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紙の本
長すぎた意見開陳
2002/10/23 09:42
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
お馴染み浅見光彦のシリーズである。とくに断らなくとも、最近の内田康夫小説の主人公は、ほとんど全てが浅見である。文庫本上下二冊と、かなりの長編である。
手短に本編を語るとすれば、社会派小説で推理モノの部分がかなり物足りない。その代わり内田康夫氏が戦後の日本を振り返り、日本人の失ったモノを延々と語る小説であると言えよう。これが読者の興味をそそるかといえばそうではなかろう。長編のエンターテイメントを期待していた読者を裏切る結果となってしまった。つまり、講釈が長すぎたのである。
タイトルの「はちまん」は八幡神社の「はちまん」である。日本中の至るところに在する八幡神社をテーマにする点は、なかなか期待を持たせるのだが、その「はちまん」と戦時中の神風特攻隊を関連付けるところで面白味が半減してしまったようだ。
戦前の軍国主義国家の悪い点はこれまで多々指摘されてきたところであるが、あまりにもそれが利きすぎて、良い点までもが軍国主義と一緒に切り捨てられてきた。それが、戦後の日本の歩みである。その点は私も大いに同感である。戦争を経験した人にとっては、戦争のもたらした艱難辛苦はもはや拭い去ることができないし、奪われた月日も帰っては来ない。
戦前の様々な記憶には触れたくないと言う点も理解できない訳ではない。しかし、21世紀を迎えて、わが国の現実の姿を見据えると、国際的な常識が日本では通用しなくなっている。戦後の学校教育、家庭での躾など戦争によって失われたものは小さくなかった。愛国心、公徳心などがその象徴ではないか。
こういう考え方には賛意を表するが、それは別冊ででも特集すればよいのである。浅見シリーズもこれだけ数が出ると、中にはこういう類の一編があってもよいのかも知れないが。
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