紙の本
僕らは何も知らないままではいけない
2003/06/12 23:57
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投稿者:あいたろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
北朝鮮に関するニュースが毎日のように、新聞やTVを賑わせているけれど、僕らは北朝鮮についてどれほど知っているのだろう? センセーショナルなニュースについては毎日のように繰り返されるから、それらをベースに判断してしまうかもしれない。でも、よくよく考えてみると、僕らは朝鮮半島の歴史と現状についてほとんど何も知らないのではないか?
この本は、まずはそういった勉強不足の僕らに、朝鮮半島を巡る、戦後の歴史と現状認識について駆け足でレクチャーしてくれる。巻末には参考書や年表、ミニ解説がついていて、この本をきっかけに勉強しようとした時にはとても役立ちそうです。
はっきりいって、僕にとっては本当に目からウロコがボロボロ落ち続けでした。日本、韓国、北朝鮮それぞれの国の戦後を、それぞれの立場にたって見た時に確かに今まで見えなかった、新たに見えてくる何かがあります。著者は、北朝鮮を単なる悪の枢軸・ならずもの国家として一方的に非難するのではなく、彼らの送ってくるシグナルにきちんと目を向けた時、むしろブッシュ率いるアメリカの対応が状況を著しく困難な方向に向かわせているのだ、ということに気付かせてくれます。
本書の冒頭にとても印象的な記述があったので、紹介します。
試しに日本と中心とする周辺地図をさかさまに見てほしい。そうすれば、日本側から見ると、列島の無防備な部分に対して腕のように突き出された朝鮮半島が、逆に、前線の要塞基地のような日本列島によってぐるりと囲まれた地域のようにみえるはずである。
拉致問題、核問題と解決すべき問題は非常に困難で、双方にとって或いは周辺の国々にとっても大きな負担となる可能性を秘めた問題ですが、著者は、その困難に立ち向かい、安定した北東アジアを築くためのステップを提案しています。難しい問題であるけれど、われわれ日本人が今まで「わざと」忘れてきた問題に対して、まじめに突っ込んで考えるべき時がきているようです。著者の考えに100%賛同する訳ではないけれど、この問題を考えるスタートとして、本書はとても読みやすく、理解しやすい点で素晴らしいと思います。
ところで、「ナショナリズムの克服」とか「貧困の克服」とか、最近は克服というタイトルが多いなあと思ったら、何と「克服」シリーズだったのですね。
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ちょう珍しく自分で購入し、そして長らく放っておいた本。図書館本が途切れたので再度読み進め、こないだ読了。姜ソンセンニムの本は読みやすいです。が、こちらに知識がないので読み終わったら内容を忘れまして2巡目。アホー>オレ
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その他、韓国・北朝鮮関連の学芸書以上の
内容は書かれておらず、十数冊以上の韓国関係の
本を読んだことがある人には退屈だと思われる。
私はこの独特の書き口というか、毒舌にも
慣れることができず、読みながらも何度も
首をひねってしまった。皮肉っぽい文章が
やたらと気に障る。
日朝関係についての入門書としてはいいかもしれない。
特に著者は、日韓・日朝関係ではよく知られているため、一度読んでおくのもわるくない。
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リベラルな考え方で日朝関係の克服を提示した本。ただ、別の本では筆者のこの考え方が徹底的にけなされてて・・やっぱりその対立が醍醐味ですかね。
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[ 内容 ]
二〇〇二年九月、日朝首脳会談が開かれ、国交正常化交渉がスタートした。
だが、会談の席上で金正日国防委員長が「拉致」の事実を認め、謝罪したことで、事態は急変する。
さらに、二〇〇三年三月に始まった、米英軍による対イラク攻撃の推移次第では、ブッシュ大統領に「悪の枢軸国」と名指しされた北朝鮮をめぐる北東アジア全域の安全保障が、未曽有の危機にさらされる可能性すら出てきた。
本書では、第二次大戦以後の朝鮮半島の歴史を概観するとともに、冷戦終結後の、日米安保体制に代わる北東アジア平和秩序のモデルを提示した。
これからの日朝関係を考える基本的な視座を獲得するための入門書でもある。
[ 目次 ]
序章 なぜ国交正常化交渉が必要なのか
第1章 敗戦と解放の逆説―一九四五~四八年
第2章 日韓関係と日朝関係―一九五〇年代~六〇年代
第3章 激変する朝鮮半島と日朝関係―一九七〇年代~九〇年代前半
第4章 日朝関係の「克服」に向けて―一九九四年の危機以降
終章 日朝関係の「克服」と「北東アジア共同の家」
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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日朝関係について知りたくて読書。
予想以上に残念な痛い歴史観が詰まった本。参考文献であり、本文中でも頻繁に引用されているのがすでに化石のような史観の和田春樹氏の著作である点も痛い。
北朝鮮の独裁体制と戦前の日本を同一視するようなくだりがあったり、日本人拉致問題と朝鮮半島からの「強制連行」問題をリンクさせている。
ま、著者のスタンスであれば仕方ないと思う。
70、80年代の朝鮮半島の動きはあまり知識がないので通史として勉強となる。同時代は別の著者の本なども参考にして知識を深めていきたいと思う。
2002年に金正日総書記がに拉致問題を認めて謝罪したことが北朝鮮にとって最後の切り札だった点はその通りだと思う。しかも、もう亡くなり神格化しているため、否定や訂正は現国家体制では事実上不可能に近い。
日朝平壌宣言の時点で小泉元首相は功を焦ったのか、この人数でokのように幕引きをしてしまったと思われても仕方ないと思う。せめて日本政府が認定した全員の安否確認、救出するまで宣言は出すべきはなかったのではと思う。その意味では小泉元首相にも責任があると考えた。
いろいろな本が出版できる日本は素晴らしいと改めて思う。
読書時間:約50分