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今までこんなに熱く童貞を取り上げ、真面目に語る書籍があっただろうかと思いながら読了。冷やかし的な内容ではなく、すごく真面目な内容である。今から12年前に出版をされたものらしく、それをふまえて読むとなるほどといった感じである。昔は童貞が美徳だったが現代では童貞は恥という風潮。時代が変われば、思考も変わるといった感じか。
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2003年刊。「童貞」に対する社会からの目線に関して、貞操概念、男女の非対称性の変遷を絡めつつ、戦前~戦後を通じ、各種文字媒体や論争などから解読を目指す。とはいえ、戦前期部分は、貞操に関する女性への差別待遇の問題が焦点で、どこかで見たような内容に止まる。また、決定的に問題なのはキリスト教の流入に対する視点の欠如だ。また、戦後期も、様々な文字媒体(主に雑誌)から童貞の社会的評価の変遷を書き並べるだけ。なお、第十章は鼻白む内容。この言説なら、かつてはともかく、女性が男性を自由に選別できている時代としての現代。
ならば、逆に男性も女性を選別することを大手を振って許容してもらわなければ公平とは言えまい。著者は早稲田大学教育学部非常勤講師。
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現代の男性の貞操観念がいかにして養われたかを、丹念に分析した一冊。
当然、著者の視点が入るので、これが100%正しいかはわからないけれど、戦前から追っているので非常に勉強になった。
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童貞についてめちゃくちゃ真面目に論を展開した本。
すごく面白かった。
童貞に対する世間の考え方の変遷が事細かに書かれている。帰着点はおおー、そこに帰ってきたかー!という感じもしつつ結局そこかーとも思いつつ。
社会学の本のなかではかなりユーモラスで読みやすい。
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「童貞」をめぐる言説の変遷をたどることで、男のセクシュアリティがどのようなしかたで囲い込まれてきたのかを明らかにしている本です。
戦前には、童貞を美徳とし、「新妻に童貞を奉げる」という言説が存在しており、「貞操の男女平等」という考え方が根づいていたことに著者は注目しています。ところが1970年代に入ると、童貞は「カッコ悪い」という言説が登場し、さらに80年代には「シロウト童貞」を蔑視する言説や、童貞の年齢に規範を設ける言説、童貞と身心の病理を結びつける言説、女性は童貞が「見て分かる」という言説などの類型が現われるようになります。これに対して90年代以降、こうした童貞蔑視に疑義を提出する言説が見られるようになると著者は論じています。
「童貞」を問題視する社会は、恋愛とセックスが強固に結びついており、「正しい童貞喪失」の基準から外れた者は「病人」としてあつかわれることになります。そこに、男性が女性によって値踏みされるようになった現状が反映されていることが論じられています。
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当たり前だけど男が男に奪われる童貞も童貞って昔は言ってたのか・・・
志賀直哉・・・
これがほんとのセカンド童貞ってか・・・(最低)(すみません)
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戦前戦後の童貞の語りを分析した本。
戦前はトリビア満載ながらも何となく分かる感じがしたり。佳境の80年代は酷いイジリが満載。この時代の苛烈なノリを対象化する事が、目下の生きづらさを解消する為の要訣なのだなあと改めて思った。
平塚らいてうへの反発、男女平等へ理解を示している様でもいざ非対称性に踏み込むと猛反発するというのは大変耳の痛い分析だった。鋭い…。
第十章が本のまとめを含めてエッセンスが満載。解決策の提案も興味深い。けど3点目は…。男女の非対称性を問題視してきたのに、しっぺ返しを提案する様な物言いは、「役に立つ」のかもしれないがちょっと厳しいのではという感じがした。
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人の話を聞く、相手を立てる、人の喜ぶ事をする(※料理の例)…それ自体はまあ好ましい事というか、男女問わず目指したければ自ら目指されるべき姿勢・行動だと思う。(目指したくない人に無理させる事はあり得ないので)ジェンダーによる偏りがあるのは問題だけど、行為自体を「(男が)女に徹底的に媚びる」という様に貶めて低評価する様な物言いは不要・余計なのではないか。むしろ「値踏み」「媚び」という負の意味づけの方を取り除く方向で行った方がフラットで良いのではないかと思ったりした。
そんな風に思う自分は呑気だろうか。もしくは非対称性に踏み込まれた事への反発なんだろうか。
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直近百年ちょっと、連続性のある近代以降でも、その時々で色々な語り方で価値観が変遷していく様をつぶさに見る事ができ、「童貞」概念を対象化するのにとても有用だった。