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紙の本
魅力的で、「ありがち」な空気
2002/12/14 15:05
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投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本には「カラスと少女とヤクザ」、「きっとかわいい女の子だから」、「神様なんて信じていない僕らのために」の三編の中編が収められているが、わたしのイチオシは、最後の「神様なんて信じていない僕らのために」という作品です。
大学の演劇サークルを舞台に、公演の様子と、その前後の関係者のやりとりを交互に綴っていくだけの、ある意味非常に淡白な作品です。
が、登場する一人ひとりの言動、表情の描きようがとても丁寧で好感がもてます。
いかにもそこいらにいそうな若者たちが、ありきたりな関係をゆるやかに結びつつ、ほんのすこし反発しあいながら「会話」していく情景を、端正な構成で切りとって見せていきます。
刺激的でもドラマチックでもありませんが、なぜかわたしはこの作品に登場する普通の人々の日常的な「場」が好きなのです。
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