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石動戯作シリーズの第一作
先に「黒い仏」と「鏡の中は日曜日」を読んでしまってから本作に手を出した。
内容はオーソドックスな本格ミステリーで、前に読んだ2作どちらも最後か途中にどんでん返しがあったので、今回も何か来るだろうと身構えしていたが、特に何も来なかったのが少し残念だった。
色々な人の視点から物語が進行して行き、登場人物一人一人の内面描写からそれぞれの個性がみれた。
とにかく文章が読みやすい。
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個人的に最悪な状況で読み進めた本。扁桃炎やら、身内のクソッタレな問題やら。人はいつでもどこでも大抵俺を困らせる理解不能な存在だ。俺の思いと小説はいつでもその時々の状況にリンクする。そうだよな、アル中になったお前。
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岐阜の奥地にある暮枝村。
洞窟で見つかる、病を癒すという奇跡の泉。
牛の角もつ鬼。赤毛をもつ地主の一族。
飛騨牛にはなり損なったただの美濃牛。
やがてわらべ唄を模したという陰惨な事件が起こり、村人たちは恐怖する。
にやにや顔の名探偵 石動戯作が捜査を開始する。
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700頁を超える大長編。クライマックスで登場する美濃牛の正体は何だったのか。天瀬の幻聴?亀恩洞の迷宮と窓音の中の迷宮の対比が印象的であった。
前半は様々な人物の視点からなる群像劇で、キャラ同士の掛け合いも楽しめる。気に入ったのは藍下と出羽のコンビ。
クライマックスで美濃牛が現れたのが面白かった。それも天瀬の前だけに。美濃牛ではなく窓音を選んだ天瀬。果たしてそれは天瀬の意思だったのだろうか。
窓音の底知れぬ存在感は美濃牛をも凌ぐかもしれない。
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石動シリーズ1作目。
不治の病をも治す"奇跡の泉"、地域開発調査に派遣される石動、泉の洞を封鎖する羅堂家、牛舎と美濃牛の像、俳句を嗜む隠居老人、他所者の古民家に出入りする美青年、閉鎖的な村の中で次々消える赤毛一族の命。
視点は主に取材にかりだされたフリーライター天瀬のものだし、石動でシリーズになっているとは知らず読み始めたのもあり、序盤から探偵の怪しさが尋常じゃなかった笑
登場人物が多いけれどそれぞれ個性と価値観がわかりやすく、『ハサミ男』から感じる皮肉屋っぽい洞察も好調でくせになる。
事件の真相や真犯人については、なんとなく怪しい怪しいと思うところであったから意外性というほどではなかったけど、しっくりまとまっているとても楽しめるミステリ。俳句を練る風景がとても風流で好きだし、伏線として回収されたも素敵だった。
章毎の引用文が多岐に渡っていて、著者の知識量に慄く。散りばめられているはずのオマージュについて半分も拾えていないだろう自分が残念。
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再読。ピラミッドのアヌビスの次は迷宮の奥のミノタウロスで。
3歳の子どもはもっと話せるだろとか栄さん年のわりに老けすぎじゃないかとかその辺がひっかかりました。アントニオ出てくるのあれだけだったっけ?いやまあ黒い仏で大活躍だしいいか...。
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色々踏まえていないので、深いところは分からないが、普通のミステリーとして楽しく読めた。牛肉についての知識も深まるし良かったと思う。
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言葉遊びに見立て殺人、田舎の屋敷にとミステリ要素盛りまくりの上に、オカルトやら音楽ネタ、果てには俳句まで乗っけてしまう盛りだくさんぶり。それは800ページ弱にもなる。確かに盛りすぎ感もあるが、それでも徹頭徹尾本格ミステリだから殊能さんは信じられるな。面白かった。
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オーソドックスな本格ミステリなのに、読みやすい。
キャラが個性的で面白い。
本格の要素も、ホラー的な面も、申し分なくラストの収まりもいい。
大傑作とは言えないまでも、際立ってよい作品でした。
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文庫本にして750ページを超える大作。首なし死体が登場するまで190ページ程度かかりブロンズの牛の角に腹を突き刺された二人目の死体が登場するのまで,430ページ程度かかる。非常にゆっくりした展開の作品である。
登場人物も非常に多く,大きく分けると羅堂家の人々,コンミューンの人々,暮枝村の村人達,雑誌から取材に来ているフリーライターとカメラマンと,複数のグループが登場し,それぞれの思惑で動き,物語がかき回される。美濃牛の面白さは,それぞれの登場人物が,殺人事件とは別の思惑で動く姿がいきいきと描かれている点にある。
