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丁寧で端正な絵で、壮大な世界を描く清水玲子のコミックは好きですが、彼女のエッセイを読むのは初めて。
クールで美しい、完璧な絵を描く人なだけに、本人も物静かで落ち着いた人なんだろうと想像していましたが、実際は結構違うのね、という意外性が新鮮でした。
彼女の怜悧な絵を見慣れていますが、作中でもギャグシーンでは、時々丸みを帯びた崩した絵を登場させます。
自分のスキューバ奮闘記なので、『ミルキーウェイ』のジャックのような、くだけた絵で話は進んでいきます。
グラサンまでかけているところが、なおさらジャックみたい。
受講の様子は、なかなか大変そうでしたが、それは大げさな表記ではなく、本当に海洋実習に落ちてしまったとのこと。
暇のない人気漫画家らしく、相当インドア派のようです。
でもめげずに、ドライスーツを入手し、再度挑戦していました。
スーツの採寸シーンで身長を知りましたが、150cmない小柄な方とは思いませんでした。
重厚なスペースコミックを得意とする人なので、ビッグな容姿を想像していたのです。
話の過程で、ちょいちょい『レオン』が登場します。
かなりお気に入りのようです。合わせてジャン・レノも。
『グラン・ブルー』で、彼はダイバーとして活躍していたので、著者も奮闘しているのかもしれませんね。
無事ライセンスが取れたあと、なんと次なるアドバンスを目指している著者。
C級を取るのも大変そうでしたが。やっぱりジャン・レノ効果?
OW(オープンウォーターライセンス)は、18m以上のところでしか潜れないとか、夜に潜るのは禁止だとか、いろいろ制約があるそうです。
ダイビング好きの人は、より自由に海中遊泳できる上の資格を取りたくなるのでしょう。
箇所箇所で、国内外のダイビングスポットが紹介されています。
クリスマス(インドネシア)では、ジンベエザメに遭遇確率が90%と書かれていて、私も潜ってみたくなりました。
ダイビング用のさまざまなグッズも紹介されています。
防水たまごっち「もぐろっち」まであるんですね。
海の中にいてもたまごっちの飼育が気になる人のために作られたとのこと。
そんなにたまごっちって、手が離せないものだとは、改めてビックリします。
次は、アドバンス資格を取るまでのエッセイが出るかもしれません。
この本を読んで、長年好きだった漫画家の神秘のヴェールがめくれて、人間らしい素の表情や感情に触れられたことが、嬉しかったです。