紙の本
私が推理するに、この本、最後で強引に纏めたような気がする。でも、それが決して嫌ではない。ま、ちょっとムードが甘いかな
2005/04/15 20:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
近藤史恵は1969年生まれ。カバー装画は飯田貴子、初出は「週刊小説」、「史上最悪のヒーロー」が書き下ろし。
オペレータールームに配属された新入社員研修を終えたばかりの梶本大介。その社内では、次々と奇妙な事件が発生する。ある日、僕の机の上から書類が消えた、それが再び起きて「オペレータールームの怪」。キリコの掃除を手伝っていた時、コピー機の上に置いていたカエルのぬいぐるみが勝手に動いた。彼が見ていたのは保険外交員の墜落死「ピクルスが見ていた」。結婚式の引き出物が、誰かの手によって注文を取り消されていた。そんな時手を差し伸べてくれたのはマルチ商法を勧誘するこ社員「心のしまい場所」。
大介が恰幅のいい日比野さんから告げられたのは、妹が派遣社員でやってくるということだった。ダイエットに励む女性社員の前で彼女が突然、昏倒して「ダイエット狂想曲」。キリコが突然いなくなった。一気に職場が汚くなった。そしてロッカールームから物が盗まれるようになって「ロッカールームのひよこ」。部長が娘さんの誕生日のプレゼントにと特別注文したピンク色のパンダのぬいぐるみが切り裂かれた「桃色のパンダ」。なぜか、綺麗に掃除されたはずのトイレが毎朝、黒い液体で汚され始めて「シンデレラ」。キリコが職場を去った。それは僕の結婚と関係があるのかもしれない、そんな時、他のビルで働くキリコを見かけた気がして「史上最悪のヒーロー」。あとがき。
近藤史恵を見直したのは『桜姫』だった。こういう小説を書くんだ、と感心した。で、それが今回も、そのまま当てはまってしまう。こんなに軽妙な作品も書くんだ、それは嬉しい驚きだった。とりあえず、キリコの設定がいい。年齢不詳、ただし見た目は20歳前、17か18歳と書いてある。ポニーテールとミニスカート、黒のごつい安全靴で颯爽と夜のビルを一人清掃する。
手際、というのがスピードを意味するならば、キリコは決して手際がいい清掃作業員ではない。しかし、結果が手際というならば、彼女は完璧な清掃員だろう。仕事中の人の邪魔をせず、決まった時間内に、それこそ机の下まで埃がないように、トイレの鏡に曇り一つないように仕上げる。しかも、その仕事が好きで誇りをもっている。
だからと言って、例えば人との付き合いができないとか、自閉症気味であるとか、失恋の痛手を癒しているとか、そういう気配はまったくない。大介にでれでれすることもなければ、ただただ優しいだけの女の子でもない。推理はするけれど、例えばその経過を伏せて人を驚かせる、といったケレンを見せるところもない。あるいみ、ちょっと真面目な普通の女の子なのだ。
私は著者が自分と同年齢の登場人物に肩入れするのが嫌いなのだけれど、読者としては大甘で自分に近い人が好き。だから、この本では美人で子持ちのキャリアの富永さんがお気に入り。大介が最初に好きになるのが富永先輩というところで、オヌシ メガタカイ 女は30代だよ、小林くんなどと呟いてしまった。
で、私の推理をひとつ。近藤は、最後の一篇を最初から年頭において、この連作を書いたのではないのでは、と思う。この作品集を纏めるにあたって、全体のボリュームを考えて追加したのではないか。ただし、ありきたりの作品では面白くない、ひとつ仕掛けをしてやろう、そういう気持ちがあったのではないだろうか。ちょとわざとらしいかな、と思うところはあるけれど、決して悪くはない。
投稿元:
レビューを見る
オフィスの清掃員キリコが謎を解く短編連作。
最終話は書き下ろしだそうだけど、これは賛否両論ありそう。
私はちょっと蛇足な感じがしました。
でもこの終わり方が好きな方も多数いると思います。
投稿元:
レビューを見る
面白かったです!私的にはかなりヒット!
本格ミステリーとかでは全然ないけど、話の流れとか読みやすさとかすごい楽しめて読めました。
読み終わった後、無性に掃除がしたくなった(単純( *´艸`)∴ブ・・)
シリーズ化とかされたら絶対読みたい!