犯人である羅堂陣一郎=鋤屋和人は,俳句を愛する老人として描かれている。陣一郎が開く句会の様子が描かれているが,ここでフリーライターの天城が詠んだ「秋風や牛舎の牛の白い角」という句が,羅堂真一殺害の重要な目撃証言になってしまい,最終的に天城が狙われる原因となる伏線として描かれている。登場人物のキャラクターが魅力的なこともあり,句会が事件に関係がないシーンとして描かれていると思って読んでいたので,感心してしまった。
ミステリとしては全体として冗長であり,横溝正史作品へのオマージュとするのであれば,登場人物を少し減らしたり,出羽や藍下(=村長),灰田についての描写を減らすなどして,もう少しすっきりした作品にした方がよさそう。しかし,美濃牛は単なる横溝正史作品へのオマージュではなく,横溝正史が描きそうな世界へのオマージュであるように思われ,一見無駄のように思われる部分にも愛着を感じてしまう。
ミステリとしてのこの作品のポイントは,羅堂陣一郎(=鋤屋和人)が,羅堂一族との奇妙な共存関係の終焉を避けるために,自殺した羅堂哲史の首から上を切断したことにである。自殺を猟奇的な殺人と見せかけることで,猟奇的な連続殺人事件が生じてもおかしくないと思わせ,羅堂美雄が,金のために,便乗して羅堂真一を殺害するであろうことを予測していたという点。
実行犯になれる何者かが裏に存在し,連続殺人をプロデュースするという構造は,Yの悲劇に通じるものがある。羅堂陣一郎(=鋤屋和人)のお手伝いであるお栄さんが,羅堂哲史の首を切断したというのはシュールだが,お栄さんの行動がやや不自然であること,お栄さんと羅堂陣一郎(=鋤屋和人)の関係など,伏線もあり,納得できないほどではない。
とはいえ,何人ものキャラクターが登場し,いくつものエピソードが並立した形で描かれているので,要約がしずらく,記憶に残りにくい作品となっている。このような作品は嫌いではないが,しばらくたつと,大体の構成は思い出せても,何人死んで,実行犯が誰だったかなど思い出すのが困難そうな作品ではある。
全体の構成,文章の読みやすさ,キャラクターの魅力など,かなり好みの作品なのだが,印象の残りにくさも含め,あと一歩足りない印象がある。際,羅堂陣一郎が鋤屋和人であろうということは,ミステリ慣れしていると読めてしまう。サプライズを狙っているわけではないのだろうけど,ミステリを読んでいるので,サプライズがほしいのも事実。その点の割引もあって…★4で。
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作者の本を読むのはこれで二作目。
以前読んだハサミ男も最高でしたが、これもすごく面白かった!
最初、うわ分厚いなぁ…と思ったもののすごく読みやすくて話も先が気になるのでサクサク読めた。
山奥の村の奇跡の泉とかわらべ唄とかワクワクする要素や、他の作品へのオマージュも多くて読んでて楽しかった。
こんがらがった事情も多かったのに謎解きは複雑ではなくスッと理解できるものでなんかもう本当凄い。
最後に出てきたアントニオの出番は少なかったもののインパクトはでかい…。
以降の作品を読むのも楽しみ〜!
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2018.09.11
奇跡の泉 リゾート開発 首なし死体からの連続事件 飛騨牛
長かった。ハサミ男や鏡の中は日曜日と比較するとインパクトは弱い。
古今東西の作品のオマージュが散りばめられてるらしいけど全然わかりませんでした。
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黒い仏を読み、共通する石動探偵を見ても美濃牛がただひたすら長かったけどよくできた話だった、としか思い出せなかったので再読してみました。初読当時は横溝作品も乱歩作品も読んでいなかったのですが今回はその知識がある分、辺境の村の謎の洞窟というだけで心躍りました。初読の感想はどこへやら、今回はただただ楽しんで次々ページをめくりどっぷり770ページに浸かりました。黒い仏での驚愕の片鱗はこちらでもすでにありますね。順番に読まない楽しさも味わえました。
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この作者の作品を読むのは「ハサミ男」以来の二作目。「ハサミ男」があれほどの出来だったのでこちらの小説はどんなもんかなーと期待半分で読み始めたが良い意味で裏切られた。横溝正史ばりの舞台設定に毒と洒落を混ぜ込んだような話だった。探偵役の石動戯作のキャラ設定はちょっと薄味だったけれどそれも気にならないほどの文章力。作中に所々ある違和感を拾っていけば犯人はなんとなくわかりはしたものの細部までは詰めれず。いやー、この小説も「ハサミ男」なみに有名になってもいいんじゃないか?
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文庫本で700ページ超の大作だが、文章も読みやすくおもしろかった。
取材で訪れた自然に囲まれた田舎の村、不思議な力があるという泉と、怪しい住人たち。雰囲気はドラマのTR●CKのような…。この雰囲気だけでわくわくする。さらに村にまつわる歌になぞらえておこる連続殺人事件。
取材に訪れたフリーライターをはじめ、石動や羅堂一族、村人、コミューンのメンバーなど、キャラクターもとても印象的。
果たしてこの作品の着地点は、オカルトなのか、ミステリーなのか?と思いながら読んだ。もちろんミステリーとして成立している。しかし、科学でわりきれないオカルト要素もあり、それがこの本の世界観を作り上げていると思う。