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ファウスト 1 みんなのレビュー

  • 税込価格:1,0269pt
  • 出版社:講談社
  • 発行年月:2003.9
  • 発送可能日:購入できません

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みんなのレビュー4件

みんなの評価3.5

評価内訳

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紙の本

「新しい文芸誌」という問題提起

2003/10/09 14:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:小田切博 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本誌は講談社のノベルスラインから生まれた『メフィスト』に続く新しい小説誌だが、編集者はこの新雑誌で意識的にいくつかの試みをおこなっている。
 ひとつはDTP環境を意識的にエディトリアルデザインに反映させること。
 次にライトノベル的なイラストと小説の相乗効果を積極的に導入しようとしていること。
 最後に「ジャンルフィクション」と「文学」のあいだの壁を意図的に無視すること。
 これらの試みがそれぞれうまくいっているかどうかは意見の分かれるところだと思うし、創刊号の段階で論評してもあまり意味のないことだとも思う。しかし、3点目のトライに関してはごく普通に感心させられた。
 『メフィスト』も『ファウスト』もそれぞれ講談社ノベルスラインからデビューしたいわゆる「新本格以後」の作家たちの人気から生まれた小説誌だが、『メフィスト』がよくも悪くも推理小説専門誌のフォーマットを引きずり、また実際に推理小説専門誌たろうとしているのに対し、このペーパーバックスタイルの新雑誌はそうしたジャンルフィクション的な枠をハナから無視している部分がある。
 これはなにもだから『ファウスト』が評価に値するという話ではないが、純文学もライトノベルもミステリも「文芸」であるという点で等価であり、文学が「純文学」という名のジャンルフィクションと化している現在、それらすべてを含んだ「こういう形」しかもはや「文芸誌」はありえないのではないか? そういう問題提起としてこの雑誌の存在は受け止めらることができる。
 そもそもジャンルフィクション的なカテゴライズはユーザーが商品選択する際のガイド、ブランドやショップの棚分けと同様のマーケティング上の配慮である。本来「自由なクリエイター」であるつくり手がそのような既存の枠組みに配慮する必要はないのだが、実際にはそのような限定的なジャンル意識を持たずに小説を書くことのほうがよほど困難である。そもそも日本の近代文芸自体が明治期に欧米のそれを模倣することからはじまったものであり、そこに絶対的な自由などあった試しはない。だが、逆に必要以上に枠にとらわれる必要もないのではないか。
 私たちは資本主義社会に生きており、そうである以上、文学やミステリの伝統にそぐっていようがいまいが、またライトノベル的なマーケティングに合致していようがいまいが、作家の「書いたもの」に市場が存在する——つまり、読者がついていさえすればそれは商品として流通し得るし、批評家にも学者にもそのことを否定できはしない。文学やミステリといった概念こそあとづけの枠に過ぎない。そこに「読者」がいる時点でそれは文芸作品なのだ。
 その意味で本誌がやろうとしていることは素直に応援したい。正直私個人はここに展開される作品群の対象読者とは言えないと思うが、こうした既存の環境自体を疑い、再構築するような作業はおこなわれてしかるべきだと思うし、その意味のみでもこれは積極的に肯定されるべき出版物だと思う。
 ただ、ひとつだけ疑問に思う点を述べるなら、インタビューや編集者のコメントに見られる、その原動力、モチベーションの部分を新しさや世代観に頼った発言には、正直いって脆弱さを感じなくもない。本当にここにあるようなものを「新しい文学」だと信じるのなら、その「新しさ」よりも「普遍性」こそが誇られるべきではないだろうか。

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