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法人のヒト性とモノ性の両面の性質。ヒトはものを所有できるがモノはヒトを所有できない。法人は二つの性質があるから売買もされるしモノを所有することもできる。また、ポスト産業資本主義における法人の意義。差異性が価値を生み出す。昔は、農村の安い労働力が大量にあったからお金があって機械が買えればそこから生まれた利潤から安い労働賃金を引いた差異で比較的容易に利益を上げることができたが、今はそれができない。利益を上げるのは新しいこと差異。などなど。一般論に流されず著者独自の視点を持っていることがはっきりとわかる。文章も読みやすいし、話のスピードもゆっくりしているが確実に理解できるように組み立てられている。これは非常によい本に当たった。3回は読めると思う。
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「ポスト産業資本主義社会はどこへ向かうのか」についての考察が、語りかけるような口調で書かれています。
平易かつ本質的。
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10年ぶりくらいに再読。
会社は誰のものか?株主のものか?従業員のものか?社会の公器なのか?
古典的企業、たとえば個人経営企業の場合はオーナーが会社を所有する。パン屋のオーナは店のパンを食べても罪にはならない。
会社になると別だ。株主(オーナ含め)が会社を所有するが会社はそれとは別に資産(パンや機械)をもつ。株主が店で勝手にパンをたべたらオーナーであろうが罪に問われる。
株主は会社の所有者であるが会社の資産の所有者ではない。
一方でなぜ「法人」という「人」的な存在がうまれたのか?会社を運営するには外部のいろいろな人たちと契約をむすばないといけない。会社を代表してだれかが契約を結ぶ必要がありこれがないと、会社内の全員が契約をしないといけない。ゆえに、会社を代表して「法人」という架空の概念をつくりだして法人に契約をさせる。
その典型が「代表取締役」という存在。
株主はたしかに株主代表訴訟で経営者を首にはできるが、経営者という存在そのものを消すことはできない。
経営者は株主の委任契約にもとづく委託者ではなく信任受託者である。
信任とは文字通り信じて任せるである。だから経営者には善管義務と忠実義務という「倫理」が求められる。
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「会社とは株主のためのもの」というのが結論になりつつあるこの日本で、決してそうではないということを、簡潔な文章と論理で説明してくれます。
私の前職は、数社ある親会社からかわりばんこに「派遣」されてきた人が代々社長をやっています。そして今の社長は、「株主重視」という風潮をいいことに、自分の出身の親会社に都合のいい経営を行っていました。
一(ヒラ)社員として、憤りを通り越し、情けなさ・無力感を感じるとともに、会社へのロイヤリティも消失し、転職を決意するに至ったという思い出があります。
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この本が出版されたとき、世間で騒がれていた「会社は誰のものか」という点について、根本から考察を加えた本。ここまで「そもそも」の話まで遡って考えてみることはなかなか面白い示唆に富んでいると感じた。ただ、文章を平易にしようと努力した結果、逆に読みづらくなっている感がある。
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2007/12 図書館から。若干、とっちらかっている感もあるけれど、誠実な感じを受ける。法律・経営・経済のミックス
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中古で105円なり。僕にとっては掘り出し物だ。
「勤める」から「使いこなす」へ!すべての経営者、すべてのサラリーマン、すべての学生に捧げる21世紀の会社論。
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昔のような終身雇用は壊れつつある。しかし、ずっと会社に勤務し続け、昇進していく従来型のサラリーマンもいなくならないだろう。
労働者の流動性は不可欠なものである。
全員が起業する必要は無いが、経済活性化には必要。
起業は生易しいことではないが、推奨している本。日本経済にとっても起業が有益だということを説明。
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「そもそも会社って何?」「これからどうやって会社と付き合っていけばいい?」
そんな疑問をお持ちの方にお薦め。
経済理論を交えながらも、平易な言葉で会社について解説しています。
やや抽象的ですが、大きな枠組みで「会社組織」を考えることができる良書です。
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存在定義とは個々の価値観で変異するもの。
胸に響く言葉もなければ、目新しい知識も無かった。
無駄な本ではあった。
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日本のサラリーマンというのは組織特殊的な人的資産に投資している人なんだ、という切り口。納得しました。なるほど、これは投資なんだ。
「組織特殊的な人的資産の場合は、たんに他のヒトのモノにならないだけでなく、それを体化している本人のモノにすらならない、本当に奇妙な資産なのです」(p.157)
著者は文章が明解・平易で、教養も実務知も溢れるという方だ。
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法人とは何かについてひたすら語られている。
会社ってなんだろーって概念的に考えるときに参考になるかもしれない。
逆に概念的な話に興味のない人は、
読んでも「だから何?」となりそう。
一部を紹介すると、
株主→会社(法人)→会社資産
という構造なので、法人としての会社は、
「株主に所有されるモノ」としての性質と、
「資産を所有する人格」としての性質の、
二面性を持っている。
なぜこんなことになっているかと言うと、
会社が法人格を持たないと、意思決定や手続きが煩雑になるから。
例えば他の会社と取引する時には、
株主全員分のハンコが必要になり、
その上、株主が変わると契約をし直す必要が生じる。
言い換えると、会社は株主とは切り離して、一人の「人格」を与える方が、
色々都合いいということだ。(それ以外にあまり意味はないように思う。)
ちなみに、上記構造において、「モノ」としての性質を消すことが可能。
それは、日本の大企業の間でしばしば見られる「株式の持ち合い」。
皆で持ち合うことで、「株主」と呼ばれる人の意志が消されるため、
法人が純粋に人としての側面のみを持つようになる。
だから何?といわれそうだが、
株式持ち合いの状況では、「従業員は会社に雇われているだけで、会社そのものではない」とは言いづらくなる、ことがポイント。
株主→会社(法人)→会社資産
の構造では、普通に考えると従業員は会社の資産の一部であり、会社そのものではない。
・・・・・・・・
てなことがつらつらと書いてある。
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村上ファンド、ライブドアの問題をきっかけに会社は誰のものかが話題になってます。いわゆる日本型VS米国型という二元論的な議論の中で振り子のように世間動向が揺れている状況です。
そんな中で「そもそも会社とはなんなのか」という問いから法学的な視点で現状を整理し、今後の方向性を提言したところに、この本の価値があります。キーワードは「法人」です。
著者の岩井氏は大学教授ですが、この本は非常に分かりやすく書かれているので、誰にでも気軽に読めます。
また、岩井氏はこの本の後に「会社はだれのものか」も執筆してますが、基本的には同じ内容です。どちらかといえば本書の方をオススメします。
欲を言えば「会社で働く人はこれからどうあるべきか」について著者の見解が聞きたいところですが、それは読者自身が考えるべきことなのでしょう。
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本書は、会社論と資本主義論について、そもそも会社とは何かといった根本から整理し、筆者の考察を述べている。
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岩井さんの書物は相変わらず齧る感じだな。もっと早く読むべきだったと後悔しながら読んでる。
読むタイミングを逸した感じがする。何となく感じてきたことをなぞっていく感じ。再読必要。