紙の本
吸血鬼モノの傑作古典
2004/12/29 22:09
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投稿者:まさぴゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
シオドアスタージョンは、知る人ぞ知る有名作家です。一時期ほとんど書店で見ない時期があって、見つけたときはあとがきの評論家風間賢二さんが言うように、狂喜乱舞しました。
というのは、僕は吸血鬼モノが好きでいろいろ読んでいるのですが、この作品はヴァンパイアものの古典と呼ばれており、「読まなくては!」という使命感があったにもかかわらず、なかなか見つからなかったからです。スタージョンは、ネームヴァリューは凄い割にはなかなか本を見ない不思議な作家です。ただこの作品を読むと、その理由はよくわかります。
というのは、スティーブンキングのようなモダンホラーとも、ブラムストーカーからのヴァンパイアモノの古典とも、もしくはサイコスリラー等等いろいろないわれ方をします。が、実際にはカテゴライズつまり分類するのが非常に困難な作品です。つまり、人に紹介するのが難しい。だから、「どんな作品ですか?」と質問されると、説明するのが難しい。しかも厄介なことに、僕は読んでいて話が終盤になるまで、意味が分からなかった。そして終盤で、話の構造が読めてきた時点で、電撃が落ちたように「おおっ、これは傑作だ」と感じたんです。だから、どういう分類かも分からない、しかも序盤は話の内容がよくわからない小説を、読み進めないと「あの感動」にたどり着けないのです。難しい作品ですね。
紙の本
すっげぇクール!です。
2004/02/03 23:33
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投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやあもう、困るね、こういう洗練された作品読んじゃうと。困る困る。めっぽう面白くて、なおかつ、その面白さを他人に伝えようとするとネタバレになってしまう、というのも困る一因なのだが、それ以上に、この作品が非常にユニークな存在であり、作品の存在自体が、ジャンルとかカテゴライズとかをキャンセルしまくっているから、非常に説明がしづらい、というのもある。
このあたりの老練さは、流石にスタージョンってところですか。
サイコ・ホラー? まあ、その要素もあるけど。
吸血鬼物? 間違いではないはな。
ミステリ? 謎解きは、あります。
入り組んだ構成の現代小説? そういう側面もある。
そして、そのどれとも微妙に違う、という感触もあるんだよなあ。
ページ数の半分以上を占める、「ジョージ・スミスの回想録」は、一見地味で起伏がない半生記のように読めるんだけど、前後の挿入される「精神科医」と「大佐」の書簡とかから、なぜその「回想録」が書かれることになったのか、実際に書いているの人は誰なのか、その「回想録」にある「欠落」とはなにか? とかいった情報が行間にじわじわと沁みてきて、「ジョージ・スミス」という人間のそれまで見えなかった「実像」が徐々に明らかにされていく様子とか、このあたりの「暗示/明示」の匙加減といったら、もう、「メチャ巧!」の一言に尽きる。
酩酊亭亭主
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スタージョンの中でも特に美しい物語の一つ。地味で朴訥な青年という隠れ蓑をかぶった、繊細な謎が明かされていく。美しいのは謎そのものではなく、謎の持つ、ひっそりと慎重に隠されたそのあり方。
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題名からヴァンパイアものかと思ってましたが、広義での吸血鬼ものと言ったところ。
今で言うサイコ・サスペンスの走りって感じもするかな。
ある一兵士が手紙のことで自分を呼びつけた少佐を殴り、精神病院に運ばれてくる。
なぜ、彼はそれに及んだのか? 手紙には何が書いてあったのか?
それがミステリ仕立てで解かれていく様子を、
彼の独白と、医師との質疑応答、医師とその上司の書簡という形で語られていく。
ずっと会話調なので読みやすいんだけど、その中に散りばめられた伏線に気付かずに行ってしまうので注意。
診断のために書く自伝のようなレポートと心理テストによって引き出される異様なビジョンに隠された真実!
