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ばかげた裁判に殺されかけた男 正義の国アメリカの司法制度が生んだ最悪の冤罪事件 みんなのレビュー
- トマ・ルメール (著), 小野 ゆり子 (訳)
- 税込価格:2,090円(19pt)
- 出版社:早川書房
- 発行年月:2003.1
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紙の本
前代未聞とはこの事件のためにある言葉
2003/02/20 15:24
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投稿者:pebble - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は、アメリカの黒人死刑囚でジャーナリストの、ムミア・アブ=ジャマールの支援を行っている。したがってアメリカ合州国の司法制度や死刑制度に関心をもっており、アメリカ国内の冤罪事件について書かれた書物も、比較的たくさん読んできたつもりだ。だが、ここに描かれている事件は、無罪が立証されながら、終身刑を課されるという点で、まさに前代未聞といえる。
もっとも抑圧された者は、その抑圧を他の人々に知ってもらう手段さえ奪われる。マイケルとベッキーのこの物語も、その事例にもれず、無関心という最大の抑圧によって人々に知られる道さえ閉ざされてきた。
ジャーナリストとして、文筆やパブリシティの才能に恵まれたムミアでさえ、81年末の事件発生から95年の再審請求開始まで、15年間の無関心によって放置されてきた。こうした抑圧をうち破った力が、たった二人の貧しいカップルの中に生まれ、育っていった過程を追ったこの物語は、ありきたりの言葉で言い表せないほどのものを読むものに与える。
私が惜しいと思うのは、裁判や事件のディテールや法的問題点などについての記述が、ややラフなこと。著者が弁護士であるにもかかわらずそうなったのは、一般読者への配慮なのかもしれない。だが、アメリカの司法制度の絶望的なまでの欠陥を立証しているこの事件について、もう少しつっこんだ法的側面に関しての考察を読んでみたいという欲求も同時におさえがたい。
人の生命や愛情や幸福などに何の関心も払うことのできない歪んだスコラ論議が人々を翻弄する司法とはいったい何なのか? それは実は、日本においても、さまざまな冤罪事件の事例をみるたびに感じざるをえないものなのだが。
本書でも、アメリカにおける司法の犯罪の代表例として、ムミア冤罪事件についてふれられている。その箇所で引用されているムミアの著書 Live from Death Row は、『死の影の谷間から』という日本語タイトルにより、拙訳で出版されている。あわせて読んでいただければ幸いである。
ムミアは未だ自由を得ることなく、ペンシルベニア州の死刑囚監房で22年目の獄中生活を送っている。
ムミア冤罪事件に関する私のサイト
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