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紙の本
何たる時間と税金の無駄使い!才能の浪費!三等国に没落する日は近い
2003/06/01 21:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は週刊誌に連載された内部告発モノを単行本にまとめたものだそうである。週刊誌の方は読んでいなかったが、特殊法人の内部告発は例がないという。
著者は大学卒業後、ゼネコンに3年ほど勤務し、その後その特殊法人に入ったわけだが、あまりにもひどい税金の無駄使いに驚いて、夢も希望もなくなった末に退職を決意してこの著作をまとめたとある。
書かれている内容は、これは事実なのかと疑いたくなるほどの税金の無駄使いと才能の浪費の現状が具体例を挙げながら書かれている。著者自身もよく10年間も我慢をしていたものだと変に感心させられてしまった。
研究所だというこの特殊法人での日々の出来事が日記風に書かれているが、勤務時間などあってなきがごときである。部長、課長が自ら行方をくらましてしまうなど日常茶飯事のようだ。海外視察も例によってビジネスクラスやファーストクラスで大名旅行である。遊びに行っているのと何ら変わらないのである。
全てがちゃらんぽらんなのかといえば、そうではない。割当てられた予算の消化にはばかに熱心であるし、著者の内部告発がばれると、途端にターゲットを定めたいやがらせの連続で、そういうエネルギーと才能を仕事に生かせば、おそらく素晴らしい成果が上がったに違いない。パイオニアの苦闘を描くNHKの人気番組とは正反対とお考えいただければ正解である。
著者はこのままでは日本国が沈没しかねない現状を憂えて、ついに告発したものであるが、おそらくそれでも特殊法人は独立行政法人と名前を変えて延々と生き続けるのだろう。ぬるま湯と甘い水はそう簡単に捨てることはできないからだ。合併や統合を繰返し、法人の名前は変わっても内実は相変わらずで、能率が悪いという段階をとっくに通り越して、何ら生産的な事業を行っていないというわけである。
政府は不景気による税収不足を新たな税を創設して不足分を埋めようと躍起になっている。納税者はたまったものではないが、この繰返しと悪循環はいつになったら終わるのであろうか。為政者に合理化を求めてもまったく効果がないことはこれまでの特殊法人の存在がそれを証明してくれている。政府の財政が破綻してみないと実効のある行政改革は期待できないであろう。実際財政は破綻しているのであるが。
本書を読んでみると、特殊法人は機能的には官庁が為すべき作業を切り離して、別法人にしていく過程で生まれているように思えるが、大企業の子会社化と同じで、退職者の有力な天下り先確保がまず第一にあるようだ。
そういう意味で、官庁とは一体不可分である点で、日本の官界のあり方が問われているといってもよい。一流大学を卒業し、国家公務員試験をパスして官界に入っても、本書にあるような勤務振りでは国際競争に勝てるわけがない。また、日本を代表するキャリア官僚のかけがえのない才能を潰している。
財政もさることながら、そちらの方も日本の将来にとって由々しき問題であろう。今世紀の半ばには上昇志向の強い中国、韓国などのアジア諸国に凌駕されるであろう。わが国を支えているはずのトップ層が、税金で海外旅行に出かけて遊興三昧に耽っているようでは、わが国が三等国に没落する日は近い。
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