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紙の本
ブルー・ノートの各論と通史を一冊の「物語」に仕上げた傑作!
2003/01/21 15:58
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここのところ「ジャズ本」がしきりに出る。そして中には寺島靖国や中山康樹のように5刷、6刷と売れ続ける新書や文庫もある。実にいい傾向だと思う。かくいう小生もこの一一月、『ハラに染みるぜ天才ジャズ本』(春風社)を出す。
中山さんは二年前だったかにフリーになり、「翻訳も含め、年に八冊は出す!」と宣言、実際に昨年は刊行した。となれば、中には「手抜き本」があっても仕方がないが、この「手抜き本」(とぼくが勝手に考える)新書がたちまち5刷というから世の中、分からない。『マイルスを聴け! 第5バージョン』(双葉社)と、『スイング・ジャーナル青春録[大阪編」[東京編」』(径書房。早く文庫にいれるべし)の二冊が、これまでの彼の主著だったが、今回これに『超ブルーノート入門』が加わった。新書だが、中身はすこぶる濃い傑作である。要するに本書は、ドイツからNYにやってきて一九三三年(昭和14年)、かの国で初めて本格的ジャズ・レコードをリリースしたアルフレッド・ライオンの製作理念と歴史を、「ブルーノート1500番台」(全98枚)の録音演奏を通して綴ったいわば各論かつ通史でもあるのだ。
著者本人はぼくに、「多忙でしょうから『パウエル、リー・モーガン、ハンク・モブレー、コルトレーン』の四人の原稿だけでも読んでくれればいいですよ」とFAXをくれたが、冒頭からあまりに面白く、二三〇ページ、あっという間に読了した。ライオンは、新人発掘が好きで、それも曲の書けるジャズマンにオリジナルを書かせて演奏させ、必ずリハーサル(練習)をしてから録音をするプロデューサーだったようだ。「パウエル」の一部を引いておくと、「パウエルとのレコーディングを経験したライオンは、彼が評判どおりの鬼才、評判以上のドラッグ中毒者であることを思い知る。しかも情緒不安定ときてはレコーディングの結果は保証できない。そこで一計を案じ、一九五一年四月三〇日、イングルウッドの自宅にパウエルを招く。だが翌朝、朝食をとっているテーブルに飼い猫が跳び乗った瞬間、パウエルは半狂乱に陥り、彼はナイフを手に猫を殺そうと追い回した……」。
本書はジャズになど関心のない向きが読んでも、数多い人間ドラマに必ずや感動する筈である。
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