紙の本
文字によるドラマ
2018/10/19 08:45
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投稿者:aaaaa - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品には娯楽性はない。人物の心情を徹底的に描く代わりに、時間は簡単に飛ばされる。しかし、それでも読んでいるとだんだん体に熱がこもってくるのは、その描写力から作品内に心が入り込んでいくからだろう。これこそが古井文学である。
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あー……しんどかった……。
こんなん中年じゃなきゃわからないでしょ!
なんでそんなに物忘れ激しいのかとか、なんで関係を結ぶのをそんなにもかたくなに避けるのかとか……
中年の危機をしらない若者からしたらファンタジーですよ。読むのが15年早かった。
過去に夜這いのようなかたちで誰かに抱かれたという園子、
よく男に付け回され怯える伊子、
そして自宅マンションの真上で殺人が起こったバーのママさん、
ある日を境に女たちが杉尾を中心として…近づいてくるわけでなし、かといって遠のくわけでもなく、ある一定の距離を保ちながら少しずつ…すがっているようにも見え、誘惑するようにも見え。
女たちはそれぞれに恐怖と妄想を抱いている。杉尾は次第にその恐怖や妄想に絡め取られていくような感じで、ありもしない記憶を思い出したり、
でもってあの時園子と寝たのは誰だったか、
よくわかりませーん!
いわゆる長篇小説のような、3分の1読んだら読書スピードがあがる、ということもない。物語が動き出すといったこともなく、はじめから最後まで同じ温度である。かえってよく書けたな、とも思う。
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本日読了。
重厚だがぬめぬめと蠢き
仄暗くも鈍い光を放つ、
男の、女の、記憶、妄念を、
丹念に描きだす。
薄霧、濡れ草のにおい、水の流れ、電話のベル、足音、
そういった気配たちが、
誰かの狂気をうつつ世に引き込む呼水としての、
重要な役割を与えられている。
500ページ超。
読む持久力は必要かな・・。
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ただただ退屈だった。
本作に込められた手法について,松浦寿輝による解説に詳しいが,果たしてこれを長編でやる意味はあるのか疑問。一種のリアリティについては同意するけれども,やはり簡潔にまとめないと輪郭が薄れてしまうと思う。むしろ「輪郭のボヤけ」こそ本質なのかもしれない,それにしても退屈なのは変わらない。
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ふつうの物語としてめちゃめちゃおもしろい、ほとんどの人間が神経症にかかっている、それから解説にもあるけれどホテルのエレベーターをおりてから國子の部屋に向かうまでのながれはぞっとするほどすばらしい。ただ妻子持ちの四十代でこんなんなのか、という所感は否めない。
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40になったらこんなべろべろの性関係が待ってるの?まじで?
むくげと書いてあさがお、これを確認する為だけに読んだ544頁。
私は槿(伊坂幸太郎氏/グラスホッパー)がだいすき。美しいひと。
伊坂さんの世界に生きる、植物の名がついた御仁にときめく
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本著者の「聖」「栖」、「杳子」「妻隠」と読み薦めてきて、図書館で借りた。福武書店の1988年11月11日第一刷発行の本だ。
これまでの著作よりもかなりの長編、著者の得意とする(?)精神疾患(妄想)と正常の不安定な世界を描いている。不安定とは言い過ぎかもしれないが、20年という時を経て旧友の死をきっかけに主人公が2つの世界の接点として巻き込まれ、主人公の冷静な対応で結びに至る。
ところで作品名の「槿」は花のムクゲ(木槿)であり、作品中旧友の自宅の庭に咲いている。花言葉を調べてみるも、この花が象徴するとことを読解できていない。