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仕事がらみで。
アトムのことを色んな面から詳述。アニメの海外進出(アメリカ)についての箇所を参考にしたけどすんごく詳しかった。アメリカの倫理規定の厳しさとか。
あと原稿には使わなかったけど、この作品に対する手塚氏の思いもおもしろかった。
以下、原稿からの引用。
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1963年5月,虫プロダクションとアメリカのNBCとの間で『鉄腕アトム』52本の配給契約が成立し,その年の9月7日より『アストロ・ボーイ』というタイトルで放映されるようになった。日本アニメが本格的に海外進出したのはこれが最初である。
放送開始の翌64年には第2回52本の配給契約が成立し,NBCのフレッド・ラッド氏が来日して東京で記者会見が行われた。フレッド氏は記者会見で,「科学的な空想性のなかになんともいえないユーモアと詩情があって,アメリカのマンガ映画にはない味があります。いまやアメリカの子どもで”アストロボーイ”を知らない子どもはいないでしょう」と語っている。
ただし記者会見では,何本かのフィルムの数箇所に,以下のような,アメリカの倫理規定の厳しさを示す指摘もなされた。
・「ホットドッグ兵団」:ロボットに仕立てるために犬の皮をはいだり殺したりするのは動物虐待である。アメリカには動物愛護協会がたくさんある。動物に対して過酷なことをしてはいけない。
・「ヒューマノイド・ピル」(一種の人造人間):科学では人間を作りだすことは絶対できない。宗教的な意味からタブーである。麻薬を扱う場面や誘拐場面,黒人を漫画的に描くことは絶対にいけない。