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登場人物の顔ぶれがまず壮観である。
語り手である「わたし」が室生犀星、探偵役が萩原朔太郎。
他にも山村暮鳥、北原白秋がほぼ常連。
一話ごとに 今では著名な詩人・文人たちが大勢登場する。
表題でおおよその見当はつくと思うが 萩原朔太郎の『月に吠える』に載せられた詩の裏舞台を描いたものである。ミステリィにことよせたお遊びとも言えよう。
朔太郎観が 少し変わるかもしれない。
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●読んで字の如く、売れる手前の萩原朔太郎を名探偵役に据えたかんたんミステリ短編集。ワトスン役は室生犀星。
でも、彼は朔太郎と違って躁状態でもなければ、女好きでもなく、特に朔太郎を尊敬をしているわけでもなく、なんとなく付き合って彼の暴走を出来れば止めようとするだけなんですが。
●残念ながら、キャラクターの傾向はいつかどこかで見た性格と言うか、オリジナリティが欠如気味。
たとえばこの朔太郎は奇矯な天才型キャラなのですが、それだと榎木津と言う極北がすでにあるわけですよ。アレを知らなきゃ、それなりに楽しめるんだろうけどねえ。
朔太郎が山村暮鳥を「山さん」、北原白秋を「ボス」と呼ぶのも、太陽に×えろ世代でない人間には、ちょっと無理。
●とは言え、細かいことを言わず、肩の凝らない軽い読み物としては、いちおうの水準に達してるんだとは思いますので、そう言うのを求めてる向きにはよいでしょう。
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どうも萩原朔太郎のイメージが狂ってしまった(もともと萩原朔太郎本人についてはあまり詳しくないので、まったく「イメージ」だけだったのだけど)。だってマンドリン弾きながら登場って……これは笑っていいの?
だけどこの設定は面白い! さすがは萩原朔太郎、「詩のインスピレーション」を得ることによって事件解決しちゃうんだものなあ。それぞれの事件に結びついてくる詩もあるし、ファンにはそれだけで楽しめる。ミステリとしてももちろん、当時の時代背景だとか思想だとか様々な要素が巧く絡んでいて、かなり読まされる作品。意外な「有名人」が登場するのも見どころ。
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朔太郎さんの性格はちょっと苦手だけども、大正の有名人がたくさん出てきてお得な感じが…。そして、私の永遠の憧れあの方も!!
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コンパクトな短編の中にミステリと近代文学ネタと朔太郎の詩が詰まっている中身の濃い一冊。右脳と左脳がどう結びついているのか不思議なほどの発想力。
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第7話「謎の英国人」が面白かった。ミルクを飲む蛇の話は「占星術殺人事件」にもあったが、発表当時からつっこまれていたのかな。とはいえ、トリックは正直微妙なものが多かった。このトリックを蘇部健一氏が料理したらバカミスになるだろうが、鯨氏はスマートなミステリーに仕上げている。