紙の本
残された者が背負う痛み。
2003/11/14 20:05
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人の死は、残された者たちに、悩み苦しみ痛みを与える。
そう思う。
死んだ者に対して、「あのときああすればよかったのに。こうすればよかった。」と、自分を責めて生きていかなくてはならなくなる。
病気や事故で亡くなったことにさえ、そういう思いはあとからあとから湧いて出てくるのに、ましてや、自ら命を絶たれてしまっては、その思いは強く大きく、押しつぶされそうになる。
この本は、親を自殺で無くしてしまった遺児たちの心の叫びだ。
けれども、この叫びによって、彼らは、
自分と向き合い、親の死と向き合い、世の中と向き合おうとしている。
家族を残して自殺してしまった人の苦しみや哀しみははかりきれないものだろうと思う。
けれども、残された者が背負う事の大きさも並大抵では無い。
悲しみとか憎しみとか寂しさとか、そういうことばでは表せないような感情の渦を抱えて、その渦に飲みこまれそうになりながらも必死で生きていかなければならないのだと思う。
ここから抜け出すのは、たいへんなことだと思う。
しかし、この渦から抜け出そうとしている姿があった。
これは、力強いことだ。
生きる力を見る思いだ。
自殺をする側、される側。
どちらの苦しみも増やしたくない。増やしてはならない。
紙の本
残された家族の悲しみが伝わる
2002/12/16 15:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオトリさま - この投稿者のレビュー一覧を見る
長引く不況もあって、近年自殺者が急増している。
自殺は禁忌とされ、家族は「自殺」と言えないでいる。
その事が残された子供により深い傷を負わせる。
遺児達は、「ぼくがお父さんの自殺のサインを見逃してしまった」「私さえいなければ父は多額の借金をしなくてよかったのに」と自責の念にかられている。
家族の手記は文章は上手ではない。それだけに生の苦しみが伝わってくる。
病死とも事故死とも違う形で肉親を失った家族の傷の深さ・悲しみが心に突き刺さる。
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安易に「辛かったね」とか言っちゃいそうな自分を戒めた。
親が死んだだけでも辛いのに、自分のせいじゃないかとか、人に言っちゃいけないと思わされてしまうことで余計に辛さがつのる。
経験者だけが語れるとは思わないけれど、経験者にしかわからないことはあるから、同じ立場の人同士が繋がれるって大事だと思う。
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親を自死で亡くした遺児たちの手記。遺児たちがカミングアウトすることに意義があるのならこれでいいんだろうけど、年間3万人といわれる自殺者を減らすためというのであれば、非常に申し訳ないんだけどもう少し工夫しないと読んでてだれてくる。
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親御さんを自殺で亡くされた「遺児」の手記です。おひとりおひとりの経験が胸にぐさっとささります。私も親を自殺で亡くしており、同じ経験をした人と出会ったことがなかったので、この本を手に取りました。ページをめくる度胸がくるしくなりますが、同時にこんな経験をしたのは「自分一人だけではない」と励まされます。自殺というテーマはとても重たいですが、そもそも自殺とはどういうものなのか、起きてしまったらどうなるのか、また自殺を予防するためにはどうしたらいいのか・・・理解が深まります。
一人でも多くの人に自殺の問題が周知され、これ以上自死遺児が増えないよう祈りたいです。
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残された子どもたちが 死んだのは自分のせいだ と思っていることが とても多くてあなたが悪いんじゃない と いいたくなりました。
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自殺。
偏見がなく語れる人が
この世の中にどれだけ居るでしょうか。
遺児の悲しみと苦悩に心を掴まれる一冊。
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父親の自殺のパターンがほとんどで、理由もみなほぼ同じだった。絶対的な数が少ないのかもしれないが、父親以外の人を亡くした人の手記も読みたかった。子どもの側の手記は正直みな似たような内容の印象を受けたので。
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自死遺児達の苦悩、葛藤、絶望感。そして、そこから前に進もうとする勇気を強く感じることができました。遺児達を見習いつつ、自分に何ができるのかを問いていきたいと思います。
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自殺で親御さんを失った子どもさんの手記。
お一人お一人の言葉が重く、少しずつ読み進めました。
向き合おう、向き合えない、けれど向き合おう、という執筆時の葛藤さえも伝わってくるような手記です。
自殺への偏見を払拭するため、まずは自分たちから実名で顔を出して発言していこうとする、一方で、仮名で顔を出さずに発言する仲間の存在も大切にしていく、その姿勢、そこにいたるプロセスに心揺さぶられました。
「宛先」「声の届き場所」になったという文集の存在。1人でも多くの、必要としている方のもとに届きますように。
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4年前、姉を亡くしました。私は一部の人には、打ち明けましたが、ほとんどの人には
黙っています。この本は、親御さんを亡くされた方が、主に書かれているにで、私とは状況が
少し違いますが、戻って来ない、悲しみや苦しみは、知っているつもりです。
現在、日本では年間3万人の自殺者を出しています。その背後には何十倍の人が、それを背負って生きているという現実があります。統計では97年の程から、一気に自殺者が増えています。おそらく社会構造が劇的に変わったんだと思います(リストラなど)。
こういう時代なので、幸せに生きるというのは、非常に困難なこととなっています。生き延びることを前提に生活する、自分は、日々そう思っています。「絆」という言葉が出回っていますが、それを強調せずにはおれないほど、現実は厳しいかもしれません。
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金銭面で苦しむ父親の自死のいかに多いことか、
そして残された側の世間に対する肩身の狭さたるや。
当事者の語りはとても痛ましく、誰にも言えないことって本当に辛いのだなと知ることができた、貴重な本だった。
愚痴や弱音をこぼすこと、精神や体に不調を来すこと、何かがうまくいかなくなること、そういうことに不寛容であると、SOSの発しにくさにつながり、結果的に社会全体が閉じて暗くなっていくなあ。
父親や夫の話のみだったので、母親や妻のものも興味がある。