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金で買えるアメリカ民主主義 みんなのレビュー
- グレッグ・パラスト (著), 貝塚 泉 (訳), 永峯 涼 (訳)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:角川書店
- 発行年月:2003.4
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紙の本
金で買えるどころか金儲けの一手段としての民主主義を暴く一冊
2004/08/20 14:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヴィア・ノヴァ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「正義は武器に似たものである。武器は金を出しさえすれば、敵にも味方にも買われるであろう。正義も理屈をつけさえすれば、敵にも味方にも買われるものである」。本書を読んで、この芥川龍之介の一節を思い出した。ただし、正義は理屈や金で買えるどころか、金を儲けるための一手段にしかなっていないのではないかと本書を読んで思った。
日本語版カバー裏に書かれているように、著者はマイケル・ムーア監督にも多大な影響を与えているようだ(というより、ムーアのネタの大きな供給源が本書の著者といったほうが正確であろう)。2000年大統領選挙で、ブッシュ大統領の弟が知事であるフロリダ州(ごたごたの末、500票差でブッシュ現大統領が当選)での大量の不当な公民権停止(約9万票)があったことを著者は発見する。しかもそのほとんどがマイナリティーであり、民主党に投票する可能性が非常に高い選挙民を選択したかのような処置だったそうだ。その裏にはもちろん、兄のブッシュを大統領にしようというブッシュ知事の思惑があったのは当然であるが、それとあわせて杜撰な選挙人名簿作りで逆に金儲けしようとする信じられないような裏の政策が明らかになっている。また、イラクの刑務所での虐待が問題視されたが、本書を読めばそれはアメリカが刑務所におけるグローバリゼーション(!)を進めた結果に過ぎないという皮肉な顛末が明らかになるはずだ。また他にもグローバリゼーション(IMFやWTOと欧米企業との黒いつながり)、ますます広がる貧富の格差、ブッシュ前大統領と現大統領の周りでの不可解な数々の動き(「華氏911」で触れられていそうなサウジ王家とのつながりを含む)、報道の自由と政府の圧力など数々の現代社会の邪悪な一面を白日の下にさらしている。
本書が最近流行の単なる反グローバリゼーションになっていないのは、著者がチリのピノチェト政権下での経済政策(初めてのグローバリゼーションとも言われる)を指導した、シカゴ大学のフリードマン教授(日本でも一部でカリスマ的崇拝を受けるノーベル賞受賞者)のチーム(シカゴボーイズと呼ばれる)のすぐ近くにいたこと(当時のフリードマン教授の元で学ぶ唯一のアメリカ人)も大きい。新聞の一面や雑誌で大きな顔写真と一緒に「嘘つき」「世界で最も邪悪な人物か?」と大きく見出しをつけられた人物による渾身のメッセージ、マイケル・ムーアの著作や映画に興味がある方にはもちろんであるが、今後の世界やアメリカの情勢を含む私たちの生活を真剣に考えるためには必読の一冊である。
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