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読み終わった後の、なんと言えない物悲しさは何なのだろう?
あっと驚くようなトリックがある訳でもなく、殺人事件が幾度か起こるが惨たらしい状況でも無い。
ただ、主要な登場人物たちの悲しい生き方が否応なしに響いてきた。
俗に言うミステリー小説を期待されると、肩透かしを食らうかもしれないが、ある意味、文芸作品として読むと秀作では無いだろうか?
かなり難しい脚本になるとは思うが映画にすると異彩を放つような気がしてならない。
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行方不明になった息子の伝記をゴーストライターとして書いてくれと言われた主人公。彼の半生を追っていくうちに何やら見えない糸にからめとられるように巻き込まれていきます。折原作品ですから、あることが仕掛けられているのはわかっています。でも身構えて読んでいたのに全くわからなかったです。そこか!だからか!と納得するのがそりゃあもう気持ちよいほど。そしてそのまま気を抜いてもいけないのです。内容を覚えているうちに絶対もう一度読み返して楽しみたいです。
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2018年本屋大賞発掘部門「超発掘本!」
樹海で見つかった白骨死体。近くに落ちていた免許証から、失踪した小松原淳と推定された。それでも、淳の母は息子の帰還を信じて、売れない作家志望の島崎に息子の伝記の執筆を依頼する。
幼少期までさかのぼって調査を進める中で、淳の周りで数々の不穏な事件が起きていることが明らかに。更に、過去の出来事だけでなく、現在もちらつく謎の男の存在・・・
インタビュー、新聞記事、小説、モノローグ・・・と、異なる文体で構成される600ページもの長編ながら、結して冗長な感じはなく、謎が謎を呼ぶ展開で一気に読んでしまいました。
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叙述トリックの名作と名高いので、期待して読みました。
確かに凝っていますが、トリックを成り立たせるために不自然な描写が頻発するのが気にかかりました。特に下2つは根本的に思えます。
・保育所で児童がいなくなっているのに保育士が誰も気づかない
・事件現場から血のついた物品が警察官の目の前で子どもに一時的に持ち去られる
・友達が死んだ直後に明らかに怪しい仲間から「あれは事故だ」と言われて「そんなものかな」と思う
・死にそうになっている時に思い出す自分の名前が、つい直前に改姓した苗字
・意味もなく存在を隠される子ども
失踪した人物の伝記を書き進める形でストーリーが進むのですが、肝心のその人物に魅力がないため、話に吸引力がないのも辛いところでした。
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折原一が自ら代表作と述べている名作(あとがきより)。
仕掛けがたくさんあって、
作中作もいっぱい出てきて、
考えながら読むにも非常に読み応えがあります。
伏線の張り方が、
チラ見せしてしばらく放置…みたいなのが多いのがちょっとイラっとします笑
話が進むにつれて朧げながら全体が見えてきても、
細部にまでなかなか辿り着けない、
これぞ叙述ミステリ!!な感じです。
あと、最後の謎解き部分が、
参照ページまで示してくれる親切設計になっております。
無粋と思う人もいるかもしれませんが。
----------ここからネタバレ----------
⚫︎取材中現れる中年の女、
その時は気になってたけど読んでるうちにすっかり忘れてしまった。
BGのくだりとか、はあ!?って思ったのに!!
⚫︎最後、なぜ淳と妙子がわざわざ潤一に会いに樹海に来たのか理解に苦しむ。
でも来なかったらラストには繋がらないわけで、
来るしかないけど。
⚫︎男性の作者は、
「子供の頃から異様な色気を放ってる少女」が好きだな。
⚫︎ユキが淳と潤一と両方と関係を持っていないとトリックが成り立たないわけで、
そのあたりは良く出来てる。
ただ、ユキが潤一に近づいた理由が良く分からない。
堕胎後の傷心で誰でも良かったのかなあ、最初は。
淳が、ユキと血が繋がってると分かった瞬間から生理的に受け付けなくなってるようだけど、
そんな簡単に変わってしまうものかな??
⚫︎ユキと結婚するから私は小松原潤一…ってのはちょっとずるい。
⚫︎なんで死者はいつも夾竹桃の下に埋まってるんだろうか。