紙の本
最近の小説は、面白いけどつまらんのよねぇ
2009/07/07 17:43
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近、小説が読めなくなった(読みたい小説がない)のは、歳を取って瑞々しい感性を失ってしまったからと思っていたが、どうもそれだけではないようだ。
小説に限らず、世界に溢れる物語がワンパタンになってきたように思う。まるで、かつての青年の主張である。そこには人間の本当の苦悩は感じられない。論旨は通っている、話の運びも間違ってはいない。しかし、そこには心情の吐露も新たな芸術への挑戦も感じられない。作家を演じている作者の影が見え隠れするだけだ。
もちろん、すべての物語はワンパタンだということができる。最近の研究により、神話から現代文学まで物語の構成、キャラクターの設定に共通項があることが指摘されている。そのような研究結果に基づいてこのようなHOW TO本が書かれている。技術も必要なことは分かる。でも、その前に何を書くかがあるのではないだろうか。自分の内側から噴き出してくる、湧き出してくる、滲み出してくるそんなものがあってこその技術だと思う。
しかし、調べてみたらこうだったというのと、この枠にはめて書けば形になるというのは、違うと思う。実際に結果が違う。このような技術が最初に必要となり、実用化されたのはゲームの世界であろう。特にゲームが金になることが明白となり、粗製乱造の必要がでた頃からだ。そのような仕事を生活の糧を得るための職としたい人のマニュアルになるだろう。また、小説は読者を楽しませるためにあるとだけ考える人にも役立つだろう。
しかし、物語にもっと違うものを求めている読者もいる。もっと割り切れないものを。そんな読者にはなんだか現在の均質な世の中を代表する作品を大量生産するための実用書としか思えなかった。もっともそれを著者はねらったのだろう。
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物語を作るとき、アイディアが出てこない。どんな話を書けば良いのか分からない。誰かに「こんなの書いて」と言われれば書けるんだけど。しかし、そんなことを言っていては小説なんて書けるわけ…と、諦めている方。この本を読んでみてください。意外、でも実践的な練習法が紹介されていますよ。
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「行きて帰りし物語」の構造に自分で気付くんだ、という語りにゾクゾクっとしました。スタンド・バイ・ミーを読み返したくなった。小説を書かない人、書くつもりがこれっぽっちもない人でも、文学論として面白いと思います。
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この手の教本のなかでは非常に実践的。また、この種の本全般にいえることだが、ほんとうに小説を書けるような高揚感に浸ることができる。でもやっぱり書けないよね、と決断してしまうにはあまりにも惜しい。もう少しつながっていたい。
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物語を紡ぐ技術は特権的な、ある種‘神秘的’な能力とされている(作家自身がそのようにしているふしもある)が、それはどこまでが特別な能力であるのか?その線引きをすることで、小説という表現の新たな可能性を発見する試みの本書。本気で小説を書くためのテキストにしたい人でなくても、読み物として十分面白く読める。個人的には第六講が興味深い。なるほど、確かに現代小説は〈私〉語りばっかりだ
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http://next.rikunabi.com/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=000661&__m=1
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物語を書く能力というのは特別な物ではなく、訓練によってある程度は身につく物であり、その方法を解説している本。「物語の構造」ということはあまり考えたことがなかったが、抽象化を高めていけば、結局「起承転結」に辿り着くのではないかとも思う。プログラムに似てるなと思う。言語を扱うことに違いはないし。
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自分の中で物語を作る上での疑問に思っていたことが割とすっきり解決された感じ。へぇ。なるほど。だからか。等(でもまだ解せないところがいっぱい)
ただ、文学に詳しく無いというか興味の無い私には文学がどうとかいう下りはさっぱり意味不明でした。
小説書きたい人は読んでみるといいと思うよ。
【物語学】としても面白いかと。(2007.5.5)
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借本。
自分で小説を書くつもりはないけど、小説の書き方を知りたくて。
小説家を目指す方は購入する価値がある一冊ではないかと。
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賛成出来るかはともかく、書き方の練習だけでなく、文学とは何かという事も参考になる。誰もが簡単に送り手になれる、今の状況に参考になりそうな事が書かれてある。
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買っといて何なんですけど、あんま参考にならなそうです。ライトノベル講座?って感じ?そもそも別に小説書くつもりで買ったんじゃないんですけど。
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第一講 本当は誰にでも小説は書けるということ
第二講 とりあえず「盗作」してみよう
第三講 方程式でプロットがみるみる作れる
第四講 村上龍になりきって小説を書く
第五講 「行きて帰りし物語」に身を委ね「主題」の訪れを待つ
第六講 つげ義春をノベライズして、日本の近代文学史を追体験する
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実用向きの内容。カードを使って物語を作る方法など、今すぐにでも取りかかる事が出来る。オリジナリティなんてなくて、ほとんど換骨奪胎の作品という事。悩む必要なんて無し。
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古今東西の物語に共通する基本構造のようなものを抽出することで、小説を書くという行為において才能が必要な部分とマニュアル化できる部分とを分けるという、実験的な文学批評をしている一冊。かなり身も蓋もない言い方をしているので、読む人を選ぶだろう。小説をあまり読まない自分からすると、これぐらい言ってもらった方がスッキリする。
専門学校での講義を基にしているだけあって、実際物書きになりたい人が読んでもそこそこ役に立つと思う。小説家入門マニュアルと文学批評という二つの意味合いを持たせているとのことだが、マンガ好きにも結構アピールするところがある気がする。
個人的には同じ著者の「キャラクター小説〜」の方が濃厚で良かった印象があるが、逆に言うと本書の方がコンパクトに著者の考え方が理解出来ると捉えることも出来る。でも、六章の私小説云々の箇所は、他の本も読んでいないとなかなかわかりにくいかも。
350円。
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一つの文章はというものは名詞や動詞、形容詞、助詞といったいくつもの単語の組み合わせから成っている。同じように「お話」も実は、「単語」に相当するような単位というか要素の組み合わせから成り立っている。この「お話」の構成単位に相当するのが主人公などの登場人物の「状態」をなるべく抽象的に表現したもの。→物語の形態学
物語の表面を実際に取り去ってみる。物語をどんどん抽象化していくと物語の表面的な違いが消滅する水準がある。これを物語の「構造」とか「形態」と呼ぶ
物語の構造を構成する最小単位を「機能」と呼ぶ。 ex. 主人公は◯◯する → ロシアの魔法民話は31の機能から成る(プロップ)
登場人物の行為をその行為する主体ごとに6つに分類する
→グレマスの行為者モデル
3つの軸
主体→対象
送り手→受け手
援助者⇔敵対者
送り手(委任)とそれを代行する主体が対象を探し始める(宝探しをする)
物語と世界観の分離 ex. 村上龍の小説
世界観を特化させて、小説やまんがといった表現上のストーリーとは別に構築しておくという作業は実はメディアミックスという物語表現を取り巻く資本の要請に応えるには不可欠な要素。コミックからゲーム、ゲームからアニメといった一つの物語を他ジャンルに移植する際に世界観の設計がきっちりとなされていると作業はスムーズに動く
ex. 歌舞伎では、世界観=世界、物語=趣向
テーマ
作り手があらかじめ自分の作品のテーマはかくかくしかじかだ、と語ってしまえるようなお話はあまり健全とは言えない、政治的なプロパガンダになったりお説教臭くなったりとあらかじめ書き手が所存のテーマを自覚してしまうことの弊害は少なくない。だからこそ、ごく自然に健全なテーマが内側からちゃんと湧いて出るような形が望ましい