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紙の本
昭和三十年代、給食費を払えない児童もいました。
2003/06/12 23:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和三十年代が懐かしがられて、テレビコマーシャルにおいてもアニメで再現されている。あれを見ると、貧しかったけれどあの頃は良かったなと誰もが思ってしまうのではないだろうか。
しかし、本書の「勤労中学生」というエッセイでは夜間中学生の生活記録である「電灯のある教室」という本の内容が紹介されており、義務教育である中学校に夜間でなければ通えない青少年がいたことを知った。
また、昨今、不登校が問題になっているが、昭和三十一年当時、長期欠席生徒が全国に十三万人もいたことが報告されている。親の病気や戦争による家庭崩壊がもたらす貧困が学校に通えない原因の半数以上を占めているという。
当時を振り返れば、通っていた保育園の近くには米軍のハウスがあり、米軍兵士の子供達に通せんぼをされていじめられたが、親達からは決して逆らってはいけないと強く諭された覚えがある。何も悪いことをしていなくても、理不尽な仕打ちに耐えねばならず、子供ながらに戦争に負けるとは惨めなことであると思った。朝鮮戦争は落ち着いていたが、我が物顔で飛びまわる米軍の飛行機には到底敵わず、金網の外から窺う米軍住宅は豊かさの象徴であった。
この本には約七十弱の本にまつわるエッセイが収められているが、「なにくそ−あとがきにかえて」に紹介してある映画「つづり方兄妹」は戦後の貧困の象徴のようなものである。幼い頃、白黒テレビでこの映画を見た覚えがあるだけに、昭和三十年代を貧しいけれども希望に満ちた日々であったという風に受け取られるのには抵抗がある。当時の親達は口には出さずとも「なにくそ」と思いながら日々の糧を得、子供を育ててきたのだろう。
出久根達郎氏の「本は時代の証人である」という言葉に強く感じ入ったが、bk1の書評もいつかは時代の証人の一翼を担うのだろうなと、ふと思った。
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