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紙の本

「人の生き死に」の歴史を語る美術の価値とは

2003/05/09 00:09

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:北祭 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 京都東山に紅で有名な永観堂(禅林寺)がある。紅葉の庭をぬけ、諸堂に入り細く曲がりくねった順路に沿い、方丈、御影堂を越えると阿弥陀堂。そこに「みかえり阿弥陀如来」がある。この阿弥陀如来像は正面を向いておらず、振り返る姿勢をとった珍しい像となっており、その姿勢がとても人間的で味わい深い。なぜ、この仏はふり向いているのであろうか…この問いに答えはあるのだろうか。

 本書は、「人の生き死に」の歴史を考えるといった視点に立ち厳選した54点(西洋編28点、日本編26点)の美術作品を題材とし、それぞれの作品の背景・歴史的意味・著者の思いを、ときに印象的な詩を引用しながら丹念に語る労作である。
 挙げられる作品には、著者自ら現物に向き合ったというが、まず、その作品の選択がすばらしい。レオナルド・ダ・ヴィンチの「リッタの聖母」、レンブラントの「デイマン博士の解剖講義」、興福寺の「阿修羅」、永観堂の「みかえり阿弥陀如来」など、それらの作品が章の始めに堂々とカラー写真で紹介されている。これは実にありがたく、まずはじっくりと作品を鑑賞することができる。テーマが深遠であるがために、不意に食い入るように作品の写真を見つめる自分がいることに気付く、といった具合である。各作品についての文章は、単なる解説に終わらず、人間性を追及する集中力にみなぎっていて実に印象的であり、言葉に一貫して「生への慈しみ」が感じられる。著者の美術に対する思いは並ではないことが伝わってくる。著者は十七歳の夏、太平洋戦争にかり出される前日に奈良・京都へ赴き、「阿修羅」や「みかえり阿弥陀如来」という古き仏たちを守るためなら命を捨てても悔いはないと観念したのだという。なるほど、純粋にも美術を守るために命を張ったという強烈な体験者である、並であろう筈がない。

 著者は「みかえり阿弥陀如来」の章において、医療者が患者とともに苦しみ悲しみを共にすることに心が及ばない事を嘆く。
 <今日の病院では医師や看護師は忙しく病室を飛び回っているが、病室を出るときベッドの患者のほうをふり向く医療者がどれだけいるであろうか。じつは患者たちは白衣をひるがえして忙しげに出て行く医師や看護師の背中に目を凝らしているのである。P200>
 この仏像が、仏教的な慈悲の心の表現のみならず、ただ人間として如何なる心が大切なのかを映し出すとき、そのとき美術作品としての尊い価値が生まれるのだと、本書は気付かせてくれた。
 今度は、本書を手に永観堂を訪れることにしたい。きっと、ふり向いた姿に、美術の価値をみると信じて。

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2006/12/04 10:34

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2014/07/15 14:35

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2012/02/10 17:28

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