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心察 ぬくもりとやすらぎを求めて みんなのレビュー
- デイヴィッド・クール (著), 古屋 美登里 (訳), 石黒 達昌 (医学監修)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:医学評論社
- 発行年月:2003.4
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紙の本
彼に読んでほしかった本
2003/05/06 16:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:根本 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の原題は「What dying people want」、直訳すれば<死にゆく人が求めるもの>となる。
著者のデイヴィッド・クールはカナダで、ガンやエイズの数千例の末期患者のターミナル・ケアに当たってきた医師である。
薬で治すことのできない患者の悲しみと苦痛をいやすために医師や看護師は何ができるのか。また、家族や親しい者は彼や彼女にどう接し、どう支えていけばいいのか。
この難しい問いに、不治の病にある人の真実の告白と医師自らの体験から、真摯に答えようとしたレポートというべきものがこの本である。
訳者の古屋美登里氏は「よく生きた者はよく死ぬことができる。しかし、よく生きることができなかった者でも、よく死ぬことはできるのだ。本書から受け取ったのはこのメッセージであった」と。
また監修の医師で小説家の石黒達昌氏は「死と生の問題は『差別』に帰着する。その『差別』を『差別』として描いている本書は、よりよい死を迎えるためのガイドブックではないし、患者さんをどうしなせて死なせてあげるかといったことを教えるマニュアル本でもない」と書いている。
キューブラー・ロスの「死ぬ瞬間」が書かれてから三十年。
「死の受容」という最難関の主題に、最前線の緩和治療現場の医師が挑んだこの本を、病院嫌いの安原さんはどう読むだろう。
がんという死に至る病を、ほんとうに普通に受け入れ、逝っていった安原さんならどんな感想をもっただろう。
この本をプロデュースしたものとして、また後輩編集者としてもとても聞きかったことだ。
根本昌夫(文芸編集者)
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