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紙の本
原典に当たる意義を教えてくれる科学論文選集
2021/01/21 10:32
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投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、読破するのに骨が折れます。
前半部の解説が表紙から、後半部の論文は裏表紙から始まり、真ん中で20世紀科学の足跡と題した「年表」を挟み込む、特殊な形態をしているからです。誤植(誤:体制 ⇒ 正:胎生)を一つ、この「年表」(1980年欄)に見つけました。
出版元の徳間書店は田中芳樹の『銀河英雄伝説』や金庸の武侠小説でお馴染みのどちらかと言えば娯楽系出版社ですが、科学論文を21編も載せたこんな硬派の本書を世に送り出していた事実に、深い感銘を覚えました。
簡潔な数頁程度の原論文が少なくないことに驚きます(DNA配列決定の論文が最長の9頁)。
物理学や結晶化学、地質学、生物学、電波天文学、神経生理学などの専門知識がないと真髄の理解が難しい訳ですが、興味本位の私でもそれなりに論旨が把握できました。
これは、前半部にある原論文の意義や影響を説いた懇切丁寧な解説文のお蔭です。
適宜設けられたイラストやコラムも大いに役立ちます。解説文と訳注は日本語で縦書きに、原注の「参考文献」と「もっと詳しく知りたい人のために」は解説末尾に横書きでまとめて掲載されています。
一方、後半部では1869(明治2)年発行のネイチャー創刊号の表紙写真と併せて、手紙形式による論文発表が為されていた歴史が語られ、コンテンツ目次、原論文の邦訳(ネイチャー掲載頁の写真つき)、原注の「参考文献」、訳注、「論文を読むためのガイド」(段落毎の主旨)などが載せられています。
日本語なら文章は縦書きが望ましいとの伝統的観念を満足させ、外国学術誌の論文翻訳選集提供という学術的使命との整合化を図る<苦肉の策>として、本書形態の採用には実験的意義を認めるに吝かではありません。
きっと議論を尽くし工夫を重ねた結果なのでしょう。でも、自然な流れで読み進めたいと考える読者には、解説⇒原論文の順に横書きで統一した方が遥かに利便性に適ったと思います。
一生涯、学術論文に縁がなかった筈の私なのに、本書が原論文に当たる意義を十分過ぎるほど教えてくれたお蔭で、論文が発表され科学的な知見の共有が広まり、別の研究者たちの手で検証と応用が図られることでまた新たな成果が生み出される科学という世界の仕組みを、ほんの少し身近に感じることができました。
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