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紙の本
滅亡に付きまとわれた女。常に不幸を選択してしまうのはなぜか。
2015/12/24 21:31
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投稿者:照月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
帝制廃止のためベイルートへ母と共に亡命させられたムラト5世の孫セルマ。友達もでき、社交界でもちやほやされ、幸せな人生を歩み始めたかに見えたが…。
やはり結婚となると障害は大きかった。
美人で元プリンセスのセルマに求婚者は後を絶たなかったが、皇帝の娘である母もセルマも首を縦に振らない。
「こんな家柄の男とは」
友達のお兄さんと交際し結婚を真剣に考えるも、母の反対とセルマの家の困窮した経済状況などから実現しなかった。アルバニア皇后に、という話も、政治的な事情から破談になった。
26才になったとき、インドの容姿端麗な藩王から結婚の申し込みの手紙が来た。セルマは相手の地位と容姿に飛びつきインドに嫁ぐ。
しかし、セルマは13歳まで宮廷で持ち上げられて暮らしているし、亡命後は自由な生活を送っている。一方のインドは嫁の地位は低い。しかも藩王の家はイスラム教だった。
夫は悪い人ではなかたが、夫の姉の虐待が始まる。その上、インドでは、ちょうどガンジーが台頭していた時期で、国内はイスラム教徒とヒンズー教徒の対立から内戦状態になる。貧民への慈善事業で自分の存在価値を見出そうとしたセルマだったが、それもできなくなってしまう。
セルマは病気になってしまうが、その時期妊娠もしていた。夫が、セルマはインドにいない方がいいと配慮し、出産のためフランスに出国させる。夫には、これが今生の別れになってしまうのはわかっていた。
そのフランスで29歳の若さで病死するが、セルマのフランスでの行動は感心できない。(細かくは書かないが)
ベイルートでせっかく普通の生活を手に入れたのに、わざわざ女性の地位の低いインドに嫁いでしまう。そのインドが内戦、パリに行くも、今度はパリがナチスドイツに占領されてしまう。しかも、逃げる時間はあったのに、決断が遅くパリにとどまっていた。
選択肢はあったに、常に不幸を選んでいる。何故なのか。彼女を不幸にしたのは、彼女自身のプライドと状況判断の甘さである。王制が廃止になっても、やはり皇女は皇女なのである。
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