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失敗から生まれた大発見。お祖母さまの口癖「もったいない」のおかげ。この本は、田中さんの発見した「ソフトレーザー脱離イオン化法」の説明が図と文章でなされて、田中さんの研究で使っている機器の写真なども載せてあり、あまり知らなかった人、興味のなかった人でも読んで、ちょっとは理解が深まると思います。田中さんの開発した「ソフトレーザー脱離イオン化法」は、タンパク質の重さによってタンパク質の種類を特定する研究の一番最初の行程で、タンパク質をイオン化する際に画期的な方法らしい。その研究は病気の早期発見などに貢献しているそうです。
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再読。2002年ノーベル化学賞受賞者、田中耕一さんの著作。
受賞に至るまでの経緯や生い立ち、思うこと。講演会第一部での研究内容の説明。第二部での山根一眞氏との対談と、三章に分かれて書かれています。
マスコミの誇張を通さない、素のままの田中さんの語りは実に興味深いです。結果がどのようにして生まれたか以外にも、海外の研究者たちの公正な姿勢、日本の多くの理系エンジニアや研究姿勢など、第一章だけでも面白いです。
研究内容はやはり難しいのですが、対談ではだいぶ噛み砕かれているので、そちらを読んでから再読するとだいぶ理解しやすくなります。山根さんは『メタルカラーの時代』という連載でずっと日本の技術者とお話をしているだけに、ポイントを掴んでわかりやすい対談でした。
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(2005.11.09読了)(2004.06.26購入)
普通の会社員がノーベル賞をもらったということで、大騒ぎしてから早いもので3年たってしまったようです。これからも日本人がぞくぞくと受賞するんじゃないかという期待もむなしく、その後は全くなしの状態です。
この本の内容は、次の3つの部分からなります。
「エンジニアとして生きる」は、ノーベル賞をいただいた発見ができた背景と、企業のエンジニアとして働くことの生きがい、人々との出会いの大切さ、そして独創性・創造性の源が何であるかについて、まとめてみました。
「生体巨大分子を量る」は、ノーベル賞を受賞した発見に至るまでの経緯、それがどんな役に立とうとしているか、質量分析とはどんなものかについて解説しました。
「挑戦と失敗と発見と」は、山根一真さんとの対談です。
●ノーベル賞受賞の知らせを受けた時(14頁)
余りにも予期しないことを体験すると「立っていられなくなる」「足に力が入らなくなる」、と聞いた事はありましたが、「そんな事は嘘だ」とずっと思っていました。でもそれがあの時、まさに自分に起こったのです。「隔離室」まで到着すると、倒れるように椅子にへたり込んでしまい、立つことができませんでした。
●小学校の理科(26頁)
科学とは教科書に書いてある通りの答えを求めるものではない、自分で考えて発見することが楽しいのだという、科学者・技術者にとって本質的に大切な心を、引き出していただいた。
●英国と日本の製品開発の考え方(52頁)
日本では、製品をつくるにあたって、完璧を目指します。日本で製造業に携わっている人の中に、新しく開発した製品だから、多少の不都合があってもいいだろう、などと考える人は、多分一人もいないでしょう。ところが英国では、大前提に「人間は完璧ではなく、失敗する生き物である」という認識があり、そこから派生して、「だから新製品も初期はトラブルがあっても仕方ない」という考え方をしているようです。
●プラモデル(81頁)
私の兄嫁の実家は、富山でプラモデル屋さんをしていました。その当時、店に来る子供たちは、兄嫁のお父さんにプラモデルを組み立ててもらったものを買って行ったそうなのです。組みあがったものを、みんなに見せて楽しむのだそうです。私にとっては、プラモデルといえばいまだに、組み立てる楽しみが一番です。
●もったいない(139頁)
余談ですが、授賞式での公園のために原稿を用意しながら、「もったいない」を英語に直そうと苦心したのですが、過不足なく表すことのできる英語の言い回しは、見つけることができませんでした。
著者 田中 耕一
1959年 富山県生まれ
1983年 東北大学工学部電気工学科卒業
島津製作所入社
1989年 日本質量分析学会奨励賞受賞
2002年 ノーベル化学賞受賞
(「BOOK」データベースより)amazon
「なんで私が?」…突然降って湧いたような授賞の知らせに驚く間もなく、はじまった「ノーベル賞シフト」。「43歳主任」の「変人」ぶりばかりを強調する報道に戸惑い、憤り、そっとしておいてほしいと念じてきた著者が、「理系の人間は、自分を理解してもらう努力が不足して��る」という自らの主張を実践するために、はじめて、エンジニアとしての人生を語った。ノーベル賞受賞が決まった日の混乱、授賞された発見の背景にあった「生涯最高の失敗」、励ましてくれた人たちのこと、ライバル研究者の公正な態度、企業のエンジニアとしてはたらくことの生きがい、チームワークの大切さ、独創性・創造性の源はなにか、など、はじめて明かされるエピソードと新たなメッセージを込めた、会心の一冊。
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[ 内容 ]
「なんで私が?」…突然降って湧いたような授賞の知らせに驚く間もなく、はじまった「ノーベル賞シフト」。
「43歳主任」の「変人」ぶりばかりを強調する報道に戸惑い、憤り、そっとしておいてほしいと念じてきた著者が、「理系の人間は、自分を理解してもらう努力が不足している」という自らの主張を実践するために、はじめて、エンジニアとしての人生を語った。