それが、ラストに『ああ!』と頷かずにはいられない。
君は小説を読んでいるんだよ、という始まり方なんだけど、これが最後でまた気持ち悪い。
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米軍駐屯地で、精神科医でもある少佐がある異常な手紙の差出人である兵士を訊問する。
訊問中、事故で負傷した兵士は、流れる自らの血を吸い始めた。兵士はいわゆる吸血鬼
なのか?という異色の吸血鬼もの。でもどちらかというとテーマは愛か。
なお、作者は「人間以上」や「夢みる宝石」を書いた人で、これらの方が出来は良い、と思う。
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2007年4月21日読破。吸血鬼物かと思って読んだら、単なるサイコな変質者のお話だった・・・がっくり。
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ある米軍の駐屯地で、一人の兵士が恋人に宛てた手紙が問題になった。そのあまりに異常な文面について尋ねられた途端、兵士は突然上官に襲いかかった。何故彼はそれほど激昂したのか。また、発端となった手紙に書いてあった内容とは何か。
読む前に考えていたほどは怖くなかった。核心部分は想像したくはないが、思ったよりは衝撃が少なかったと言うか。
ただこの作品が発表されたのは1960年代だったらしいから、当時の人にとってはもっと衝撃的だったろう。
大抵の人は大丈夫だと思うが、神経の細い人にはおすすめしない。
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予備知識ゼロだったので驚愕しました。途中まで「平凡な」でも超絶に貧しく虐待されている男の子の物語の手記、でつまらなくはないがやや退屈・・・これがあのスタージョン?と思っていたらば!そこから、ええええ!の怒涛の展開があり、まさかこのジャンル物とは思いもよらず、ラストにもう一度手記を読み返しました・・・ああ・・ここにもあそこにも・・・と激しく納得したことが。信頼できない騙り手物語としてまた精神分析の手法に現れることも非常に面白く読みました。どういう手紙を女性に書いたのか、その三行がぞくっとします何よりも。
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とある米軍駐屯地。精神科医でもある少佐が、一通の手紙の差出人である兵士を尋問した。文面があまりにも異様だと思われたからだった。兵士のジョージは、少佐から手紙の内容について問われるや、それまで態度から豹変し、コップを握りつぶして少佐に襲いかかった。しかし、己の手から流れる血を見るや、それを吸い始めたのだった。ジョージの異様な行動に隠された秘密とは―。
本書はまず正体不明の語り手という枠組みがあり、その中で精神科医アウターブリッジと友人の陸軍大佐との往復書簡が綴られ、さらにその中で兵士ジョージの独白が含まれる、といった構造になっている。それゆえ人称がその都度切り替わり、それが「信用のおけない語り」という効果を一層持たせている。
内容的には吸血鬼ものの1バージョンといったところか。ジョージ自身の物語はそうそうショッキングなものではないが、語りの効果も相俟って、全体的にはどうにも薄気味悪さを感じさせてくれる。
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構成は凝ってると思うけど、内容というか事の実体というかは結構普通じゃないのかな。や、確かに異様な話しではあるけれど、でもそれだけって感じがする。
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1961年に書かれた本なんだけど、そうはとても思えない程洗練された小説。これもスタージョンらしい愛の物語のひとつ。
ネタバレ無しに紹介すのが困難な本だが、帯の文章からネタバレしてるし。
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全然SFじゃないです~。
ダニエル・キースかいって感じ。
凝った構造とか最後の看護婦の使い方とかちょこちょこ仕掛けが小粋でしたが、「人間以上」や「夢見る宝石」を期待して読むと、ちょっと・・・
和訳が遅かったのもまあそうでしょって感じ。
小ネタで、「西部劇の善玉悪玉の見分け方」ってのが
面白かった。
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二人称で書き始められる物語。
ドクター・フィリップ・アウターブリッジの机の引き出しに隠されたファイルを読むようにと、誰かが私をそそのかす。
兵士のジョージが恋人に書いた手紙のことで尋問を受ける。
おとなしく受け答えしていたジョージが、突然暴れ出す。
それはなぜか?
一体手紙には何が書いてあったのか?
そんなことが陸軍大佐と、精神科医でもある軍曹との間の往復書簡で明かされる。
そしてジョージの生い立ちが三人称で書かれる。
ジョージの半生を読み終わって気づく。
これ、小説だった。
すっかり、実在する人物のつもりで読んでいた。
作者の名前を観たときは、SFだと思っていたはずなのに。
なにか、見えないところで怖ろしいことが起こっているような気配はある。
でも、はっきりとしたことはわからない。
家庭的にあまり幸せとは言えなかった少年時代のジョージ。
父親が酔って暴れる時は、森に出かけて狩りをする。
そうすることで、ジョージの心は落ち着きを取り戻し、穏やかに過ごすことができるのだ。
無口で貧乏なジョージは学校でもいじめられていた。
そんな時も森で狩りをすれば、ジョージは満足だった。
しかし病気がちだった母親が亡くなり、父親と二人の生活。
食料品を盗もうとしたジョージは少年院に入れられる。
そこで、生きていくために必要な知識や技術を身につける。
父親の死。
それに伴う伯母夫婦との生活。
恋人ができたジョージ。
何かがちょっと不穏な気がするけれど、でも、いるでしょ、なんか不幸な人って。
けれど精神科医はいうのだ。
この自伝には、明らかに欠落している事柄がある。
それが何かがわからなければ、この事件の謎は解けないと。
忍耐強くジョージの気持ちに寄り添い、知能テストや精神分析の検査を行ううちに明らかになってくるジョージの心の一番奥に隠されていたもの。
それが、不憫でねえ。
ああ。そういうことだったのか。
他人と接することが極端に少なく、不器用で純粋なジョージという男。
最初に感じた薄気味の悪さが嘘のように、読後ジョージを愛おしく感じる。
いやこれはすごい本だわ。
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ホラーやミステリーには手を出さない事にしてるのですが、スタージョンと言う事で読みました。
ホラーです。確かに。
スタージョンといえばどうしても幻想的SF「夢見る宝石」を思い起こします。と言うよりも、その一冊だけ(「人間以上」は有名だし、読んだという記憶だけはあるのですが、内容は全く思い出せない)。そのせいでしょうスタージョンについては、なんともいえない暗さと独特の美の世界。そんな印象があります。
暗さという面では「宝石」よりも日差しがある感じがします。「宝石」は全体が暗く、その中で小さな明かりを際立たせてるのに対し、これは全体は明るいのだが、その裏の暗さを浮き出させているのでしょう。
じんわり・・・ですね。
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狩の描写が克明でこれ作者のたいけんなのかなとかおもった
吸血鬼ものではないけど大きく見れば吸血鬼ものなのかな
西部劇では悪い奴は腹を撃たれいい奴は胸や肩を撃たれるというモチーフが後半よく効いてる