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隠れたベストセラーに引かれて購入したのは、もう○十年前
香りへ憧れや華やかさを一掃する執念にも似た
主人公の本能。人間の本能を呼び覚ます
「天使の香り」「神の香り」はどんなでしょう・・・創造を掻き立てられました。
一気に読みました
昔映画化の話題が「マリクレール」に載っていたけどどうなったんでしょうね・・・・
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あぁ、原書を読める語学力があったなら。。。と呻いた作品。
18世紀パリを舞台に繰り広げられる、凄惨にして、甘美な物語。
「匂い」の持つ魔力と魅力に人生を翻弄される主人公は、世に存在する香りを全て作り出すことができるようになる。果ては匂いで人をすら自由自在に操る術を得た、天才的な嗅覚を持つ主人公が求めた究極の香りとは。。。
この物語はフィクションかノンフィクションか。。。それほどまでに真に迫った描写力、説得力。
文章を読み進めるほどに、頭の中に立ち込める「匂い」。。。池内紀さんの名訳本。
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人は特別な能力を持つと、平凡な人生を歩むことはできないのかもしれません。私は凡人なので、主人公のようには生きられません。他の人に自分を分け与えひとつになって、彼は救いを得ることができたのでしょうか。
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副題は‘ある人殺しの物語’
この物語は人殺しの物語には間違いはないのだが、匂いの物語でもある。
読者は、この本をただ読んでいるだけで、さまざまな匂いを嗅がされているような気分になるし、それに主人公のジャン=バティスト・グルヌイユの人生は、著者が冒頭に引き合いに出しているように、サド侯爵やサン・ジュスト、フーシェ、ナポレオンなど時代の赤絨毯の上を行く怪物たちとの人生とは異質であるが、とにかく、ある意味、天才であり、またとない嗅覚と視覚、そして腕を持った男なのである。
彼が生まれたのは、1738年パリ。
王族、貴族たちは優雅な生活を送っている頃ではあるが、彼らが城を転々として過ごすことが多かったのは、優雅さを益々享受するという目的ではなく、排泄物の悪臭に耐えられなくなって移動するというかんじだったのである。城は召使が掃除すればよいが、街は、毎日死人はたくさん出るし、セーヌも汚物ですざまじい匂いを発している。そんな悪臭が特に強く漂う墓地近くの魚屋でジャン=バティスト・グルヌイユは生まれた。
この出生たるや、FBIに獄中協力をし、映画『ハンニバル』のモデルになったヘンリー・リー・ルーカスのそれと似通っているのだった。
グルヌイユの母親は魚をさばきながら、グルヌイユを産み落とした。グルヌイユは5番目で前の4人もそうやって魚の臓物と一緒に処分したのだ。いつもなら、赤子は泣きもせず誰も出産に気づかないが、グルヌイユは俎板の下で泣き声をあげた。グルヌイユとはフランス語で蛙という意味だが、そんなことは魚屋で生まれようがどうが関係はない。
彼を産み落とした母親は、逮捕され、嬰児殺しの重罪で処刑された。
なので、蛙と名附けたのは他の人物なのだ。
乳をよく飲む子だった。赤子のときからなにやら薄気味悪かった。乳母がいうには、全く匂いがしないということだった。
自らの匂いを持たない人物。これがこの物語の主人公のジャン=バティスト・グルヌイユだ。
修道院から嗅覚のない女の経営する養育院に送られた。幼ないクルヌイユは奇怪な能力を発揮しはじめる。
壁ごしに中が見えたり、隠してある金の在り処を言い当てたりするのである。気味が悪くなった女主人は皮なめし職人にグルヌイユを売り飛ばす。
グルヌイユの働きぶりには何の問題もないが、この頃から彼は自分の嗅覚の特殊性に気づき、街の匂いのあらゆるものを鼻で記憶していく。
あるとき、彼の嗅覚を刺激して離さない匂いを嗅いだ。その匂いを我がものとするため、最初の殺人を犯す。
その若い乙女の神聖な芳香を殺したのち思うさま嗅ぎ終えてグルヌイユは満足した。
パリの老舖の有名香水店になめし皮の納品に行ったグルヌイユは、老いて鼻の麻痺しかかってる香水調合師の前で、店主が調合に苦労していた香水をあっという間に作り上げ、香水店で働くことになるのだった。
ここで、匂いのスペシャリストになりつつあったグルヌイユは、さんざん儲けさせたやった店主から暇を告げられ、あっさりと小金を貰って出て行く。店主は橋の上の店ごとグルヌイユが出て行った日に川に落ちてしまった。
その後、グルヌイユは���ツァラトストラのように、人のいない山に7年籠り、下山する。
洞穴生活のあと致死液に情熱を注ぐ公爵などと知り合い、それからグラースの街に棲みついた。
その以前から、グルヌイユは体臭の香水を作り出していた。
匂いは人を惑わせる。心さえ操ることができるのだ。
このころには、読者のわたしたちも、グルヌイユの嗅いだあらゆる匂いを嗅がされた気分になっていて、そのあたりは、改めて著者のパトリック・ジュースキントの筆力に驚愕するのであるが・・・
連続殺人事件が起こりはじめる。ヘンリー・リー・ルーカスのように360人もは殺したりはしないが、25人の美しい年若き娘が殺された。
25人目を殺したあと、グルヌイユは殺人容疑で逮捕された。
なぜ、娘たちを殺したのか、理由をはっきりグルヌイユは言わなかった。彼は匂いを作り出すすべての技術を取得していた。彼は娘たちを香水にしてしまったのだった。
グルヌイユは死刑になることになるが、25番目の娘の匂いで、この凶悪犯の公開処刑を楽しみにしてきた民衆の心を支配する。
うまく死刑を免れたグルヌイユはパリに向かい、パリで香水をからだに振り掛け、その匂いを欲しがった連中に八つ裂きにされ、喰らわれ、この世から忽然と消え去った。