ノーベル賞受賞が決まった日の混乱、授賞された発見の背景にあった「生涯最高の失敗」、励ましてくれた人たちのこと、ライバル研究者の公正な態度、企業のエンジニアとしてはたらくことの生きがい、チームワークの大切さ、独創性・創造性の源はなにか、など、はじめて明かされるエピソードと新たなメッセージを込めた、会心の一冊。
[ 目次 ]
1 エンジニアとして生きる(受賞が決まった日;受賞の「きざし」;たとえ小さなきっかけでも… ほか)
2 生体巨大分子を量る(生体巨大分子とはなにか;「質量分析」と「構造解析」;なぜ、たんぱく質を研究するのか ほか)
3 対談・挑戦と失敗と発見と(田中耕一×山根一真)(これからも、研究を;分子の重さからたんぱく質の種類を;たんぱく質のつくられ方 ほか)
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そうだったのか。田中さんの業績はMALDI-TOFだったんだ。
高分子の質量分析方法で、特にたんぱく質をそのまま質量分析できることが意義深いらしい。遺伝子レベルのサイズからたんぱく質レベルのサイズである分子へ分析可能範囲を一気に広めたということ。
本書は筆者のひとがらがあらわれていて、まじめな日本人科学者の代表という印象。
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明後日から授業。今日はヒッキーで教材研究の日。
教材研究といいつつ脱線中。
高校1年生の教材の1番目が田中さんの関するもの。教材ではノーベル賞のことがメインだけど、去年の夏も田中さんの研究のことがニュースになっていたし、田中さんのことをもうちょっと知りたいな〜と本を買ってみました。
この本は、どうしたら独創的な考え方をできるか〜というような話でもないし、田中さんの伝記めいたものでもありません。
田中さんの日常、考え方、今進めている研究の展望、色々。
(この本の中で出て来た研究が、去年の夏、大々的に報道されていたのがなんだかうれしかった。)
「子どもたちはひとりひとり、置かれた環境もちがえば、性格も体格もちがいます。私にとって良い環境が、ほかの人には悪い環境になることも、当然、あり得ます。ですから、ここで書いていることは、決して一般論ではなく、あくまで田中耕一という個人にとってはこうだった、という内容であることを、ご理解ください。」
この言葉を読んで、ああ続きも読みたいなと思いました。
田中さんは、あれができないとダメだ、これも失敗だ、という減点法の考え方だと、新しいことへ挑戦する気持ちにつながらないと思う、と言っています。私もなるほどと思います。
でもまた違う面から見ると、それが良い面に結びついていたりして、何が正解っていうことではないんだろうなと思いました。
一面的に、こうだ!という書き方をしない田中さんの文章、読みやすくて、これはおススメです。
教科書に載っている評論って、おいおい何十年前だよ、と思うものがけっこうあるけれど、その時代になにがあった、とかどんなことが話題だったか、ということを考えると、その評論が書かれた背景が分かって面白い。私はそういう読み方が好き。
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仮面をはぐか、そのままか。
田中さんのように仮面をつけずに通せる人もいる。やりたいことをやれる、やりたいことがみえている、信念もって言える人もいる。
そうじゃない人はどうするか。仮面をかぶって生きて行くか、無理に脱いでしんどい道を選ぶのか。
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企業における技術者の役割を知る上で、役に立つ本だと思います。
田中さんがノーベル賞をとったことに焦点を当てるよりも、企業内の技術開発の過程や技術者の悩みや喜び、そういうドラマとして読むのがよいと思います。
この本が出た頃(田中さんがノーベル賞をとった翌年)に読んでいたら、ノーベル賞に囚われて読むことになったと思うのですが、それから10年経った今読むと、技術者としての田中さんを冷静に見られる気がします。
もちろん、時が経っても、田中さんの業績が色あせることはありません。
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近年の科学の研究は基礎よりも応用研究に重点を置いているような気がします。
田中さんが仰る通り「基礎があるから応用があって、応用がなければ基礎がいきない」はその通りだと思います。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA63493471
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田中さんのエンジニアとしての思い、創造性をどう育んできたのか、質量分析が我々の生活にどう役に立つのか分かりやすく伝えてくれる本だ。彼の朴訥として人柄がよく分かった。多少の失敗を冒してでも新しいことに挑戦してみる、ソフトレーザー脱離イオン化法、勇気、挑戦、不屈の意思、組み合わせ、新たな視点、遊び心、偶然、努力、ひらめき等創造性については教わるところが多い本だ。
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まだ、田中耕一が
前半、青の時代と後半は成熟の時代。
慣れとはすごいものだ。
ロビー活動の大切さが知り、トークも冴えている。
マスコミ報道はワンショットだから、知らない人は誤解を招く。田中さんもかなり痛い思いしたんだろうな。
やはり、研究にはお金がかかるということですな。
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日本質量分析学でノーベル賞を受賞した一般会社員、田中さんの伝記。
研究に専念したいから、関わらないで!を、本を出してアピールしたかったのはよくわかったが、
中身は難しく、大半理解できなかった。