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ブクログに来てから初めて感想を書く。院試初戦まで約1週間、帰省する列車内で読んだ。この本は、著者からサイン本を直接頂いた。著者の色々な問題も影響していまは絶版かもしれない。
僕の専門も素粒子・原子核の実験分野で、著者とは非常に近い(出身校と現在の所属も同じ大学)。にもかかわらず、入門したての僕には難しい部分もあったなあ。対象年齢は物理・化学系の大学2年生以上って感じかなあ。そこは絶対説明いるだろっていう概念や記号とかに説明がなかったりした。日本語もおかしい部分もけっこうあった気がする。
しかしRIビームがいかに画期的であったかということについては分かりやすく書いてあったと思うし、著者が研究者として一流の業績を挙げていることが改めてわかった。
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素粒子では標準理論が確立している現在、原子核のことはもっと解明されているのかと思いきや、構造のことだけ見ても、まだまだ未知な部分が多いのか。
本書は物理的にかなり突っ込んだ記述だが、読者を置いてきぼりにはしない。角運動量を含めた量子力学や統計力学を学んでおくとよりしっかりと理解できる。
3.11の原発事故とあとがきの書き方が影響しているのだろうか。絶版なのが惜しい本である。
・原子が分子として結合する場合、結合エネルギーが質量に比べて非常に小さい。化学結合はせいぜいeVのオーダーで、一つの原子の質量GeVのオーダーに比べて100万分の1である。逆に原子核より更に小さい素粒子などを論じる場合は、質量-エネルギーの関係は重要性が増す。
・宇宙がビッグバンから始まった証拠。1.元素比率。2.ハッブルによる宇宙膨張。3.宇宙背景放射
・太陽質量の半分以下の場合、水素からヘリウムまでしか進まず、白色矮星になる。半分以上3倍以下の場合、炭素まで進み、これは巨星であるが、やはり白色矮星になる。3倍以上8倍以下の場合、炭素と酸素とそれより少し重い元素まで進み、爆発する。8倍以上の場合、鉄まで進み、中心付近は中性子化を始め、大量のニュートリノが放出され、超新星爆発と呼ばれるコアの外の物質を吹き飛ばす。
・ただし、C-N-O、Ne-Na,Mg-Alサイクルは分かっているが、厳密に鉄までの元素合成が分かっている訳ではない。
・Rー過程がどこで起こっているか、分かっていない。超新星爆発モデルでは、中性子の量やエネルギーが不十分なのだ。中性子星同士の衝突によるのでは、という説もある。
・陽子過剰な安定核は連星系をつくっている中性子星などでの急激に水素爆発が起こるr-p過程でできている。
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核物理学に関する入門書で,読み物にしては重いが本分野を理解する足掛かりには良い。中でもRIビームの記述に詳しい。