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宇宙のかたすみ みんなのレビュー
- アン・M.マーティン (著), 金原 瑞人 (訳), 中村 浩美 (訳)
- 税込価格:1,650円(15pt)
- 出版社:アンドリュース・クリエイティヴ
- 発行年月:2003.7
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紙の本
「安い」けれど「安っぽく」はないお話
2003/07/13 16:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは上等なお話ではない。そもそもが小中学生をメイン・ターゲットにした、どちらかと言えば安い小説である。
内容が単純なのでストーリーについては触れないが、「子供の感受性について書いたもの」と言えば、なんとなく「ああ、こんな感じの話かなあ」と思うでしょ?──そう、そんな感じです。「優しい知的障害者が出てくる」と言えば、映画「レインマン」とか「フォレスト・ガンプ」なんかを思い出すでしょ?──そう、その類です。
ただ、この手の話でとても大事なことなのであるが、これは「安い」小説ではあっても、決して「安っぽい」小説ではない。この差は決定的である。
つまり、この小説は読者に対して何のあてもなく希望を植えつけようなどとはしていない。「結局みんな良い人でした」「努力を続ければいつかは報われる」「誠意は必ず通じる」──そういった単純で安っぽい図式を、根拠もなく押しつけようという小説ではないのである。現実の世の中はもう少し複雑で、良い人にも悪い人にも会うし、努力は報われたり報われなかったり、誠意は通じたり通じなかったりする。ただ、逆に言うと、世の中は決して悪い人ばかりではないし、努力や誠意は常にないがしろにされるわけでもない。
そういう現実の複雑さをちゃんとそのまま写し込んで本にしたのがこの作品である。だから大人が読んでも拒否感は生じない。もっとも、それほど斬新な部分はない。他の小説や映画で似たようなシーンや設定があったような気もする。ただ、このタイトルだけは秀逸である。文字通り、読者に「宇宙のすみっこをめくってみせてくれる」お話である。
紙の本
ハッティ12歳の夏、それはアダムの想い出。宇宙のすみっこをめくるということに気づいた夏。
2003/08/26 20:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エーミール - この投稿者のレビュー一覧を見る
12歳というのは、精神的にも肉体的にも子ども時代の一区切りの完成期というけれど、それにしても大人っぽい作品だ。YA向きといったほうがいいだろうけれど、主人公は12歳なのだ。12歳で出遭う出来事としてはかなり重い。一夏の想い出とあるけれど、想い出というほどには時間がたっていない。けれどそこに深い愛情を感じる分、その重さも少し明るくなる。
作者もとても気にいっているのだろう、このタイトルのA Corner of The Universe(宇宙のかたすみ)という言葉が読み終わると効いてくる。アダムのおしゃべりや動作と一緒にハッティが次々と想い出しながら「宇宙のすみっこをめくる」という言葉の意味をかみしめるとき、読者も共になるほどと思う感じなのだ。そして時間が経つほどに、感動というのか哀しみというのか、想いが押し寄せてきて思わずボーっとしている自分に気がつくといった具合だ。家族というものを考えさせてくれる作品でもある。
この作品は2003年度ニューベリー賞オナーを受賞している。
(エーミール/図書館の学校・児童書選書委員会)
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