紙の本
トムと秀夫
2003/10/20 12:24
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投稿者:川内イオ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本年12月公開予定の『ラスト・サムライ』という映画をご存知だろうか。トムクルーズ主演、真田広之、渡辺謙、小雪共演。
1870年代を舞台にした、西洋式の戦術を伝えにきた南北戦争の英雄(トム)と政府軍に反旗を翻した侍(渡辺謙)の熱き友情の物語である。
間違えて映画評を開いてしまった、と勘違いして「←戻る」をクリックしようとしているあなた、大丈夫。あなたは間違えていない。だからその手を膝において。
共演者との初顔合わせの日、トムは挨拶代わりに出演者全員に「帽子((cap)」を配ったという。なぜ「帽子」なのか…、誰も知らない。
そのときトムは同じ帽子を前後逆にかぶっていた(いわゆるキャッチャーかぶりってやつだね、トムったらチャーミング)。そして、そのトムの様子を見て、渡辺謙が同じように前後逆にかぶる(ラーメン屋になったデビット伊藤似か)。目が合う二人(クライマックス)。
この瞬間、トムはこの映画の成功を確信したという(Tokyo Walkerより※ちょっと脚色有)。
このずっこけエピソードと同じくらい、『半落ち』の「落ち」にずっこけてしまった。電車で読んでいた私は、座席からずり落ちそうになった。
妻を殺した後の二日間、犯人である警察官はどこで何をしていたのか。
犯人はなぜ、絶望を受け入れ、なおも生きる決意をしたのか。
犯人が残した書の意味は。
捜査に絡む刑事、検事、弁護士による多角的な視点、それぞれの立場から空白の2日間に迫るその構図は、手に汗握る、というとこまではいかないが、静謐な緊張感に満ちていた。
謎解きは、普段私が、そして恐らく多くの人が知らない、ある「情報」に基づいていて、「へー」っとボタンを叩きたくなりもした。
でもね、最後のあの登場人物はいけてないでしょ。それまであった緊張感が、まさに霧消してしまいました。
「どこから来たの?」「おとぎの国から」
そんな受け答えが可能なほど、その登場人物はファンタジーだった。
でも、繰り返すようだけど、そこに至るまでの過程は間違いなくスリリング。各方面で評価が高いのも、総合点を評価すれば妥当かな、と思います。
「サムライ魂のもつエレガンスと美に、私はずっと強く惹かれていました」と語るトム。
織田信長の言葉を書に残し、頑なに口を閉ざす犯人。
「武士道」を体現する二人の心を開かせたのは、キャッチャーかぶりの渡辺謙とファンタジー小説に出てきそうな汚れなき登場人物だったのでした。
ちなみに小雪は外出時、顔を隠すためにトムから帽子を今も欠かさずかぶっているらしい。(嘘)
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請われて妻を殺した警察官は、全面的に容疑を認めているが、
犯行後2日間の空白については口を割らなかった
男は頑なに守ろうとするものとは何なのか
"半落ち"とは警察が取り調べを行う時に自供をしながらも
全ての動機などを明らかにしていない状態のことをいうらしいです
つまり、犯行は全面的に認めたけど動機やアリバイは黙秘しているような状態です
作中の妻殺しの警官も容疑を認めていますが、犯行後の2日間に行方をくらましています
その2日間の謎を巡り、取調を行う警察官、検事、妻の姉、裁判官、、、
一つ一つの話が彼をとりまく人達の視点で語られ、最後に2日間の謎が明らかになります
映画のCMだけで何故か涙腺をくすぐるものがあったので
「これは!?」と思い原作を手にとりました
最後の最後まで凄くいいです
描写にハメられます
ものすごく盛り上がります
途中で泣けるような個所もチラホラ
しかーし、最後のあのオチはなんなんでしょうか…
あまりの裏切りに唖然としました
それまでの布石全て意味はなんだったんだ
あれに納得してる人って何人いるんだろう…
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静かに、熱いお話でした。それぞれの立場の人物が、それぞれの視点でこの物語を進めていきます。全体に、オヤジ濃度が濃いのですが(笑)深みのある人たちなので、読んでて”シブイ・・・”です。オヤジと書くより、親父な感じ。横山 秀夫さんは短編が多いということですが、よくまとまった短編が集まった感じです。何かちょっと本を読みたいけれど、さて、何を読もうか・・・なんて人には、オススメ。
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図書館で目に入ったからとりあえず読んでみた。警察官、検事、記者……とそれぞれ個性のある語り手が物語を引き継いでいく。アルツハイマー病の妻を思わず殺してしまった元警部、しかし自首するまでの二日間の謎。この「二日」を巡っていろいろあるわけですが、種明かしされる前に微妙に分かっちゃったかも(汗)。なんというか……ちょっとこの殺人者である警部を美化しすぎているような気もしたので(まあ、基本的に人のよい物語だ)、逆にもっときびしい視点から見る語り手もいたほうがよかったような気もする。最後の種明かしは少々感づいていなかったとしてもきっとあっさりしているものだ。けれどうまく読めばじーんと来るのかも……知れない。どうだろう?
