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夜と霧 新版 みんなのレビュー
- ヴィクトール・E.フランクル (著), 池田 香代子 (訳)
- 税込価格:1,650円(15pt)
- 出版社:みすず書房
- 発売日:2002/11/01
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高い評価の役に立ったレビュー
31人中、29人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/04/03 21:57
後世に残したい、人間の崇高さと尊厳を記録した名著。強く、心が揺さぶられました。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アウシュヴィッツほかのナチス強制収容所で、被収容者の生活を体験した著者が、心理学者の観点から、その悲惨な状況を観察し、描写した一冊。極限の苦しみの日々を送る人間たちを、自分を含めてひたと見据えながら、人間の生きる意味とは何か、人間の尊厳とはどういうものかを問いかけ、考察していくのですね。150頁あまりの記述の哲学的な色合いを帯びた深みがもの凄く、あちこちで慄然とさせられました。人間らしい心が麻痺してしまう想像を絶した収容所生活の光景に打ちのめされ、その中でも、生きる意味を見出そうとする人間の勇気、人間の覚悟に接して、心が震えました。
収容所から工事現場に向かって、何キロもの雪道を歩く途中、愛する妻の面影、その微笑みを思い出すことで、ひととき、至福の境地へと至る著者。収容所の現場監督が取り置きしておいてくれた小さなパンが、自分に向けてそっと差し出されたとき、彼の人間らしい言葉、人間らしいまなざしにたまらず、ぼろぼろと涙をこぼす著者。このふたつのシーンは、とりわけ、胸がいっぱいになってしまった記述です。読みながら、こちらもたまらない気持ちになりました。
あるいはまた、次の記述などに。
<カポー(被収容者監視員 ※筆者註)は劣悪な者から選ばれた。この任務に耐えるのは、ありがたいことにもちろん例外はいたものの、もっとも残酷な人間だけだった。(中略)そういう者だけが命をつなぐことができたのだ。何千もの幸運な偶然によって、あるいはお望みなら神の奇跡によってと言ってもいいが、とにかく生きて帰ったわたしたちは、みなそのことを知っている。わたしたちはためらわずに言うことができる。いい人は帰ってこなかった、と。>(p.5)
強制収容所の衝撃的な写真が掲載されていた旧版(1947年刊 霜山徳爾 訳)も読みごたえありましたが、こちら、シンプルなたたずまいの新版(1977年刊 池田香代子 訳)も素晴らしい。平明な言葉と文章。すっと頭の中に入ってきて、分かりやすかったことでは、本書のほうが上でしょうか。
いずれにせよ、後世にきっと残したい、人間の崇高さと尊厳を記録した名著です。本作品は、小川洋子『心と響き合う読書案内』(PHP新書)でも取り上げられ、見事な紹介がされています。
低い評価の役に立ったレビュー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2002/12/27 13:35
訳者・池田香代子さんのインタビューもお読みいただけます。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『世界がもし100人の村だったら』『ソフィーの世界』などの話題作を手がけた池田さんが、みすず書房のロングセラー『夜と霧』を改訳されました。新版に込めた思いと「100人村」からのメッセージをうかがいました。インタビューはこちら。