紙の本
いつかどこかで…
2003/03/10 12:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:砂版魚 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファンタジーノベル大賞佳作の「六番目の小夜子」、萩尾望都の「11月のギムナジウム」へのオマージュとしての「ネバーランド」、そして近作では映画大脱走にインスパイアされたという「ロミオとロミオは永遠に」、私の中の恩田陸は学園生活と分かち難く結びついている。
その恩田の新作は昭和初期の軍事クーデター「2・26事件」を題材とした時間SFである。私的な話であるが、実は都合で手に入れるのが遅れ奇しくも読み始めたのが2/26であり、50年以上前と日付がシンクロして不思議な臨場感が生まれ面白かった。
ストーリーは、時間遡行技術が開発され、国連によって管理されている未来世界が、その直面している問題を回避するために歴史改変を行うことから始まる。
最初に行われた歴史改変「聖なる暗殺」とその因果で生じたHIDS(歴史性免疫不全症候群)、歴史改変管理コンピューター「シンデレラの靴」、見えない敵からのサイバーアタックと「王子の手」。数々のSF的設定、ガジェットがちりばめられている。
しかしながら作中「聖なる暗殺」がどの時点で誰を何のため暗殺したかが明確に語られていないため、その後「2・26事件」がなぜ選ばれたか今一つ説得力に欠けるように思える。
一般的にこの系統の物語の常套手段は、多数の資料を収集しそこから抽出した事柄から事件を緻密に再構成し、その中の重要なポイント(暗殺、結婚等の可否)に物語を絡めてゆく手法、複数の事象を並列に物語り次々と分岐して行く時間線の姿をカットバックの様に映し出し、幻惑感と過去の少しの変更で生まれる現在の変化の意外性を演出する手法が挙げられる。本書でも両方の手法が用いられているが、実はどちらも中途半端な感があり、残念ながら多少食い足りなかった。
ただ、どこか映画を思わせるエンディングの仕掛けが清涼感を生み出し、読後感は大変良かった(でも今度は学園物が読みたいな…)。
最後に蛇足だが、物語の中心となる軍人会館は、東京九段下に「九段会館」と名を改めて現存しています。瓦屋根の載った帝冠様式の建物を見ると物語に違った現実感が増すやも…。
投稿元:
レビューを見る
歴史遡行によって過去を修復しようとするSF小説。二・二六事件をモチーフに、当時の青年将校の死だとか、そういった歴史背景の描写が良かった。
投稿元:
レビューを見る
「もしもあの時こうだったら。」系の歴史SF。恩田さんらしい緻密なストーリーが魅力の一冊。2.26事件が基盤になってます。お勧めです。そういえばねじってどっち周りでしたっけ??
投稿元:
レビューを見る
歴史には苦手意識が強く、手に取りながらも敬遠してきた一冊。
過去に遡ることのできる技術を手に入れた近未来の人々が考えたのは 2.26事件が起こる直前にまで遡り それに連なる歴史を変えることだった。そのために 2.26事件の渦中にいた人物が3人選ばれ、未来の国連関係者と繋がる懐中連絡機を持たされた。
時間と歴史の入れ子状態とでも言うのだろうか。納得のいかない不可思議な現象も 少しあとまで読み進むとすとんと納得できるようなことが何度もある。今初めて生きていると思っているこの時代が 実はもう何度もやり直されているものだとしたらどうだろう。そうでないという保証はどこにもないのだ。そうだとして それはやり直す前の歴史と比べてより良いものになっているのだろうか。より良いものになっているとして、それは誰にとってのより良いものなのか。
考えるほどに薄ら寒さを覚える。
投稿元:
レビューを見る
SF的な面ではいまいち腑に落ちない点も。「時間遡行技術」や「様々な歴史への介入」について作中では殆ど触れられていない。その辺りをもっと書き込んで欲しかった。説明不足の感は否めない。
投稿元:
レビューを見る
226事件を題材にしたSF。
随分大胆な事をするなあと思った。
大雪の東京、張りつめた空気、命を懸けた思い。
そんなに昔の話ではないのに、今の日本と地続きだとは思えない。
と、その実在の人物と恩田世界の人物とが混ざってしまった。
投稿元:
レビューを見る
設定が少し理解できない部分もありましたけれど、緻密なストーリー運びはもう感嘆の一言です。一気によめてしまいます。二二六事件についての文献を読んでから読むと更に面白さが増すと思います。
投稿元:
レビューを見る
歴史上の一つの大きな転機、『二・二六事件』。時間遡行によって時間の歪みを修復するために選ばれた介入点。歴史の真実はどこに・・・
投稿元:
レビューを見る
2003.11.10 コンティンジェンシー理論 ,
2003.11.15 駿足 ,
2003.11.16 言い訳 ,
2003.11.17 嘘 ,
2003.11.18 協調もしくは妥協 ,
2003.11.19 おつきあいと最適の基準
投稿元:
レビューを見る
宮部みゆきさんの「蒲生邸事件」と同じくタイムスリップをテーマとし、タイムスリップした時代も全く同じですが目的・方法は全く異なります。読み比べてみても楽しいと思います。私はこちらの方が好き。
投稿元:
レビューを見る
歴史if小説。ちょうど受験期に勉強せずに読んでた。一気に日本史(戦争関連)が好きになった要因のひとつだった本。
投稿元:
レビューを見る
図書館で借りた本。
読むのに3〜4ヶ月くらいかかった。
間を開けて読んだのでなにがなにやらわからん話だった。
図書館さん、期限3ヶ月くらいオーバーしてすいません。
投稿元:
レビューを見る
恩田陸さんの小説の中で一番好きな作品なのです。読んだ後の爽快感がたまりません!一方的に(?)ねじねじって呼んでます。
投稿元:
レビューを見る
2・26事件は今まで興味が無かったけど、これを読んで知りたいと思いました。
字体を凝ってるせいか妙にハラハラした。
日本はやっぱ日本じゃなきゃダメなんだよね・・・
投稿元:
レビューを見る
2.26事件をモチーフにしたSF小説。栗原さんの美形っぷりが半端無いです。2.26事件の基礎知識が身に付きましたが、正しい史実と一緒くたにならないように注意です。