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紙の本

クラシック音楽界に神のごとく君臨したマエストロたちの真実の姿を活写!

2007/06/19 23:49

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

今から思えば、私がクラシック音楽を聴き始めた1970年代から1980年代初頭は、マエストロと呼ばれた大指揮者たちが最後の光芒を放った時期であった。カラヤン・ベーム・バーンスタイン・ショルティなどの指揮者も健在で晩年の輝かしい演奏が録音されレコードで発売されていた。
当時は、CDが発売される直前であったが、毎月のようにこれらの巨匠の新譜がレコード店の店頭を飾っていた。演奏の質も素晴らしいもので、私自身これらの巨匠の演奏からどれほど多くのものを得たかはかり知れない。現在のクラシック音楽をとりまく厳しい状況を思うにつけ、昔日の感を抱かざるを得ない。
本書は、上述のマエストロを含む13人の指揮者、草創期のハンス・フォン・ビューローから現代のサイモン・ラトルまでを論じている。
本書の中で、まず、注目されるのは、ハンス・ビューロー、ハンス・リヒター、グスタフ・マーラー、アルトゥール・ニキッシュなどの草創期の大指揮者を取り上げていることであろう。これら4人の指揮者のことは、断片的に触れられることはあっても、このように纏まったかたちで紹介されることはあまり無く、演奏史上の貴重な情報を提供している。特に、4人の指揮者が前近代的なしがらみを克服して、現代に通じる指揮法とオーケストラの演奏形態を確立していく壮絶ともいえる姿は、読む者を圧倒する。
その一方、神のごとく楽壇に君臨し、現在でもCDを通じてオーラを発している大指揮者たちの実に人間くさい面が露にされており興味を惹く。例えば、オットー・クレンペラーは、戦後華々しく活躍し、至宝とも言える輝かしい名録音を残した大器晩成型の大指揮者として知られている。特に、ベートーベンやマーラーの交響曲の名盤は現在も聴き継がれており、熱心な信奉者も多い。ところが、本書によると、晩年のクレンペラーは次々と病に冒され極端に体力が落ち、コンサートでは満足な指揮もままならなかったという。ある時では、タクトを持ち上げることも出来なくなり、巨匠が発したオナラを楽団員が何かの合図と思い込み一斉に演奏が始まったという悲しい逸話が紹介されている。
一方、著者はこのような逸話ばかりではなくマエストロたちの演奏上の卓越した点も忘れずに紹介している。上述のクレンペラーについては、『最盛期には、並外れた人格の持ち主に内存する力が身体上の不自由さを充分埋め合わせて余りあることが明らかになった。彼は人格の精神的な威厳のみが楽員たちに最高の演奏をさせることができるとわかっていた。』とその精神性を高く評価している。
本書で忘れてならないのが、指揮者を巡る社会的な状況や指揮者の社会的な役割が言及されていることである。紙面の関係で、詳しく触れることが出来なくなったが、フルトベングラーとナチスとの関わり、カラヤンと商業主義の問題などが詳しく論じられている。両巨匠の章を読むと、政治と芸術、音楽とマーケットの問題は永遠のテーマとなっていると改めて思わざるを得ない。
本書は、この他にも様々な問題に触れており、極めて読み応えのある本となっている。クラシック音楽について書かれた本はよく読む方だが、これほど満足感を持って読み終えた本はない。クラシック音楽に関心を抱く読者に是非一読を薦めたい。

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2005/06/03 23:37

投稿元:ブクログ

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