なんともすごい小説である。
18世紀のパリの匂いがプンプンとしてどうしようもない。
たちこめる悪臭も鼻をつく貴婦人がつける香水の匂いももう勘弁してほしいという気持ちである(笑)
そしてグルヌイユの特異な人生は終ったはずなのに、目立たずそのあたりに生きており、音もたてず忍び寄ってきそうな気さえする(笑)
この本は池内紀さんの訳でもあり、日本でもよく売れたらしいが、世界各国でも翻訳されており人気本であるという。
予想外に本が売れて有名人になったジュースキントは、南仏にひきこもっているという。(笑)
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「無臭」という香り。それを巧みに利用した主人公の犯罪という、なかなか独特な世界。ひたすらにグロテスク且つ優雅で、“香り”の使い方が面白い。かなり分厚い本なのに即完読。そして読後いろいろな「香り」が気になる。ものすごいインパクトを持った小説。たまに読みたくなる。
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香水好きならきっと楽しめる一冊。嗅覚を文字で刺激するその表現力が素晴らしい。全体的に欧州戯曲らしい淡々とした調子で読みやすい。
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80年代ドイツ最大のベストセラーだそうです。
何年か前に書評でだいぶ話題になっていて、すっかり読んだ気になっていたんですが〜実は読んでないことにはっと気づき、読んでみました。
18世紀のパリがいかに臭かったか…という描写で始まり、魚市場の喧噪の中で産み落とされた子供の数奇な人生が語られます。
主人公のグルヌイユは匂いを嗅ぎ分けることに天性の才能を持っていたのでした。
孤児として育ち、革なめし職人の小僧になって過酷な労働に耐えながら、周り中の雑多な匂いを嗅ぎ分けることに至福を見い出します。
やがて香水作りの道へ…
なんとも人好きのしない人物で、関わる人間もつぎつぎに悪運のお裾分けを食らう有様なのですが〜妙にテンポ良く軽快に読ませます。
副題は「ある人殺しの物語」
バルザックのように猥雑で饒舌、もっとブラックユーモアでシュール?
時代色豊かで、面白いです。
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ジャンル分けできないような、ただ物語へと引き込まれた作品。香りを持たない主人公の作る究極の香りに人々は翻弄される。
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天才的な嗅覚を持った香水師グルヌイユがこの世で一番の香りを求めて辿り着いたものは。。当時のフランスの不衛生さや人々の体臭やらが臭ってきそうな文章です。グロテスクで気持ち悪くなるほど。
誰もを魅了する香りってどんなのだろう。最後が怖すぎます。
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嗅覚の天才。悟りを開く前までの葛藤がとても良い。表現もすごいが最期もすごい。すぱっとしてて良いです。
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映画化されるそうで…。
小説も映画も香りは伝えられませんけど、
この香りによって成り立つ世界観を
どれだけビジュアル化出来るのか楽しみと
いえば楽しみ。
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嗅覚というのはもっともプリミティブで生理的な感覚な気がする。それを、徹底的に「言葉・文字」で追求している野心的な作品。話としてはとにかく荒唐無稽なんだけれども、生理的に深いところに訴えかける嗅覚・匂いをめぐる物語なだけに、ところどころ、ゾクッとするほどリアルに感じる。
実はずいぶん以前に購入していたものの、本棚に読まずに積まれていたんだけれども、最近、これが映画化されて日本でも上映されるということで話題になっていたので、「あ、うちにあったな」と思って手にとった次第。積読で終わらずに読む機会がやってきて良かった。読み始めたら止まらず、ぐいぐい読み進んでしまった。(2006 Dec)
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香り高い香水 木の匂い 人間の匂い
嗅ぐことでしか満たされない男の話
出てくるのは、おそらく数百種類の匂い
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「パフューム」って映画がやるんだか、もうやったんだかの原作みたいです。
自分は、自分の体臭はやっぱり気にするけど、香水とか使わないし、それにマヨネーズの匂いだけは絶対に分かります。
この主人公はどんな匂いでも嗅ぎ取れる天才。
タイトルだけみると、誰か死ぬんだろうな…、って感じですが正直結末が「マジか!」と思う感じです。
そうきたか!かも知れませんが。
どちらにせよ、匂いに関する小説で読んだことのないジャンルなので最後の最後までかなり面白い!
映画も面白そうだなぁ。
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面白い。
香水だから、臭いの話。
文字の世界でここまで臭いを表現できるというのに驚いた。
話もこざっぱりしていて読みやすく、でも力があるのでぐいぐい読める。
最後びっくりするけど…
後半の盛り上がりはあまりのも盛り上がりっぷりで楽しかった。
いい本でした。
ただ、人によっては拒否反応出るかもしれない。
結構露骨にいろんなことガツガツ書いてあるから、そういうの無理な人は、苦手かも。