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『デイジー・ミラー』と『ねじの回転』という二つの短篇が収録されている。
『デイジー・ミラー』では、“アメリカとヨーロッパ”というヘンリー・ジェイムスおなじみの構図が端的に示されている。美しく劇的な話の流れや場面の現出には、「まるで映画を観ているみたいだ」という月並みな感想をいつも抱く。
『ねじの回転』、これは異常な作品だった。単なる幽霊譚とも読める。主人公の錯乱した精神状態についての物語のようでもある。複雑にねじれた人間関係の描写であるようにも思われる。すべての情景や台詞が何らかの別の意味を含んでいる。さまざまな解釈や読み方が可能である。流れていく文体の水平さ、意味における底なしの奥深さ。ヘンリー・ジェイムスを読んでいるときほど、文章を追う目の働きと、意味を考える知能の働きの二つを、同時にはっきりと認識することはない。
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「ねじの回転」は1度読んだくらいじゃ理解不能。何遍も読んで、あなたも不思議な世界にトリップしてください。
「デイジー・ミラー」はデイジーが個人的に好きなタイプの女の子でした。
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デイジーがかわいそうでした。私はこういう女の子は悪いと思いません。
「ねじの回転」は謎がおおい小説でした。最期はエクソシストみたいなワー!ギャー!ってな終わり方でしたが、今思うとその恐怖って静かな部屋でいきなり叫ばれたときにびっくりする程度の怖さでしかない・・・?話の構成はユニークだなと思いました。ある先生の手記を、教え子が何十年後かに語りだす・・・というもの。面白かったです。
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9月17日読了。ヘンリー・ジェイムズによる米文学の古典。自由奔放で魅力的なアメリカ娘が欧州人以上に欧州的なアメリカ年配女性の偏見に晒される「デイジー・ミラー」は、時代がかってはいるがヒロインの明るい魅力(相当な変人ではあるのだが)と周囲の無理解(常識的対応ではあるのだが)と、その間を移ろう主人公青年の視点に共感でき興味深く読める。古い洋館に出没する幽霊から教え子の少年少女を守ろうとする家庭教師の娘が奮闘する「ねじの回転」は釈然としない読後感ながら、本編で語りきらず読者に想像・解釈の余地を残す構成が斬新と言われているのだろうか?どちらも「今」に生きる私の目から見てシンプルに血湧き肉踊るとは言えないが、楽しめる作品ではある。
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ストーリー全体のねじをもう一周回転させるとお話がどう見えますか?ってことだと勝手に解釈した。
デイジーミラーはアメリカ的ものとヨーロッパ的ものの対立を描いてるとかうんたらかんたらだけど、普通に恋愛小説として面白かった。
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ヘンリー・ジェイムズをきちんと読むのはこれが初めて。
とにかく難解で多義的に読める作家らしい、という前知識だけはあったものの。
でも読んでみて、予想とはだいぶ違う感触をもちました。
まず文体。
ずばぬけて美文とか、非常に印象に残る文体というのではない。むしろ特徴を問われても説明できない感じ。透明というか中立的というか。(たとえ翻訳でも多少の特徴は残っているものだし)
多義的という言葉から曖昧さや含みのある言い回しを連想していたとすると、かなり異なった印象をもつことになると思う。さらに言葉使いも一見きわめて平明で、他の意味に取ろうったってどこをどう疑えばいいかもわからない。
読んでる間にうっすらと浮かぶ疑問(たとえば「ねじの回転」の女家庭教師の推理はずいぶん飛躍してるなあ、とか)も、そんな平明性のうちに知らず知らず隠されてしまう。
しかし、そうやってさらっと読み進んで、話の最後まで行ったときにふと考え込んでしまうのである。
デイジー・ミラーって何者なの?
デイジーは比ゆ的にヨーロッパ伝統主義に圧殺されたという解釈があるけど、本当にデイジーは負けたのか?ああいうかたちで死んだことは、最後まで服従しなかったことの証明では?
(そもそもあんなにあっさり死ぬとは思わなかった。結末もだいぶ人を食った感じです)
屋敷の主人は何もかも知っていたのかどうか。
女家庭教師の突飛で興奮気味の推理が、ほとんどひっくり返されることもなくストーリーが進んでいく不自然さ。
ミセス・グロウスの不思議な従順さ。いくら素朴な人格でも…
そう、もう一度じっくり読んでみるしかないな、という感じ。
一連の読みやすい文章の中に、何食わぬ顔で奇妙な一節が潜んでるに違いないと思う。
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すごいすごいすごい!『ねじの回転』まじですごい。そうか、こんな語り方もできるのか、と驚かされた。
物語という形式の可能性は無限ですね。
『デイジー•ミラー』の方はあまり感じるところもなく読み終えてしまった。
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好きなタイプの作品。『ねじの回転』はタイトル通り一捻りきいていて、読み終えてからもあれこれ想像してしまうところが良い。スピード感があり、エンタメ性が高かった。
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ねじの回転だけ読み終わった。授業のため読んだけど、正直最初の書き出し以外惹きつけるものは無かったと思う。
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「ねじの回転/デイジー・ミラー」ヘンリー・ジェイムズ/行方昭夫 訳
心理ドラマ中編2編。セピア色。
身分階級が厳に存在しながら、新進的な思想言動を題材とするアメリカ的な古典。読み物として十分面白い。
例によって訳文の古臭さが気につきますが、それでもすんなり読めたのは作品の出来上がりでしょう。さすが名作。
特に『ねじの回転』の方を読んで、民放の昼ドラとか火サス的なもの?でこれくらいの深い心理ドラマを作りゃあ大評判だろうに!と思いました。
結末にやられた!唸らされた!(3)
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デイジー・ミラー。確か別の出版社版のあとがきに書いてあったことだと思うのだけど、「男は彼女が好きで、女は彼女が嫌い」というのが良く分かります。
女からしたら「なによそんなアbズレ!簡単にだまされて見損なったわ!」という感じだけど、男ってこういう女に弱いんだよなぁと納得してしまう「男の理想」の彼女。ヘンリーの巧みな描写に惚れぼれします。
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"Unreliable Narratives"の授業で『ねじの回転』を扱うにあたって。
昨年冬に原文で大体読んだものの、補助的に翻訳で読みなおした。
さまざまに議論はあるようだけれども、この曖昧さ・視界の狭さ・窮屈な束縛がそうさせる魅力なのでしょう。
『デイジー・ミラー』 アメリカ人@欧州 はヘンリージェイムズのひとつのテーマであるよう。
だんだんと心が離れて行く様になぜかほっとした。
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「デイジー・ミラー」死んでしまうデイジーは魅力的。主人公はアメリカの幻を追い続ける。「ねじの回転」とにかく怖い。妄想説も一理ある気もする。
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無垢と狡猾さは紙一重?シャープな小説技巧でぐいぐい読まされてしまう傑作中篇2作。結末はいろいろと深読みできそう…
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『デイジー・ミラー』は言葉に無駄がなく、映画のようにその場面場面を想像することができた。前半で『伊豆の踊り子』に似ている気も少しした。
『ねじの回転』での子供への溺愛ぶりはやはり異常だ。