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主人公が私立探偵でん?と思ったけど内容は本格。鬼貫とか星影ほどではないにしても不思議な状況の事件と鮮やかな解決が見事。バーテンの一言で事件の形がはっきり見えてくるあたりが良かった。
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『春の驟雨』
スカートを切り裂かれたと女に訴えられた男。その女らしき人物が風呂場で死体で発見される。なぜ風呂場だったのか?
『新・ファントム・レディ』
ドンファンの殺人容疑。彼を強請ろうとした強請屋が殺害された。ドンファンのアリバイを握る消えた女の秘密。
『竜王氏の不吉な旅』
スーパーで殺された男。強請屋の男にゆすられた竜王氏のアリバイ。強請屋の知り合いのホステスの最後の言葉。
『白い手黒い手』
楽器のセールスマンが呼び出されたのは幕張。しかし顧客の家は見つからない。幕張で起きた殺人事件のアリバイがくなった男。
『太鼓叩きはなぜ笑う』
殺害された強請屋の探偵。探偵の強請相手のリストノートの1部が破り捨てられていた。容疑者になった男の無罪を証明するために捜査をおこなう探偵の「わたし」。三番館マスターの行った実験。訪問者が訪れた順番とウィスキーの量の謎。
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4-
全体的にとても面白かったのだが、「白い手黒い手」だけ妙に唐突な展開で、会話文も噛み合っておらず、謎もいまいちな上、筋立も強引に感じられる。特に「竜王氏の不吉な旅」の切れ味鮮やかなラストの後に読むと、かなり物足りない。単純に発表順に並べたのだろうと思われるが、5編中の4番目にこれがあるのはあまり印象は良くない。
「よろめき」という言葉が頻出するが、三島由紀夫など読んだこともないので、それが流行語だったとは知らなんだ。今では当時の意味ではほとんど耳にしないが、「不倫」以降は死語か。
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元刑事の私立探偵が巻き込まれた事件を行きつけのバーのマスターが解決していくという安楽椅子探偵の元祖っぽい短編集。
『謎解きは〜』とかはこういうところから派生したんだろうけど、こちらのほうが好感が持てるし、トリックもわかりやすく普通に楽しめる一冊。
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三番館シリーズ。
やっぱり三番館シリーズ大好きです。
特に「竜王氏の不吉な旅」はラストが最高!!
全体的に文章も読みやすいしトリックも秀逸。
昭和感の滲む文章が、今読むとまた素敵なんですよね。
無性にバイオレットフィーズとギムレットを飲みたくなる作品です。
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私立探偵の足を使う捜査パートと微妙なへっぽこ具合とバーテンによる謎の解明という物語の構成のコテコテ感が良かった。クライマックスで犯人へビシっと証拠を叩きつける春の驟雨と竜王の不吉な旅と中華料理知識が楽しい新ファントム・レディが好き。
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意外性 ★☆☆☆✩
熱中度 ★★☆☆☆
読後感 ★★☆☆☆
印象深さ ★★☆☆☆
キャラクター ★★★☆☆
入手困難 ★★★☆☆
トータル ★★☆☆☆
会員制バー「参番館」のバーのマスターによる安楽椅子探偵シリーズの第1集。5つの短篇からなる。
○ 春の驟雨
デパートでカミソリ魔扱いを受けた須藤正樹の殺人の冤罪をはらすという事件。刑事弁護士から依頼を受けた私立探偵の「わたし」が,須藤正樹のアリバイを見つけ,被害者の亭主が真犯人であることを明かす。
参番館のバーテンは,ペンキの色と被害者がなぜ濡れていたかという謎について真相を明かす。ペンキは青く塗られていたのではなく,二度塗りされ別の色になっていたのであり,被害者が濡れていたのは,屋外で殺害され,雨で濡れたのを隠すためだった。シンプルな構造。
○ 新ファントム・レディ
「幻の女」をベースとした作品。殺人容疑を受けている増田謙介は,ナンパをし,中華料理屋にいたと証言するが,その中華料理屋には,そのようなカップルはいなかったと店員やほかの客が証言する。
参番館のバーテンは,ピンタンフールーという中華料理のデザートが串に3本しか刺さってなかったというところから,増田が本当にいた店を見つける。
○ 龍王氏ぼ不吉な旅
アリバイ崩し。古き良き時代の時刻表トリックという雰囲気。参番館のバーテンは,容疑者が電車内の騒ぎを録音しておき,聞いていたという真相を暴く。被害者の名前で犯人がキャバレーに通っていたことを最後でさらりと明かすちょっとした叙述トリックが隠し味。
○ 白い手黒い手
画家が妻を殺すにあたり,楽器店のエリートを罠にはめるというプロット。参番館のバーテンは,画家の両手がパレットを持っていたことから,日焼けの状態が違っていることを見つけ,画家のひとり二役のトリックを暴く。
○ 太鼓叩きはなぜ笑う
フーダニット。ゆすりやの財部を殺害したのは誰か。参番館のバーテンは,財部のいえの様子が分かるレストランの存在を見つけ,そのレストランを利用していた松崎というデスクジョッキーが真犯人であるという真相を見抜く。
第一集ということもあり,最初のあたりの作品は安楽椅子探偵という構成が生かしきれていないように思うが,「太鼓叩きはなぜ笑う」は,アイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」のような軽いミステリに仕上がっている。私立探偵の「わたし」と,各作品の登場人物のキャラクターが,ユーモアもありなかなかいい。鮎川哲也の作品の雰囲気は嫌いではない。ただし,トリック,プロットはそこまで面白いというほどでもなく…トータルでは☆2で。
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3番館シリーズの初編。
大体どれも1972年前後の作品なので、今では死語となっている表現がたまーにあるが十分楽しめた。言われてみればそんな表現あったな、と思える年齢の私なので、懐古主義的なのかも。若い世代の人には古すぎるのかもね。
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探偵の話を聞いたバーテンが真相を喝破するというアームチェア・ディテクティブもの。アリバイ崩しがメインで、多少の突っ込みどころはあるものの(「新ファントム・レディ」とか)、トリックそのものはどれもさすがというレベル。ただ、おじさん向けのユーモアミステリでもあるので、風俗描写やユーモアセンスの風化が激しい。今の感覚で言えば、不快でしかない描写が、ユーモアのつもりで延々続く。さすがにきつい。昭和のおじさんはみんなこうだったから、しょーがないんだけども。