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紙の本
「ムッシュ」ことかまやつひろしが、自らの語られざる半生を初めて明かす
2002/09/09 14:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日経BP社* - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ムッシュ」ことミュージシャンかまやつひろしが、戦後のポップス音楽史の裏表と自らの語られざる半生を初めて明かす異色の読み物である。60年代、グループサウンド「ザ・スパイダース」の名曲の数々にしびれた中年ファンにとっては、まさに待望の書。いや、青春挽歌のヒット作「我が良き友よ」くらいしか印象に残っていない門外漢も、多彩な群像を通じて知る芸能界の内側は時代と世相を映して新鮮な驚きに満ちており、興味をそそられよう。
99年にあった2つの出来事から本書は始まる。年初、親友ユーミンの発案で開かれた60歳還暦祝いの会。堺正章、田辺昭知らスパイダースの元メンバーをはじめ、吉田拓郎、泉谷しげる、井上陽水、森山良子といった面々が総勢150人も集まり、飲めや歌えのドンチャン騒ぎ。「うまくいったね」本人はユーミンと抱き合って泣いたが、生きながら葬式を出されたようで、そのあと「しばらく何をする気にもなれなかった」
年末、NHK紅白歌合戦に堺正章らと組んだバンドで初出場。スパイダース時代には「あんなもの、出るか」と突っ張っていたが、「いいんじゃないの、知名度上がるし」OKした。「でもやはり照れくさかった」 いずれも、著者の人柄を想像させるエピソードだ。
父親は日系二世のジャズマン、ティーブかまやつ。子供のころから進駐軍放送のジャズを聞いて育ち、やがてカントリー&ウエスタンにはまる。高校生にして、ジャズ喫茶、米軍キャンプを演奏して回る日々。プロデビューは19歳の時、小坂一也のワゴンマスターズ入り。このころ、水原弘(黒い花びら)、井上ひろし(雨に咲く花)とともに「3人ひろし」と呼ばれたこともある。ロカビリーへの違和感、放送禁止となったデビュー・シングル、親友赤木圭一郎ゴーカート事故の真相、六本木族の仲間たち…夢と迷いの時代だ。
ハワイへの逃亡、アメリカ本土放浪を経て、ザ・スパイダースのメンバーに。ビートルズへの傾倒、「夕陽が泣いている」の大ヒット、来日したビートルズとの共演を拒絶。世間の人気と自分の理想とのズレに悩んだ当時を率直な口調で語る。ここから、かまやつ音楽の神髄をつかみ取るフアン読者も少なくないだろう。交友・知友関係の広範囲なこと、抜群の記憶力にも驚かされる。
著者、いまなお現役。音楽のことだけを語り、構えた人生哲学を披露したりしないところに好感が持てる。
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