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紙の本

“大学生の”学び論に新しい視角——現実をベースにした学びの主体形成論

2003/05/10 00:30

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:椎野民輝 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「学力の危機」が叫ばれる中、学問論をテーマにした多くの書物が出版されている。このような学問論は著名な学者による「第一線での研究報告」か、学びのスキルに限定した形で述べられたものが大半である。一大学人として学生と接する機会を持つ身として、私もこれらの書物をフォローしており、教えられることは多い。しかし最も重要なことは、現実にキャンパスで生活する学生が主体的に学び成長する(つまり「大学の主人公になる」)ためにはどのような学問論が必要であり、手立てが必要かということではないだろうか。
 本書の最大の魅力は、こうした課題に応えているということ、すなわち、現実に存在する学生をイメージしながら、学びの主体形成について論じているということである。このことは、著者らが「私たちが、キャンパスで出会ったさまざまな学生とキャッチボールする中で、大学と学問のあり方について、常日頃考えてきたことをとりあえず形にしてみた」(6ページ)と述べているとおりである。
 本書は五章構成からなる。
 第一章は「学びの景色」を前提しながら学びの魅力ときっかけを総論的に展開する。「暗記型」ではなく「納得型」の学び、「問い」を発することの大事さ、情報の送り手になることなど、学生の自主性を軸にした学び論である。学生からよく出される根本的な問いである、そもそも学問・科学とはなにか、という問題にも答えている。この際にも著者が「科学的理論と現実に触れることは、科学の間近にいる者としての学生に必要な日常性」(39ページ)と言っているように、大上段に学問論を振りかざすのではなく、学びの主体としての学生の成長を念頭においていることに注意したい。
 第二章は、これを受け実際に学びを進める際のスキル論を述べている。スキル論ではあるが、単なる小手先のテクニックの解説に解消せず、そもそも講義とはどういう性格を持っているか、活字情報と視聴覚情報の区別と両者の長所は何かなど、情報を“主体的に”処理するための、原理論ともいえる内容になっている。いわゆる「学びのスキル本」ではこのような情報処理の主体形成論とでもいうべき事柄が論じられていないため、この点も本書のオリジナリティーであるといえよう。
 第三章は、五感で感じるフィールドワークのすすめである。著者らの学び論にフィールドワークの薦めが入っているのは、「『現実』に対するイメージが持てなくなりがち」(120ページ)な今日の学生の現実を踏まえれば、五感で問題意識を喚起することのできるフィールドワークが必要である、ということではないか。冒頭で本書の魅力が「現実を踏まえていること」と述べたが、このことが本書の構成に反映されているのである。
 第四章は、現実を理性的に読み解くための理論への導入である。事例を出しながら展開しており、初めて理論に触れる学生にとってはそれ自体理論研究から得られる知的刺激を肌身で触れられる内容になっている。二、三章で、“現実を知る”ための方法とそのための主体的前提が論じられたとすれば、第四章では、そうして集めてきた事実から出発して、事実を理性的に読み解くことの重要性を論じているのである。
 第五章は、学生が学び成長する上で仲間や集団が持つ決定的意味について論じている。二〜四章までが、著者らの学び論、学問論であるとすれば、第五章はこうした学びを実際に行ってゆく主体が成長するための条件について述べているのである。自主ゼミや小集団教育が重視される中、実際の学生のとりくみを踏まえた議論は興味深い。
 学生・生徒の実態に基づいた学び論は、初等・中等教育分野では多くあるものの、大学生期のものは——必要性があるにも関わらず——類書が少ない。本書の立論の展開は学生の実態をベースにしており、貴重である。本書を、大学人だけでなく、大学教育に関心を持つすべての市民に推薦したい。

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