でも、最後の書き下ろしを読む限りそれはなさそうだけど・・・
推理、推理!してるのもそれはそれで面白いけど、キャラの会話を楽しんで、気楽に読めるこの本は、娯楽という意味ではとてもよかったです。
投稿元:
レビューを見る
すらすら読めてわりと面白い。
キリコちゃんが事件を解決するのは楽しく読めるが、キリコちゃん自身の話になると、少し重く感じる。
投稿元:
レビューを見る
080127貸出。080209読了。
ありきたりのオフィス物っぽい。けど、こういうべたべたなのもいい。
掃除のおばさんではなくお姉さんにしたのが効いてるのかな。
キリコって名前もいいな。
投稿元:
レビューを見る
会社の清掃員が、そこで起こる事件の謎解きをする連作。確かに掃除をするとその人の精神面をある程度推測することは可能だろう。
ファッショナブルで若いキリコがてきぱきと掃除をこなして様が小気味いい。
投稿元:
レビューを見る
キリコちゃんシリーズ第一段。
三巻→二巻と遡りながら読み始め、やっと初巻に辿り着きました。
やーっとキリコちゃんの置かれた状況の謎が解けました!(ひとり大ドンデン)
これで二巻に繋がるわけねー。なるほど。
当然だけど、やっぱり一巻から順番に読んだ方がよかったかな。
どこから読んでも面白いことには変わりないけど。
投稿元:
レビューを見る
勝手な想像ですがこの近藤さんはきっと可愛い女の子が
...好きなんではないでしょうかね。
今作の主人公の「キリコ」さんもそんな女性から見た
可愛くて強い女の人を描いているような気がします。
途中まではよくある日常の中の謎とそれに
関わる人間関係のちょっといい話しかな...と思って
身構えることなく読んでましたが...。
最終話に来て急展開! 予想外の展開に弱くなった
涙腺が非情に危険極まりない状態でした。
見事に騙されて、泣きそうでした。
これってシリーズ作品なんですね? ブックオフの
100円コーナー探す楽しみが増えますた。
投稿元:
レビューを見る
これは気に入りました! おもしろかったー♪
ぴっかぴかの新入社員、梶本大介は、オペレータールームに配属になり、社内の清掃作業を一人で完璧にこなすキリコと親しくなる。
キリコは、17、18歳くらいで、<赤茶色にブリーチした髪を高い位置できゅっとポニーテールにし、耳には三つも四つもピアスをぶら下げている>。
このキリコちゃんが、サイコーなんである。
社内で起こるさまざまなトラブルの謎を、清掃作業員ならではの視点から見ることで解明していくのだ。
しかも、清掃作業は仕事として仕方なくやっているわけではなく、心から好きで、楽しく取り組んでいるのがいい。
キリコがわけあって不在だった時期は、代わりに掃除のおばさんが来ていたものの、彼女がどれだけ完璧に磨き上げていたか、また彼女がいないことがどんなにさびしいことか、社員たちは痛感する。
読んでいるこっちもすっごくさびしかった。
この作品、シリーズ化されていて、2冊目が出ている。そちらもぜひとも読むつもり。(2006.1.21)
投稿元:
レビューを見る
……そういえば私には長い間、「天使」が舞い降りてきていないなあ。そろそろ来てほしいところなんだけれど、まだ当分、来そうにないかも。舞い落ちるのは埃ばかり。はぁ。
というのはさておき。どちらかといえば「日常の謎」的なミステリ短編集。ただしそこにはうんざりするほどに「悪意」や「歪み」が存在しているので、かなり重い。「ロッカールームのひよこ」「シンデレラ」あたりが特にそう。しかもこのあたりの「歪み」ってのは、異常心理などとは違って、単なる「価値観や考え方の相違」であったりするので、余計重苦しい。それでも悪い後味では全然なく、一冊通しで読み終えると爽やかな気分になれる。かなりお勧め。
投稿元:
レビューを見る
掃除から手がかりを拾っていくのは確かに有効。
優柔不断な大介と頭脳明晰なキリコの凸凹コンビは読んでいてわくわくした。
ダイエット狂想曲とか心のしまいかたとか、結構身近なテーマだと思った。
投稿元:
レビューを見る
(収録作品)ロッカールームのひよこ/オペレータールームの怪/ピクルスが見ていた/ダイエット狂想曲/桃色のパンダ/シンデレラ/史上最悪のヒーロー/心のしまい場所
投稿元:
レビューを見る
清掃作業員キリコと新入社員大介の日常の謎的ミステリー。
設定も見たことないし、一つ一つの謎もよくできているけれど、全体的にほわっとした印象で、ハードな感じが好きな私の好みではないかな。
今時こんなぬるい会社あるかとか、掃除したら服汚れるよとか、変なトコが気になってしまった。
投稿元:
レビューを見る
あんまり人が死なない、日常系ミステリー。
掃除の女の子がキリコちゃんみたいな可愛くてクールな女の子だったら、そりゃやっぱり驚きだよね。
オフィスのごみ箱や、毎日掃除しているからこそ見えてくる真実がある。
キリコちゃんの言うとおり、ごみ箱に入ってしまったものはもう関係ないって思いがちだよね。
でもそれは僕が捨てたものだという認識を確かに持っておかないといけないのかもしれないな。
僕はお掃除が嫌いだし、あんまり部屋も綺麗じゃないけれど
僕にとって住みよい家は今の家だ。
それはこの家に引っ越してきてから掃除ってものを少しは意識するようになったからかなぁなんて思ったり。
続編も借りてあるので、そちらも楽しみです。
投稿元:
レビューを見る
清掃作業員キリコのシリーズ1冊目。
ミステリ慣れしていない人でも読みやすいです。
長編ではなくいくつかの話で構成されているので通勤読書用にもおすすめ。