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期待しすぎたのでしょうか?私がまだ理解するには子供なのでしょうか?
私にはイマイチ盛り上がらない作品でした。ハードブックで買ってしまいちょっと後悔しました。
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映画見る予定ないけど、映画になるくらいならおもしろいんだろうなあと思って読んだ本。
ページ数が多くて読むのが大変だったけど、まずまずおもしろかった。
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映画で見た友人に面白くないと言われていたので、どうかな?と思って読み始めたのですが、サスガ横山秀夫!って感じで面白かったです。やっぱ映画はダメですね。でも、寺尾聰はハマリ役だと思います。
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話としては、二日間の行動の謎それ自体よりも、それを巡る様々な組織の思惑、取引、それを探る人々の動き、心情に主眼が置かれている。中年男性の多少草臥れた人生が色々と語られるのは、まぁ、その身に詰まされるというか。真相は、多少ご都合主義を感じる。
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半落ち とは 罪は認めながら 細部を完全に明かさない状態のことなのだとか。
ひとつの事件をめぐり 様々な立場で関わることになる
様々な人々の視点による オムニバス形式の作品。
見所は 随所に見られる。
それぞれの立場から語られる物語は ある意味それぞれで完結している。
だが 始まりが 【半落ち】なので どの物語にも満たされなさ もどかしさが残る。
最後の物語の 最後の最後まで その消化不良感は引きずられることになる。
これから 梶総一郎はどう生きていくつもりなのか あるいはどう死んでいくつもりなのか。
わからないながらも 物語の最後は 涙だった。
横山さん 凄い!
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妻を殺したと男が自首するところからストーリーが始まる。さまざまな伏線が緻密に張り巡らされていて、キャラクターも個性がハッキリしている。
妻を殺したと男が自首するところからストーリーが始まる。
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半落ちって、罪は認めながらも繊細は話さない状態のことをいうみたい。妻を殺したと自首するとこからはじまって一気に読める。色々な動きが読んでておもしろい。
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いわゆる「泣ける話」が大好きなので、かなり期待して読んだのですが、結果から言うと泣けませんでした。
人の情というものや、組織で生きる男性の悲哀がリアルに描かれているのはよく分かるんだけど、オチがかなりあっさりしてたからかも。
あくまで人間ドラマとして読まなくちゃいけなかったんだなぁ、と読み終わってから思いました。
あと登場人物が多いのも、キャラクターに感情移入できずらい要因かも。
もう少し人数絞ってたら、もっと感動できたんじゃないのかなぁ。
でも心にしみるいいお話だと思います。
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「このミステリーがすごい」で1位に輝いた作品です。その分、期待も大きいです。
警察の人間がアルツハイマーになった妻を殺してしまい、2日後に自首してきます。
この2日間と言う空白の期間の謎を追うのは読者です。
2日間の謎を提供しながら、作品の中では、警察、検察、新聞記者、弁護士、裁判官、刑務官とそれぞれの立場で、この事件と対面します。
登場人物も、もちろん謎を追うのですが、権力とか体制に屈して謎は残ったままになるために、その点が少々歯がゆくなります。もっと、初心を貫けよって声を掛けたくなります(笑)
文章の出来がよいので、どんどん読ませてくれます。
が、、しかし、2日間の謎は、、、大きくはずれない結末になっています。
2日間のうち、1日は歌舞伎町に行っていた、、、ってそれらしい雰囲気を出していますが、結末は、感動して号泣するほどではなかったのはなぜだろう?私が疲れていたからかな!?2003.4.23
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他の作品と相対的に見ると星は5個、でも満点というにはちょっと足りない。長編とはいえ、そこまで長くは無く、読み出せば作品から抜け出し難くて一気に読み通してしまう。ところどころ文章がくどく感じたが、全体的には落ち着いた文章が読める。様々な視点で描くことを゛そうすること゛だけにとらわれず、ちゃんと効果的にやっていると思う。男主導で話がズンズン進む所も個人的にはむさくて好き。
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逮捕から裁判までの流れの中でそれぞれの視点からひとりの人間を見つめる形はおもしろかった。でも最後の最後まで梶の黙秘の理由が読めず、読みながら考えすぎて分かった時に拍子抜けしてしまった…。