々あるんだ。話が複雑だけど、スリリングで読み応えあり。
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5/24:やっぱこれ読んだことある。途中で断念したやつかな。話が複雑で分かりづらいけど、2回目だからか結構すんなり入る。
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5/21:鮫再始動(僕の中で)
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遂にきたかという感じで、公安警察と鮫島との絡み(というかなんというか…)が面白かった今作品。
物語の構成は濃密でいて実に複雑でありながらも綺麗に解き明かされていく展開は流石で、読み終わったときにはたっぷりとした充足感を味わいました。満足満腹です。
また、メジャーとなっていく晶との間にできあがっていく距離と溝に苦しみ、そんな時に事件の中で出逢った魅力的な女性・杉田江見里に惹かれていく鮫島の、この人間臭さと揺れ動く心もまた切なくもあり悲しくもありで面白かったです。ラストはぐっときました。
登場人物では、「新宿鮫」では薄っぺらい厚みしかなかった香田が今作では三次元の厚みのある血の通ったキャラクターとして登場していたのが印象的で、香田が少し好きになりました(笑)。香田は今後も鮫島となんやかんやと絡んでいってくれたら嬉しいです…香田は嫌だろうけども(笑)。
また、前作も登場した謎の人物・仙田が今作も登場しましたが、今後も登場しそうな様子なので今後の鮫島と仙田の絡みも楽しみです(にこにこ)。
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新宿鮫シリーズは流石、読み応えあり。ストーリー展開が巧み。メインで登場する杉田江見里は、美しいが孤独で個性的な人。鮫島との絡みは、現実的ではなかったが、それはそれで面白い。
警察の中の公安の位置づけが良く分かっていなかったが、本作を呼んで分かった気がする。どこまで現実なのか?だが、日本の警察がますます信用出来なくなる。このシリーズは、ここまで、全作スリリングで面白い。
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とっても久しぶりの鮫で、前回までのあらすじをすっかり忘れてしまっていて、まずは振り返るのに相当時間を要したが、そんな苦労、このⅥの前では大したことではないのだ!
今回はこれまでにはあまり強く感じることのなかった、ちょっと歳を重ねた鮫島から、自分が生きる世界への倦みや痩せてしまった恋愛観に渋みがどっくどく滲みだしていて、それはもう痺れるようなハードボイルさだった。
たっまんね。
ストーリーの柱になる事件も派手さはそれほどなく、テンポもどちらかといえばゆっくりしていて、相手が公安ということもあってか、確実なタイミングで迫り、与えた毒が音もなくじわじわと相手の全身に回っていくような、そんな静かな死闘だった。
そんな中でことあるごとにビシビシと感じさせられたことは、(ある意味このⅥで)本当の鮫を見た、という感覚だった。
喰らいついて追い詰めていく鮫を、これまでは物凄く安心できるヒーローとして見ていて、どんなヒヤヒヤ場面でも今回のように胸が引き裂かれるような思いには至らなかった。
鮫が負けるわけないだろ? と、当たり前のように思っていた。
勿論、このⅥでも「新宿鮫」ならではの捜査に対する執念の強さは変わらない。
しかし彼の中の、弱みが、本能が、疲弊が、鮫を蝕み、いっそう手負いにさせていく。
本著ではそれがとても顕著だ。
だから在昌はこれまでずっと鮫が感じる恐怖を避けずに描いてきたのだ、とさえ思った。
傷ついて尚、立ち上がって歯を立てるその姿は、あまりにもただの30代後半の男だったのだった。
彼は、スーパーマンでもヒーローでもない。
人より少し運動神経が良いだけの、普通に恋をし、恐怖に怯えもする、普通の男なのだ。
それが解ってから、ページを進める手が途中、本当に辛くて仕方がない、という幸せ体験をさせてもらった。
特に今回はVS公安との図式にがっつり恋愛が入ってきているから、何だかもう尚更辛いものがあった。
また、香田のキャラクター造形がとても良くなっていて、鮫とは違うベクトルでの「警察官」であろうとする同期の言葉によって、等身大の鮫島がいっそう浮き出た感がある。
恥ずかしながら、これまで複雑で派手な事件の面白さに目が奪われがちで、過去により与えられた世界で生きることが「今の鮫島」にとってどういうものなのか、深く考えてこなかった。
だが、全警察官中、たった0.2パーセントしか受からないといわれる国家Ⅰ種に何を思い描いて挑んだか、そして一度は手にした「キャリア」という権力を持って、彼は何を目指したか。
(これまでに書かれていたのかも知れんが)そういった面で、鮫島の本音を香田により、そして桃井により引き出されていくところなんか鳥肌ものだった。
警察という組織の前に絶望し、だが全てを諦念で消してしまえる訳もない、鮫島の抱える苛立ちと閉塞感の濃さに翻弄させられて、おいらまで江見利に惚れそうになったぜ!
そんでまた、マホマホとプラトニックなのがいいんだよなあ!
晶もいつの間にか女になっちまって……!
在昌のラストの描き方の秀逸さがとてもやばいでござる。
何でこんなにこういう女の気持ちが解るんだよっ、そして鮫のズルイ真面目さがとてもやきもきさせられて堪らなくいい。
いいフェードアウトでござった。次回が楽しみ。
最後に、桃井好きが高じて、桃井がいちいち鮫の恋愛相談に乗るところで笑ってしまうのがいけない。
何だ、この愛すべき課長はっ。